2011年10月7日金曜日

東日本大震災とTPP

節電の夏も終わり、秋風が吹く頃となった。
安全と便利を当たり前のこととして享受している大多数の国民の皆様は、震災と津波で街が破壊されたこと・いまも原発事故による苦汁の避難生活を強いられていることなどは、何か遠い昔のことか、遠い地方でのこと、他人事のように感じておられるのかもしれない。

かの地に何かしらの地縁・血縁があれば、少しは距離感は近く意識できるのであろうが、そのような方はごく一部であろう。
もう既に何度も震災募金はしたぞ、これ以上何をしろというのだ、という精神的な反発も抵抗もあるに違いない。もっともだと思う。
でもしかし、である。

ここ茨城県も程度の差こそあれ、被災した場所である。
津波でなくなった方もいるし、自宅を流された方もいる。
液状化で建物が傾いた方も、塀が倒壊した家・屋根瓦が落ちた家は数知れず。
続いているのである。震災の後遺症が。

まだ修復・復旧にまったく手つかずの家々が極めて多い。
ブルーシートを被せたままの瓦屋根の家は、随所に見られる。
屋根の工事屋に依頼しても順番待ちというのが現状だ。
応急処置としてのブルーシートも、台風ではいとも簡単に捲れた。
雨漏りに苦しんでいるという老夫婦の家のニュース報道もあった。

まだまだ被災地の現場の人たちは、困難と戦っている最中であり、継続中なのだ。
放射生物質の汚染とともに、これは過ぎ去った話ではない。

         

少しずつだが、屋根の工事屋が作業をしている家が目に付くようになった。
我が家でも、今日(10/7)から屋根の工事が始まった。
まだ恵まれている方だろう。
周囲をシートで保護する作業を手際良く始めた
瓦を外して、トラック荷台に捨てる
         

余談だが、屋根に上がる工事の方は、プロであるからにして当たり前であるが、実に要領よく屋根の上を動き回り、瓦を外す作業を進めている。
まさに『職人』という言葉がぴったりくる技だ。
足には、当然のように地下足袋。
地面にきっちりとフィットする職人の必須アイテム。

一口に地下足袋といっても、各種のノウハウが詰まっていて、職人の心をくすぐっているらしい。
メーカーの努力とは素晴らしいものだ。

トップメーカー・力王足袋  力王ファイター

滑らず、足先にまで力が入る地下足袋姿だ
力王足袋だろうか
         

閑話休題。
震災から7ヶ月。
相変わらず、原発事故の農産物に対する風評被害は止まず。
原発事故の影響下にある各地の農家は依然苦しんでいる。
どれだけしっかりとした検査をし安全性を担保したところで、なんとなく嫌だと言う感覚までは払拭できない。
判らぬではないが、やはりやりきれない。

『土』や『農』から遠く離れてしまった一般の消費者には、農家が生産物を出荷するまでどれだけの労働資本を投下しているのか、苦労しているのか、ピントこない話かもしれない。

このような大衆の低関心度の中で、TPP(環太平洋経済連携協定)を議論しても、農業の将来は明るくない。
われわれ小農家が育てている『食べ物』としての農業生産物と、アメリカに代表される巨大アグリビジネスが大量生産する『商品』=コモディティ(commodity)としての農業生産物は、健康的にも環境的にも社会的にも違うものだ。
Chicago Board of Trade(CBOT)で取引されるような機関投資家が取り扱う『商品』の位置づけではないのだ。
アメリカニューヨークで、ワシントンで、ロサンゼルスで、若者のデモが繰り広げられているのも、なんでもかんでも金融優先・金儲けに最高の価値を置くことの矛盾が根底にあるからではないのか。
いま気づき始まったということだろう。

食糧を海外に頼れるのは、相手が売ってくれることが前提だが、中国やインドが人口爆発しているなかで自国の食糧が不足しつつあるのに、日本などにいつまでも売ってくれる保証はない。
一次産業は、根本的に二次産業・三次産業とは異なる。
一度荒廃すると田畑は元に戻すには大変な時間と労力が要る。あるいは無理かもしれない。

何度も言うが、経済合理性の尺度だけでかかる問題を比較・判断することは決定的な過ちを犯すことになる。
みなさん、もっと食の自立の確立に意識を傾け、勉強されても良いのではないかな。
手遅れとなる前に。
いまの自分のため、子供たちのために。

と同時に、我々ももっともっと発信し続けなくてはならないと思う。

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