2015年3月31日火曜日

管理番号とトレーサビリティ

生産管理・品質管理の基本は、しっかりとしたデータ収集と記録である。
さらに製品、特に食品の信頼性を十分に担保するためには、それら管理の上に立ったトレーサビリティ(追跡可能性)の仕組み、もまた重要である。

小難しい表現を使ったが、要は、巣箱の管理をきちんとする仕組みを作る必要性が出てきた、ということ。
一群しか入居していない現状ではあるものの、捕獲の期待を込めて毎年のように、巣箱なり待ち箱を増やしてきたため、小生の頭の中での管理では限度を超えつつある。それぞれに管理用の識別番号をつけておかないと、十分に管理しきれなくなってしまった。仮に、今年たくさんの巣箱にミツバチが入居し営巣を始めたら、今のままでは到底管理は無理だ。
ということで、巣箱と重箱の固有識別番号を付けることにした、という次第である。

劣化しにくい素材のアルミ板に、アルファベットと数字で番号を刻印(・・このためにわざわざ刻印セットをAmazonで買い求めた・・・)し、管理プレートを製作した。

たとえばこんなふうだ。4段重ねてある巣箱の場合。
巣箱の土台部分をA0001、上に積み重ねている重箱4段の各段にB0001、B0002、B0003、B0004とプレートを張り付ける。

====ちなみにコード体系は次のようにした。
   (アルファベット識別コード) +(連番)

====識別コードのAは巣箱一番下の土台部分。
         ものの始まりはやはりAからだろう。
====識別コードBはBoxのBで、重箱に付ける。
   JyubakoのJでもよかったのだが、Aの次にはBの方がしっくりする。
====識別コードMは待ち受け箱のM。
        CatchのCでもよかったかもしれない、と今となって思う。
====識別コードMDは待ち受け箱だが丸洞型のもの。Dは洞のDだ。
====くだらないが、ちょっとしたお遊び。楽しい。

さらにこれらのデータをしっかりと記録しておくために、観察記録表兼巣箱台帳を作ることにした。


これにより、管理台帳として、A000nがどこに設置されていて、重箱構成は何段で、どの重箱が積まれているか。日々の観察記録として、巣箱の状況(陽当たり状態、ハチの活動状況、巣の成長状況など)。これらを管理できる。
蜜を採るタイミングの判断もしやすくなるし、スケジュールもしやすくなる。
当然、蜜を採ったのはどの段か、もしっかり記録することになるし、第三者にも説明がつきやすくなる。
さらに、ハチミツを瓶詰して皆様にお分けした後も、どの巣箱・段から採った蜜かがわかるようになり、何か問題が発生したときに対応が素早くできる(・・・のではないか)。

今年から、巣箱を巡回する際には記録表を必ず携行し、記録してゆこうと思う。
最近とくに物忘れがひどくなったと我ながら思うので、自分のために、というのが本当のところだ。もっとも、携行するのを忘れてしまうという不安も一方にある。情けない。

2015年3月30日月曜日

丸洞型巣箱

年に一度しかない『ミツバチ捕獲』のシーズンであるので、この時期の話題はどうしてもハチ関連になる。
         
杉の丸太が手元にたくさんあるので、丸洞型のミツバチ巣箱を作ってみた。分蜂シーズンまで若干の時間があるので、まだまだ間に合う。
つくりはいたってシンプル。丸太の中心部分をくり抜くだけのものだ。
とはいっても、チェーンソーを上手く扱わないと、なかなかすっぽりとは抜け落ちない。

生木なので割と容易にチェーンソーの歯が食い込む。
ものの20分ほどで貫通した。
これぐらいの太さがないと加工が難しいのではないか、というのが感想である。
これに巣落ち防止の竹材を通して、『丸洞型巣箱』が完成した。

外径が33cmで内径が25cmほど。ハチの出入り口になる切り込みを少しだけ入れた。
これを切り離した丸太の上に載せて、天井板の蓋をしておしまい。
材料費はタダというのもウレシイ。杉丸太も、竹材も、家周辺からの調達だ。
         
これとは別に、入口だけ洞のある丸太で、その丸太の上に重箱タイプの巣箱を乗せた『ハイブリッド型』も作ってみた。
これだと、入巣した後に上の重箱部分から巣作りをするので、他の巣箱と共通仕様の巣箱の追加も可能だし、採蜜作業自体も容易になる。

形・大きさに決まりがないニホンミツバチの巣箱であり、材料も含めて選択肢は数限りない。そこが面白くもある。
おそらく(有形の)モノづくりに携わる職業人たちは、設計段階をも含めて、この面白さに憑りつかれている人たちなのだろう。わかる気がする。

野生の二ホンミツバチは、天然の木の洞に巣を作るケースも多いようで、このような疑似天然洞の巣箱を作って養蜂を楽しんでいる愛好家も多い。
どうやら、ついに小生もこのタイプの巣箱を作る域に、のめり込んでしまったようだ。
山裾の杉林に置いたハイブリッド型巣箱
後方の杉林にはシイタケ原木が並べてある。
新しい巣箱は周囲の風景に溶け込んでいる(・・・気がしており満足している)



2015年3月28日土曜日

巣箱の観察窓の効用

世は春。
菜の花が本格的に咲きだし、にわかにミツバチたちの活動が活発になった。
巣箱を出入りするミツバチたちは、巣門で衝突をするほどになっている。

活動が活発になったので、針金の網を替えてみた
巣箱に設えた観察窓からは、巣箱内部のミツバチの塊が良く見える。
従来は、底板を外してデジカメを上向きにし撮影し、その画像を元に、ミツバチの固まっている様子・個体数や巣の長さを推測していたのだが、その必要がほとんどなくなった。

この窓からの眺めはなかなか良く、大変満足している。
この場合の、『見たいが見られなかったもの』を可視化したことで得られる精神的満足というものは、小生をなんとも言えぬ幸せにしてくれる。
たったひとつの窓だが、その限界効用は計り知れない。
一般に言われる『限界効用逓減の法則』は、この場合は当てはまらぬ。
巣箱内部の巣作り状況が良く観察できる
(巣箱製作時に、ひと手間加わって確かに面倒ではあったが)観察窓を作ったのは大正解。おのずと巣箱を観察する時間が長くなろうというもの。
めでたしめでたし。
         
花蜜の収集が本格化しているのだろう、この観察窓が結露で曇る。
ミツバチたちが集める花の蜜は、まだまだ糖度が低い(水分の含有率が高い)。そのために巣箱の内部で水分を蒸発させて糖度を高めてゆく。
この過程で、蒸発した水蒸気が巣箱の内部壁面について結露し、びっしょりになる。

この観察窓に張られた透明ポリ板にも滴がたくさんついていることが多々ある。
内部に付いた水滴
これは、つまりはきわめて順調に蜜が集まっており、水分を蒸発させているということ。
それがこうやって容易に確認できている。
新しく作った巣箱はすべて窓付きだ。
あとは、持ち腐れとならぬよう、未入居箱にミツバチが入ってくれるだけだ。
あとひと月ほどで、今年度の結論が(ほぼ)出る。

2015年3月18日水曜日

皇帝ダリアの幹を掘り出す

昨年12月、皇帝ダリアの幹をビニールハウス内の土中に埋めて保存した。
(→ 2014/12/14 ブログ)
それもこれも、野にほとんど花がない初冬に咲く花を、なんとかミツバチのために確保しようと考えてのことだった。

今年も稲の苗を育て始める時期となり、ビニールハウス内を全面使用するため、埋めた幹を掘り出した。もうそろそろ外に出して、地植えしても良い時候でもある。

ワクワクしながら土を掘り、幹を掘り出したのだが、なんと、ほぼすべてが腐ってしまっていた。
もらってきたときにすでに霜にあたっていたのが災いしたか?
あるいは、保存した環境に問題があったか・・・。
いずれにしても、これらを植え付けても芽が出ることはなさそうな感じである。
僅かな力で形が崩れてボロボロになる。色もすべて腐った感じの茶色・黒色である。
なんとも残念な結果に終わった。
皇帝ダリアの幹の保存は無残な結果に終わった
たった一本だが、僅かに表面に緑色を残したものがあったため、大事に植え付けしてみた。
だがこれとてちゃんと育つかどうか。
今回の初チャレンジは失敗したが、今年の秋にもまた幹を入手して、リベンジしたい。
ミツバチの群がる庭先の皇帝ダリアは、しばしお預けである。

2015年3月16日月曜日

ミツバチとネコヤナギ

ミツバチは花の蜜を採るためだけに花を訪れるのではない。
花粉を集めるのも目的だ。
脚に黄色やオレンジの大きな花粉団子を付けたミツバチが巣に戻ってくる。


         
花粉はミツバチの大切な食糧となるもの。
脚に付けて戻ってきたら、あの六角型形の巣房にきっちり詰め込んで保存する。一杯になったらハチミツで上蓋をして保存性を高める。
暖かい巣の中で、やがて乳酸菌などの有用菌による発酵が起きて『蜂パン』と呼ばれる発酵物資に変化する。それを自分たちの食糧にすると同時に幼虫にも与えている。
(以上の情報は、山田養蜂場のHPから)
         
ネコヤナギの花は、あのフサフサした部分は花の集合体で、1本の穂のようになっていることから『花穂』(かほ・かすい)と呼ばれる。ススキなども同じ作りだ。
一般の花のように華麗な花びら(花弁)は無いが、(雌雄別株の植物につき)雄の木には雄しべ、雌の木には雌しべがつき、花粉を受け渡ししている。これを助ける形でミツバチたちは頂戴している、と言う訳だ。

次から次にフサフサした花穂が出てくるネコヤナギは花粉が大量に取れるらしく、ミツバチは大好きだ。

このネコヤナギから運ばれた花粉もハチミツの一部と化して、いつの日か我々の舌を喜ばせることになる。

2015年3月14日土曜日

昭和2年3月10日 水郡線・常陸大子駅開設

先日、『大子ジャーナル』という、おそらくは茨城北部の大子町内にしか頒布されていないのであろうタウン紙を見る機会があった。
平成27年3月5日号というそれには、昭和2年(1927年)3月10日に水郡線(当時は大郡線)が常陸大子まで開通したその日のチラシの写真が掲載されている。
『祝 開通』として、当時の商店や会社などが賛助金を出してチラシを作って配ったのだろう、いろいろな商店名・会社名がみえる。88年前のものである。
そのチラシの写真には、開通時の常陸大子駅時刻表も写っている。
(大郡線は同年12月に水郡線に名称変更)

当時、常陸大子駅が終点であったので、写っているのは(下り列車の)到着時刻と(上り列車の)発車時刻であるが、水郡線が常陸大子まで開通した時にどのくらいの本数が運行されていたのかを知る貴重な資料である。

ちなみに、この時刻表部分は『大子町史』にも掲載されているとのことだ。


常陸大子駅開設当時の時刻表(大子ジャーナルから一部分を転載しました)
これを見ると、上り列車は午前中は3本で午後に3本の1日6本の運行だったようだ。
         
玉川村駅は、常陸大子駅までの大郡線開通の4年少し前(1922年、大正11年12月)に開設されている。当時の玉川村駅を通過する列車も、おそらくこの本数であったことだろう。
開通した常陸大子駅は当然として、4年経っている玉川村駅もまだまだ路線開通の熱気が覚めやらぬ中にあったと思う。
なにしろこれからほどなくして、水郡線は隆盛期を迎え、各駅はどこもかつて無い賑わいを見せることになるのだから。
時代背景として、沿線人口もまだまだ多かった上に、周辺からの物資が集積され貨車輸送による運搬が本格化しだした時期にあたる。
駅周辺には当然に人・物・金・情報が集まるようになった。
物資集積の一大ターミナルとなった玉川村駅の周辺には、料亭や木賃宿、飲み屋、映画館、各種商店、タクシー会社、日本通運の事務所、農協等々、次々と開設されていった。これからの三十数年間がまさに黄金期だった。
常陸大子駅も同様であるはずだ。
実際に、水郡線は列車本数も、連結車両数も増加していった。客車列車以外にも、貨物列車が運行されているのだから、結構なTraffic数だったはずだ。

たった一枚のチラシだが、そこにみえる商店・会社の多さからも、如何に地元が熱烈歓迎したかがよく判る。
         
今日(3/14)は、北陸新幹線が金沢まで開通した。開通した地元の歓待ぶりがニュースで伝えられている。昭和2年の大子町もまさにこのような状態だったのだろう。
チラシ一枚と言えど、その時代の空気、更には人々の思いまでをも伺い知れる貴重な資料である。

2015年3月12日木曜日

春、トキメキのとき

当地でも梅が咲きそろった。
陽当たりの良い場所では菜の花もほころんだ。
気温が上がった今日の昼間、ミツバチたちはいっぺんに元気になり巣箱周辺に群れ飛んだ。


あと半月もすれば、あたりは菜の花をはじめとして春の花が競うように咲き乱れる。
1年中で一番花に恵まれるそのタイミングを見越して、ミツバチは卵から蛹を経て、夥しい成虫群になってきているのであろう。つい先日までは巣にへばりついているミツバチは心配するほど僅かだったのに。
まさに、ミツバチたちのトキメキの時季の到来だ。
         
今日はすでに用意してある『待ち受け箱』を設置して回った。
営巣用の本格巣箱ではなく、分蜂した群れを捕獲するときだけ使う一時的な簡易巣箱だ。
ここ一ヶ月、入念に地形と雨風の当たり具合と陽の当たり具合、設置する待ち受け箱間の距離などを調べて、ここぞという場所ばかりを厳選しておいた。
これらの箱には昨年の採蜜時の蜜ろうをたっぷりと塗り込んだ。
あとは、来月上旬に誘引剤を取り付けるだけとなった。

さあ、また忙しくなる。ワクワクの春だ。中年初老のオヤジもトキメいている。

2015年3月10日火曜日

今度はヒラタケ

旧年中に、太いクリの木を伐採した。太さが30cm以上ある代物である。
あまりに太いのでシイタケの原木には使えないため、これを使って『ヒラタケ』を栽培してみようと思い立った。
幅15~20cm程度に切った短い(というか輪切り状態の)幹を使う。下の写真のような短木を15個ほど切り出し、ヒラタケの種駒を打ち込むことにした。
ふた夏経過を必要とするシイタケと違い、今年の秋から収穫できる、と説明書にある。
なんともうれしいではないか。

本当は、ヒラタケの種駒タイプではなく、菌をボトルで買いたかったのだがホームセンター山新には置いてなかったので、仕方なく種駒タイプを買い求めた。

菌タイプを使う場合には、おが屑に菌を混ぜてペースト状にし、輪切りにした木の切断面に塗って同じく輪切りにした木を張り合わせる。あたかもツナサラダをサンドイッチするような感じだ。
こうして木の切断面から菌を行き渡らせる、と、ネットで調べた情報には書いてある。
穴をあけて種駒を打ち付けるやり方とはだいぶ異なるので、ちょっと試してみたかった訳だ。
         
先日あれだけのシイタケ原木を作ったのに、凝りもせず今日もまたヒラタケ原木(ミニサイズ)を15個も作った。20cmに満たない短木15個に、400駒を打ち込んだので、かなりの密度である。
作業終了後は、シイタケ原木と一緒にブルーシートにくるんで保管した。

食べきれないほど生えてきたら、ミニサイズの原木なので原木をそのままほかの人にプレゼントしても良いかもしれない、などとも考えた。

さあ、シイタケも採れヒラタケも採れる(見込み)の、今年の秋が楽しみだぞ。

2015年3月7日土曜日

金曜夜のカウンターアップ

田舎の出来事を羅列しているだけの、なんとも拙いブログなのだが、たまに一気にアクセスが増える瞬間がある。
あるときは金曜夜の9時台であり、またあるときは金曜夜の11時台である。
昨日6日の金曜日、夜の11時台もアクセス回数がピョンと飛び上がった。

bloggerの統計画面

理由は、NHKのBSプレミアムで放送された『晴れ ときどきファーム』を見た視聴者と思われるが、そのロケ場所を調べるために検索して訪問してくれたためである。
時系列にアクセス回数を表示する統計グラフは、いつもはほとんどが底辺で水平に近く平らなのだが、いきなり槍ヶ岳が突然現れる。上の統計画面がそれだ。
残念ながら、ブログには古民家のある場所・ロケ地の詳細情報は(独自に調べて判明しているが、関係者に迷惑がかかるため)記載していない。
同様の突出現象は、TBSテレビで『金スマ 』で『ひとり農業』が放映された際に起こる。
こちらは金曜日の9時台である。
みなさん、一様にロケ地には関心が高いようだ。
当ブログのカウンターはこの二つの番組によって数字が増えていると言っても過言ではない。

放映された番組のなかの各種情報(近くの施設名だったり、風景だったり)を丁寧に分析すると、(かなりの根気が必要だろうが)ある程度場所は特定できるのではないかと思う。晴れときどき・・も、ひとり農業も。
         
TBSテレビの金スマ・ひとり農業は、ここしばらく放送されていない。
そろそろ特集が組まれても良いころだろう。
冬の農作業などとともに、美容室・喫茶店の準備状況がメインになるに違いない。

2015年3月6日金曜日

Lentinan(レンチナン)

シイタケの原木本数を増やすためと、原木の新旧交代のために、シイタケ種の植え付け作業をした。
年末に切り倒しておいたクリ・コナラの木を玉切りし、『森290号』という品種の種駒を植え付けた。肉厚でジャンボなものが穫れると標榜しており、当初よりこれを使っているが、事実たくさん穫れるので大変やりがいがあり楽しめる。

今年は太さ(径)が10cm内外の原木を60本用意した。(長さは1m)
太い原木はたくさん穫れるイメージは確かにあるのだが、重たくて取扱いに困り難儀した経験から細めのものばかりにしてみた。
半日かけて、下の写真にある『しいたけの種』(一箱800個入り)を2箱、つまり1600個の種駒を植えこんだ。

森290の種はホームセンターで売っている。
一箱800個入りで3000円ほど。
我が家のシイタケはすべてこの種類である。
電動ドリルにシイタケ原木穴あけ用のキリ歯をつけての作業。
1600個の穴あけは、これなしには到底不可能だ。

種駒打ち込み作業が 終わった原木は、たっぷり水を掛けた後に野積みしブルーシートを被せて保管した。
原木全体に菌が回るように適宜撒水し湿度を保ちつつ、6月まではこの状態で管理。
その後は林の中に並べて、来年秋の収穫を待つ。
         
いままでたくさんのシイタケを収穫させてくれた4年前の原木は、大半がボロボロになって朽ちてきた。昨年秋が最後の収穫だったか。
さすりながら、ごくろうさんと声を掛け、労をねぎらった。
思えば、いっ時には食べきれないほどのシイタケを生やし、我々に恵みを与えてきた。
まさに身を削ってきたのである。
いま役割を終えて土に戻ろうとしているその姿は、少し哀しいものがあるが、大役を終えて晴れ晴れしくもある。
        
食べきれないシイタケは、干しシイタケにしたものだ。
生のままでは保存がきかないシイタケだが、日光に当てて干すというだけで保存に向くようになるうえに、栄養・旨みが一気に増える不思議な食物である。
シイタケを日光に当てるとビタミンDが増える、おいしくなる、ということは多くの人が知っている。
ちなみに原理的には、シイタケのエルゴステリンという成分が日光に当たるとビタミンDに変わるという化学作用。
ビタミンDはカルシウムの吸収をよくする役割があるので、骨を丈夫にするには不可欠な栄養素なのだ。成長期の子供には大いに食べさせるべし。

そして、おいしくなるというのは、シイタケに含まれる旨み成分のグルニア酸が、天日に干すことによって菌糸細胞に傷がつき組織の内部から出やすくなるという物理作用らしい。
グルニア酸は加熱することで増えるらしいので、煮る・炒めるという調理でさらにおいしくなるということだそうだ。
                  
その次の話もある。
干しシイタケには、β-グルカンなる食物繊維成分も含まれ、これが免疫機能を高める働きがあることがわかってきて、医療にも応用されているとのこと。
                     参考HP →  干しシイタケ
シイタケに含まれるβ-グルカンはレンチナン(Lentinan)と呼ばれ、抗がん剤・抗ウィルス剤などに実用化されているようだ。
なんと不思議で素晴らしいパワーを秘めた食材であることか。
焼いて良し、煮て良し、炒めて良し、漬けて良し。生で良し、干して尚良し。
滋味に富み、免疫を高める、素晴らしい食材。

原木シイタケは、栽培手間は最初だけで、その後はさほどかからぬ。
原木を増やしていって採れ過ぎたところで、干しておけば良く、困ることはない。
自然の恵みにただただ感謝。自然の不思議にただただ敬服。