2017年12月30日土曜日

定年オヤジが欝にならぬために

内館牧子さんの「終わった人」という本が来年(2018年6月)映画化され公開となる。仕事ひと筋だったエリートサラリーマンが定年退職後に途方に暮れるという、定年オヤジの苦悩譚である。読まれた方もきっと多かろう。
専業サラリーマンならほぼ全員、完全リタイア・無職となる日はやってくる。その後の日々の過ごし方は残された人生の充実度を大きく左右する。
一般には重たいテーマだが、自営農業に定年はないので幸いだ。

退職後は毎日が日曜日。当初こそ開放感に溢れてやりたかったことを心行くまで堪能でき、それはそれは楽しい日々かもしれない。だが、それらも数年内に一通りやってしまい、その後は何もすることが無くなる人が多いと聞く。多くは六十代で退職するので、まだ頭も体も働く。力を持て余してしまうのだろう。中にはこのタイミングで起業し新たな生活を歩む人もいるだろうが、むしろ例外だろう。
女性の場合、多くはコミュニティネットワークが出来上がっていたりするので比較的マシなのかもしれぬが、オヤジにおいてはこれが悲哀に満ちる。自分だけはそうはならない・大丈夫だというのは、大抵の場合において根拠の薄い自信に基づく。単なる思い上がりらしく多くは数年で脆くも崩れ去る。

 嗚呼、今日も目が覚めて起きてしまった・・(嘆息)。
 また長い1日が始まってしまうな・・(嘆息)。
 今日こそ何して時間を潰そうか・・(嘆息)。
 あ゛~あぁ、気が重い・・(嘆息)。      の日々になるだろうか。

しかも平均寿命は80半ばまで延びているので、死ぬまでには勤めていた期間と同じくらいの長さの日々が待ちうける。その長き日々を思うと欝になりはしまいか。何も手立てを講じずにいて無為に過ごすのはさぞ辛らかろう。準備する期間はたんとあっただろうに。
そんな観点からのお節介だが、趣味であるとともに大人の教養としての養蜂がどんなに素晴らしいものであるかをお伝えしたい。これから退職を迎える人には「終わった人」にならずに済むように、そして既に終わってしまった感のある人にはその改善策・解消策として参考になれば幸いである。

■お勧めポイント
・初期投資は少額。手軽に開始できる。
・定職を持っていてもできる。
・入れ込み具合もライトからヘビーまでお好きなレベルで楽しめる。
・間口と奥行きが異様に広いので、多種多様にいろんな局面で楽しめる。
・一人で気ままにも、仲間と一緒に和気あいあいとでも出来る。
・やり方次第だが、ランニングコストはあまりかからない。
・オールシーズン継続的して、しかも長期間(何年も)にわたって楽しめる。
・衰え行く体力と経済的余裕にあわせて楽しめる。
・外出して歩き回ることが確実に増え、体を動かすので健康的である。
・大人が嗜む健全な趣味であり、咎める人もなく、精神衛生上も極めて良い。
・珍しい趣味であり、どうしても他人に自慢したくなる。
・巣箱を置く場所が身近に無くてもできる。
 ⇒基本は巣箱を田舎の野外に置く。ただ、縁も所縁もない田舎に巣箱を
  置かせてもらうことはほぼ不可能。なのでコネクション、ツテを頼って
  現地の人と交渉する。
■その効用
・情報を集めて広く研究するようになる。脳を酷使するのでボケ防止になる。
 ⇒同好の士の有益情報がネットに溢れておりPC情報検索が習慣となる。
  情報交換の場は毎日活況である。たとえばここ
・ハチ仲間が増え友達の輪が広がる。
 付合いが会社関係者偏重だった頃とは違い、バラエティに富むようになる。
・成果物として得られるハチミツは、皆がたいていは喜んでくれる。
 ⇒誰かが喜んでくれることを為すというのは気持ちがいいし大きな励みになる。
・ハチミツが販売できたりすると僅かでも現金収入になる。
・捕獲・飼育のやり方は自由度が極めて高く、創意工夫を存分に楽しめる。
 ⇒これがオヤジの好奇心・探求心をいたく刺激する。
  特に木工工作、工作機械操作、ホームセンター巡り、野山の歩き回りなど。
  年甲斐もなく熱が入る。久しく味わっていなかった、時間を忘れるような
  ハイテンション状態にしばし身を置くことができる。
・飼育は試行錯誤の連続で満足する水準におそらく辿り着けない。
 故に常時未達成感があるが、それが更なる向上心を掻き立てる。
 知的な刺激で精神は活性化され続ける。
・自然界の素晴らしさ・奥深さに気付かされて人生観が変化する。
 何かに導かれるようにのめり込む人は多い。
・(奥さまにとっては)夫が何もせず毎日家にいる、三食用意しないといけないと
 いう状況より、外出機会が多い趣味を持ってくれた方が嬉しい。
  よって奥さま孝行にもなる。夫婦の会話レス解消も期待できる。
 ⇒採れたハチミツは奥さまに対する最高の懐柔ツールとなりうる。
○  ●  ○  ●  ○  ●
世の中にはオヤジがワクワクして熱中できるものというのはたくさんあるだろう。
養蜂は間違いなくその一つである。騙されたと思って先ずは始めてみることを強くお勧めする(始めるといっても直ぐにミツバチを飼えるわけではないことに注意)。
所詮お遊びでのハチ飼いであり、いくら入れ込んだとしても身上を潰すことはまず無い。
たかがミツバチである。だが、されどミツバチなのである

佳きことを始めるに遅きに失することは無い。
未知の世界に飛び込む心理的ハードルは高いかも知れぬが、
勇気ある第一歩が、残りの人生を実り豊かにするのである
悩んでいても時はどんどん過ぎていってしまう。
やらずして後悔するより、やって後悔したほうがましだとは思いませぬか?

年も改まる。新しきことを始むるのに良いタイミングではないか。
3月末頃からミツバチ愛好家はメインシーズン入りする。このタイミングで、まずは経験者から話を聞いてみる、現場を見てみることから始めてみてはどうだろう。これには失敗もなにもない。いつでもお手伝いする(肩でも背中でも押して差し上げる)用意はありますぞ。

2017年12月27日水曜日

巣箱の藁囲い

よく「ミツバチは冬はどうしているのですか?」と質問される。
答は「巣箱の中でちゃんと生活していますよ」なのだが、意外らしく驚かれる。

多くの昆虫の成虫は秋までに卵を産み付け、寒くなると死んでしまう、卵の状態で越冬している、のが一般的だろう。だが、ミツバチは少々異なる。
冬の間は、群を構成する個体数こそ少なくなるものの、ちゃんと巣箱の中で生きていて活動している。ミツバチの多くは巣箱の中央部分の、巣と巣の間の隙間に入って皆で固まり集団で寒さを凌いでいる。巣を齧ったり、貯めた蜜を食料にしている。
冬晴れで暖かい日中には外に出るミツバチも多い。花が少ない季節とはいっても少しはあるので訪花している。今だとビワとか茶などだ。

いくら寒さにある程度の耐性があるとはいえ、そこは小昆虫だ。巣がまだ小さくて隙間だらけだったり、群れの数が少ない場合など、やはり寒さに耐えきれずに死滅してしまうことが多々ある。いままで何度もカワイソウで苦い経験をしてきた。

今年も霜が本格的に降りはじめた時期に、弱い群れの巣箱には防寒のための『藁囲い』をしてみた。マイナス10℃にもなる当地である。
北風が強く当たる吹き曝しとなっている巣箱で、ミツバチの数が少ない群の巣箱に限って、藁束を編んで分厚いムシロ状態にしたもので巣箱の周囲を覆った。
この巣箱はミツバチの数が少ない弱い群れ。
田んぼの畔に置いてあって、北風と霜を防ぐような樹木が側にない。
本当は彼らの持つ生命力を信じて防寒対策など何もしない・自然のまま、が理想なのだがやはり人為的に作られた環境の巣箱で生活してもらっている以上、家主(大家)としては群れが消滅しないよう、ちょっとは施設管理をしてやりたいと思う。
ただあまり手を掛け過ぎ、自然に逆らったケアをし過ぎてもダメなので、どの巣箱にどの程度防寒対策を施すかの判断は難しい。

これも毎年のように試行錯誤だ。何が本当に良いのか答えはいまだ出ていない。
ミツバチの気持ちを『忖度』しつつ、今年も藁を巻いた。結果は来春に出る。

2017年12月22日金曜日

冬至のダイヤモンド富士

茨城県北部では、八溝山頂などの特別な場所からでしか霊峰富士山は見ることができない。同じ茨城県でも南部地域は遠景とはいえ大抵のところで富士山が見えるので、ちょっとうらやましくもある。
■  ■  ■  ■  ■
東京のとある友人が自慢げに語ってくれた富士山の話。
彼の住む街は、駅を起点にして市の中心部をまっすぐに貫く幹線道路がある。
そのまっすぐ先の正面に富士山が大きく見えるのだという。駅には『富士見テラス』という富士山を眺める為の特別な場所まであるそうだ。
さらには、冬至を挟んだ数日間は(まさに今日あたり)、その富士見テラスから見える富士山頂にぴたっと合わせたように夕日が落ちるらしく、それはそれは見事な眺望なんだとか。オレンジ色の夕焼け空に富士山の黒いシルエット、ダイヤモンドのごとく輝く夕日が神々しいらしい。YouTubeの映像で見てもその雰囲気は分かる気がする。
よくもまあこのような組み合わせ(富士山に向かって伸びる道路・冬至に山頂に日が沈む)が揃ったものだと感心する。
 市のHPに写真が載っている⇒ これ
 Youtube  ⇒ これ

日常的に富士山が見られる地域に住む人間にとっても、夕焼けに映える富士山の素晴らしい稜線のシルエットと、しかも頂に日が落ちる瞬間のダイヤモンドの輝きは、えも言えぬ感動シーンなのだろう。
おそらく今日も天気は良さそうなので見えているに違いない。悔しく残念だが、常陸大宮市に富士山に勝るものはないな。

2017年12月14日木曜日

太陽光集熱で69℃

来春の分蜂群捕獲のための誘引装置を試作したことは先日記した(12/6ブログ)。

この簡単な太陽光集熱の仕組みでどれくらいまでボトル缶の水の温度が上がるかを連日調べている。と言っても、自動温度測定・記録装置などあろうはずもないので、時々ふらっと見に行って温度計を見るだけだが。ザル、否、アルミシート製パラボラの傾きと向ける方角をいろいろ試してきた。ここ数日は晴れで良好な実測データが得られ、望ましい形が見えてきた。
要は傾きは南中高度に合わせるのがベスト。茨城の分蜂開始時期の4月中旬は南中高度は約60度で、以降夏至の77度まで少しずつ変化する。厳密でなくてもこの角度に合わせザルを固定すればいい。⇨水戸の南中高度表
  ■ □ ■ □ ■ □ ■
この仕組みそのものもまだ完成品とは考えていないので、黒ボトル缶とカバーのペットボトルに一工夫してみた。やはりちょっとした改良で温度は確実に上がってくる。今日は快晴でも外気は冷たかったが、69℃まで水温が上がったのを確認。温まったボトル缶を外気に晒さないようペットボトルでカバーすることで外気温の影響はほとんど受けなくなり、直射日光さえ一定時間当たれば確実に65℃程度に上がることがわかった。
これだけ上がれば巣くずはドロドロになり蜜蠟が溶け出し、蜜蝋臭の蒸発散を起こすには十分だ。
  ■ □ ■ □ ■ □ ■
この狙い通りの数値を見て、悦に入っている小生である。
いよいよ装置の量産を図ろうと思う。
そうだなぁ、20セットほど作ろうか。
ということで、明日は100均ショップへザルを買いに行こう。 ♪

この装置一式を『Plein soleil Ⅰ型』(太陽がいっぱいⅠ型)と呼ぶことにする。
Ⅱ型はまったく別の目的の物。設計図はまだ頭の中なので後日。  
ピンボケで見ずらいが69℃を示している。
(12/14  PM0:30)

2017年12月11日月曜日

クルミ割りバサミ

今年は大量にクルミが採れた。昨年の2倍以上の500~600個はあるだろう。いま固い殻を割って中身を取り出す作業をしている。
殻は普通のペンチでも割ることができるが、専用ではないのでやはり使いにくい。力を入れすぎると中身が殻とともに割れてバラバラになる。ある程度の数をペンチで割って作業したのだが、手も痛くなり辛くなってきた。やはりこれだけの数を処理するとなると効率も重視しないといけない。

今回、新潟県燕市にある古澤製作所のクルミ割りバサミを購入した。
ハサミの刃の部分の一方はお椀型(凹型)で実を受けるようになっていて、もう一方が鋭い刃でこれが殻を割る。胡桃の実の縦溝に合わせて刃を当てるといとも簡単にきれいに二つに割れる。やはり専用の道具は機能性が高く、とても使い勝手が良い。これで処理効率は飛躍的に上がった。
燕市は洋食器や刃物の生産で有名だ。職人さんの伝統の技はさすがである。良いものを作っておられる。敬意を表したい。この職人仕様の道具、たいへん気に入ってしまった。
 
本体とは別に身をほじくるための細いヘラまで付いている。憎い。


こうやって殻から取り出したクルミは、高温でローストした後に「玉川里山はちみつ」と合わせて瓶詰する。ナッツはクルミだけになるが『Honey Nuts』だ。
来年には、「玉川里山はちみつ」・「柚子コンフィチュール」とともに店頭に並ぶ予定である。

2017年12月6日水曜日

来春のミツバチ捕獲準備(その2)

来年のミツバチ捕獲での新しい試みの二つ目は「分蜂誘引装置」だ。
   ●  ○  ●  ○  ●  ○  ●
毎年今頃に巣くずを煮てミツロウ(蜜蠟)を作っているが、その最中にミツバチがわんさか寄ってくる。巣くずの煮出し汁や溶けた蜜蝋からの臭いがミツバチを強く誘引するのである。これを分蜂時期に野外設置した個々の待ち箱で再現させようとする試みである。

太陽光の熱で巣くずを溶かす仕組、要はソーラークッキングの要領だ。
■材料
 ○100均ショップで買ったもの
  ・プラスチック製ザル(直径26cm。この大きさで十分だ)
  ・アルミホイル
  ・両面テープ
  ・黒の粘着テープ。
 ○廃品利用
  ・空の2ℓペットボトル
  ・空のアルミ製のボトル缶
■作り方
ザルの凹面にアルミホイルを両面テープで貼り付ける。
ボトル缶(中に巣くずと水を入れる)の周囲を黒い粘着テープで覆う。
太陽の方向に向けたザルの中央に置く。
ボトル缶が外気接触によって熱が逃げるのを防ぐため、ペットボトルを横に半分に切ってその中に缶を入れる(缶にペットボトルを被せて温室状態にする)。ボトル缶もペットボトルも蓋は開けたままとする。
こんな状態で太陽の方向に向けて立てておく
■実験結果
先日の実験では、缶に水を半分ほど(200ml)入れて水温を実測した。外気温は13℃ほどの日中である。
水温は65℃まで上がった
(温度計目盛りは2℃刻み)
外気はけっして暖かいとは言えない日であるが、設置して2時間後には水温は65℃に達した。ミツロウ(蜜蠟)の融点は62~65℃あたりだそうだから十分に成功といえるだろう。巣くずを入れておけばお湯の中でドロドロになり蝋成分が表面に出てきている状態だ。
これ以上置いておいても時間が経過すると太陽光の差し込みが斜めになって、水温は急降下する。60℃台の高温を維持するのはせいぜい南中時を挟んだ日中の2~3時間である。これでも十分ではないかと思う。
それにしてもなんと太陽光熱とはすごいものであることか。改めて感心する。

当地での分蜂時期(4月中旬~5月末ころ)は最高気温が20℃を超える日が多いので、この実験日よりはずっと条件は良い。晴れさえすれば十分にミツロウ(蜜蠟)の融点62~65℃は超えると思われる。ボトル上部の開口部からミツバチの好むミツロウ臭が立ち昇って周囲に広く漂い、探索バチにもきっと届くはずだ。
少なくとも、巣箱に塗ったミツロウの微かな臭いよりも、熱湯から立ち昇る臭いの方が強いのではないかと思う。
曇った日には効果は出ないが、そのような日には分蜂も起こりにくいのでまったく問題ない。加えて雨が降っても(=濡れても)全く支障ない仕組みでもあるので放置しておいて良い。注意といえば、風で飛ばないようにしておくことぐらいだろう。

安全性(=発火等)についても懸念はない。せいぜい上昇しても60℃台半ばだ。
巣くずを煮出して沸騰させても(=100℃?になっても)発火したことはない。長時間空焚き状態にして焦がすほどにすれば別だろうが、そこまで水分を飛ばした状態にしなければよい話だ。水分と巣くずが一定量保たれているように管理すれば、野外に置きっぱなししても問題はない。どうせこの時期には毎日巣箱を見廻るのだから確認できる。

レベル的には小学生の夏休み工作宿題みたいなものだ。装置一式あたりに要する費用は110円程度。何より廉価でシンプルなのが良い。これだと数多く設置できる。つまりはチャンスが広がる。
さて効果は? ワクワク。

2017年12月5日火曜日

来春のミツバチ捕獲準備(その1)

ミツバチ愛好家の冬はけっこう忙しい。

はちみつの絞りかす(巣くず)から「ミツロウ」という蝋を作ったり、既存巣箱のメンテナンスをしたり、新たな巣箱を制作したりと、手間がかかる諸作業がダラダラと続くが楽しい作業でもある。
今年の失敗の反省を踏まえて、ああしたらどうか、こうしたらどうかと思案しつつ作業する。性能は悪いながらも我が脳ミソはフル回転し続けている。
   ●  ○  ●  ○  ●  ○  ●
来年のミツバチ捕獲と飼育において、新たな試しみをふたつ考えている。
ひとつは、巣枠式巣箱。もうひとつは分蜂群誘引装置だ。

巣枠(すわく)式巣箱とは、よく養蜂業者がミツバチがびっしりと群がっている四角い枠の巣を箱から取り出して、眺めたりしているアレだ。セイヨウミツバチの飼育はほぼこの形式で横長の箱単体が多い。
我が家では重箱(じゅうばこ)式巣箱で段を積み重ねるタイプが基本。これは比較的製作が容易で飼育管理がしやすい半面、巣箱内部の観察がしにくいのが難点。
一方の巣枠式巣箱は、独立した枠を箱から取り出して観察ができるので、管理がしやすいし、いろいろな対応が取りやすいメリットがある。
ただ、製作にあたってはミリ単位での正確な木工が必要となるのが難点だ。

今回は「か式巣箱」と呼ばれる巣箱をまねて作ってみた。
ネットと書籍から参考となる情報を漁って図面を引いた。材料は市内のホームセンター山新に何度も通い、出来るだけ加工された材料を調達して、正確なものを作ってみた。

巣箱内部に並べる巣枠
上部は巣を作るスタート台として▼の形にしてある
枠内側のサイズは一辺が191mmの正方形。並べる枠の間隔は35mm、というのが基本。
これをきちっと守らないと図面通り格納できない。何度も微調整を繰り返してやっとできたのがこれ。精緻な作品となった。我乍らちょっと満足している。
巣枠を13枚格納する巣箱
ハチの出入り口は正面下部である
(この上に蓋を被せて設置する)
ただ見た目ばかり綺麗でもハチにとって住みにくい、飼育者が使いにくいでは困る。さてどうなることだろう。
(仮にダメであったとすると、来年の今頃はアレコレ改良を加えていることだろうが)
設置は来年4月だ。待ち遠しい。

ふたつ目の分蜂誘引装置だが、これは次回。

2017年12月2日土曜日

Xmasギフトに

12月になりました。間もなくクリスマスですね🎅。
今年はXmasギフトに「玉川里山はちみつ」はいかがですか? 
玉川里山はちみつ  (Photo by Office Mariko)
味も香りもとってもスイート。しかもちょっと贅沢でオシャレ。
パーティーのプレゼント交換の品としても最適でしょう。
ありきたりでない、ちょっと気の利いたサプライズなプレゼントに間違いなしです。

このはちみつは、国産の純粋・生はちみつ。ニホンミツバチの百花蜜です。
特別なお店でしか出会えない、とってもレアなはちみつなんです。
特に「純粋」と「生」がPointで、健康にも良く美容効果に優れたはちみつなのです。
甘党女子だけでなく、美容・健康志向女子へのプレゼントにもお奨め(無論、男性にもです)。
優しい甘さに、プレゼントを貰った相手もつい笑顔になってしまう・・。口にした人が虜になるはちみつです。贈って喜ばれること間違いなし。自分へのごほうびにだっていいかも、ですね。

150g入りのたっぷりサイズと、50g入りのお手頃なミニサイズの二種類をご用意しています。
お求めは取扱店舗までどうぞ。
・トロワフレール(常陸大宮市上町)
・ブルーベリーファーム・プチカフェ(常陸大宮市山方)
・川岸屋(常陸大宮市北塩子)
・ガトーデイジー(常陸太田市大里)
・パティスリー・ナチュール(常陸太田市幡町)

2017年11月25日土曜日

CONFITURE AU MIEL YUZU 販売開始

昨年試作した柚子皮のはちみつ漬けが予想外に美味しく、試食していただいた方々にも大変好評であった。
小生自身も我乍ら気に入っていた。
これをなんとか商品化したいものだとずっと思案していたが、今年いよいよ商品化と相成った。
そしてめでたく本日11月25日(大安)から店舗販売が開始された。

国産ニホンミツバチのはちみつを惜しげもなく、たーーっぷり使用した『CONFITURE AU MIEL YUZU』(=柚子コンフィチュール。販売をお願いしている店舗がみなフランス語の店名なので雰囲気を合わせてみた)。
そんじょそこらの単なる柚子ジャムとは別物である。

材料の柚子は常陸大宮市富岡地区産の無農薬のもの。
はちみつは同じく市内の東野地区産で、ニホンミツバチの百花蜜『玉川里山はちみつ』。
コンセプトは、『自ら生産した・自ら選んだ地元産の確かなものだけを使う。それらを惜しげもなく使う』である。最初から採算は度外視である(特に、投入している労働力コストを算入したらエライことになってしまう。

今回は市内のケーキ屋さんであるトロワフレール(常陸大宮市上町)さんが製造を担当してくださったため、正式に販売の運びとなった。
クリスマスシーズン前の多忙な時期にも関わらず引き受けてくださり、多謝。。

鮮やかな黄金色のペーストは適度な果皮の食感
百花蜜由来の甘さの中にもほんのりした苦味
鼻孔に抜ける気高く品のある柚子の香り
けっして甘すぎない「大人のための柚子ジャム」。
視覚・触覚(=舌ざわりと歯ざわり)・味覚・嗅覚、それぞれの感覚に直接訴えてくる逸品に仕上がっている。
この仄かな苦味の美味しさという「大人の味」がわからぬ子供に食べさせては、絶対にもったいないと思う。まがいものとの違いが分かる大人にだけ味わってほしいものだ。


 ■ □ ■ □

下記店舗で販売を開始しましたが、季節果実につき極めて少量の限定生産とならざるを得ませんでした。
お早めにお買い求めください。
 ・トロワフレール(常陸大宮市上町)
 ・ガトーデイジー(常陸太田市大里)
 ・パティスリー・ナチュール(常陸太田市幡町)

なお本品に続いて、無農薬・自家産クルミの『玉川里山はちみつ』漬け(=ハニーナッツ)である『Noix dans le miel 胡桃&百花蜜』も年明けには販売予定です。

2017年11月9日木曜日

柚子の季節

秋晴れの澄んだ青空を背景にして、濃緑の中にレモンイエローの実。
爽やかなコントラスト。いい風景だ。
柚子が収穫時期を迎えた。
我が常陸大宮市東野地区は、柚子が伝統的に禁忌作物とされている。なので我が家にも柚子の木は無い。毎年この時期になると(事情を分かってる)他地区の親類から『すこしもとりにきたら(い)がっぺ』(= 僅かでも取りに来たら良いよ)と声が掛かる。
   ※()内の「い」は、本人は発音しているつもりだがほとんど無音というのが
    茨城弁ネイティブスピーカー。特にシニア層以上。
遠慮なく頂きにあがった。
豊かな実りの収穫ほど幸せを感じるときはない。

捥いだ黄色い球は何とも芳しい香りを発し、魔法のごとく我を魅了してやまない。
毎年大量の柚子玉の皮を剥ぎ、冷凍保存しておく。ラーメンにトッピングすると数段高級な味になるから不思議だ。うどんや鍋物にも最高。・・一年中この香りに憑りつかれている我が身である。

脚立に登って実を取っていると、枝に白いものを発見。


なんとニホンミツバチの巣である。「自然巣」と呼ばれる解放空間に作られる巣だ。外敵からの攻撃に合い易いために、めったに作られない。これはだいぶ前に放棄されているようだが、ニホンミツバチのものに間違いない。
初めてみる自然巣。予期せぬ発見に少々興奮してしまった。
この柚子の木の場所は捕獲有望な場所と踏んでいて、去年・今年と木の根元に捕獲用巣箱を設置したが、見事に外された。が狙いは正しかったわけだ。来年こそは捕獲できるかも知れない。

それにしても、もっといい条件の巣箱がすぐ下にあるのに、わざわざこんな高い枝に巣を作らなくてもいいだろうに・・とひとりごち。こちらの思いはなかなか彼女たちに伝わら無いようだ。彼女たちミツバチの気持ちを理解するにはまだまだ修業(=強い思い)が必要らしい。ちなみに柚子の花言葉は『恋のため息』であるそうな。
木の根元に巣箱(トタン屋根のもの)を置いていたが
嫌われたようだ

2017年11月8日水曜日

胡桃拾い

今日、今年最後の胡桃拾いをしてきた。今年も豊作だ。


このような草の中に隠れているのを探し出す
収穫はゆうに約500個超えているだろう。
拾って洗った胡桃と拾ったばかりの青カゴの胡桃
(手前の白い粒は果肉の除去作業が終わったギンナン)
本格的に実を付け出したのは去年で200個ほどだったが、今年は倍以上の実を付けたようだ。

これから殻を割って中身を取り出す作業となる。
殻割りはちよっと面倒な作業だが、胡桃をローストしたのちに自家産はちみつに漬け込んでつくる「Honey Nuts」の材料であり手が抜けない。
昨年、試作してみたところ予想外に変好評だった。
なので今年はもう少し作る量を増やす計画でいる。そのためのはちみつも手当て済みだ。

間もなく柚子が収穫時期を迎える。
柚子を使って、柚子皮はちみつ漬けや柚子皮はちみつジャムも作る予定だ。

これらの材料は、全てが自家産のもの。
完全無農薬で有機栽培(農薬と化学肥料は過去一度も施したことが無い)のものだし、はちみつはニホンミツバチの百花蜜で純粋・非加熱・生。
これでもか、というくらいの素材だ。う~ん、贅沢だよなぁ。

秋の里山の収穫は、心まで幸せにしてくれる。

2017年10月1日日曜日

はちみつ日和 (前田京子著 マガジンハウス)

マガジンハウスから『はちみつ日和 花とミツバチと太陽がくれた薬』(前田京子著)が発刊された。

前田京子氏の前著『ひとさじのはちみつ 自然がくれた家庭医薬品の知恵』は10万部を超えるベストセラー。その待望の続編である。前著に収めきれなかった話や読者からもらった質問への回答などが満載で、「家庭医薬品としてのはちみつ」というテーマはそのままに、前著以上にはちみつについて熱く語っている。
「はちみつはカラダにいい」ということを、難しい学術文献を基にしながらも軽妙なタッチで、かつご自分の体験を交えて読みやすく説明してくれている。
前田京子氏は、自分が納得できるレベルまでトコトン調べる・体験するという方で、驚くほど探求心が旺盛であり強い凝り性の方だ。脱帽である。小生にとってもとても参考になる一冊。
皆さんもぜひ前著と併せて一読してみてほしい。ますますはちみつに魅せられるはずだ。

特に、百花蜜をお勧めしている箇所は必読だ。わが「玉川里山はちみつ」のことを書いてくれている(・・・ような気がしている)。

   【目次】
    1.「我が家のはちみつ」をどう選ぶ?--1
      自分の「味覚」の使い方
    2.「我が家のはちみつ」をどう選ぶ?--2
      「薬」になるはちみつの条件・おさらいと、
      基本の栄養剤=百花蜜のすすめ
    3.ミツバチといっしょに元気になろう
      我が家でできるアピセラピー  はちみつ編
    4.「はちパン」と「はちミルク」が、からだを作る
      我が家でできるアピセラピー  花粉・ローヤルゼリー編
    5.ハチの住居のセキュリティー
      我が家でできるアピセラピー  プロポリス・みつろう編
    6.ハチの幸せ、元気なはちみつ
      ミツバチのおやつのことを考える
     
      (※)アピセラピーとはミツバチ療法のこと

~~本書 「あとがき」より
 私たちにとっては、調子がいい時も悪い時も、毎日がはちみつ日和だ。
 この朝晩のひとさじで、人は今日一日を元気に乗り切れる。
 だから、思う。
 今日がミツバチにとっても、どうかはちみつ日和であるように。
 そしてきっと、このひとさじが、百年後にもあるように

2017年9月29日金曜日

【悲報】スズメバチ被害続出

例年になくスズメバチの活動が活発だ。飛び交うスズメバチがやたらと多いように感じている。そんな折、あまりのしつこい襲来に根を上げて逃去する群れが今日も発生した。
なんとも悔しい。
スズメバチトラップにも多数かかるものの
焼け石に水だ
ネズミ取り粘着シート設置・スズメバチトラップ設置・侵入防止金網設置・・など等、できる対策は全て実施してスズメバチシーズンを迎えたつもりだった。
だが、予想を上回る勢いで巣箱を襲ってきていて、もはや打つ手がない。

4月~5月の捕獲シーズンに、ひとつの群れを捕えるだけでも容易ではない。
その貴重なハチ達なのに、ここまできて逃げられてしまうこの悔しさ半端ない。

越冬してくれれば、その群れから来年春になると分蜂してくれるので、新しい群れの捕獲チャンスがぐんと拡大する。そんなこともあり、この半年近く大切に群を管理してきた。
思い入れも強く、我が子のようにカワイイこのハチたちを何とか助けてやりたいのだが、これ以上のスズメバチ対策に手間暇をかけたり、追加投資はできない。
悔しいが、事態を冷静に受け入れるしか無いのが現実だ。

できることはただひとつだ。
斯様に襲われて、逃げられて、それでもまだたくさんの群れが残るように、シーズン初めにできるだけ多く捕獲するしかない。つまりスタート時の総数(母数)を大きくしておくことがすべてだ。
たくさん捕まえる、そのためにたくさんの捕獲用巣箱を置く==捕獲可能性を高める、だ。

今年もまたこの悔しさをバネにして、強い闘志を燃やし新たな巣箱作りに着手することになる。

2017年9月21日木曜日

スズメバチシーズン

スズメバチシーズンの真っ最中だ。

この時期になると毎年のように、遠足に出かけた生徒さんやら先生やらがスズメバチに襲われたという、痛いニュースに接する。こと生命にかかわる話であり、けっして侮れないキケンなハチ達である。

人間にとっても生命を脅かす厄介な存在だが、ミツバチたちにとってはより深刻で忌避したい存在である。スズメバチはミツバチの巣箱出入り口でハチが出てくる・帰ってくるのを待ちかまえて捕食する。ある意味、効率的で賢い狩猟法である。
あまりにひどいスズメバチ攻撃が続くと「ここは危険な場所。営巣には不適格」として、ミツバチはいとも簡単に巣を放棄してサッと逃去してしまう。われわれが次の日に巣箱が空っぽなのを見てガッカリしてため息・・というのがお決まりのパターン。

取りうる対策として、スズメバチトラップを仕掛る、ネズミ取り粘着シートを取り付ける、巣箱入り口に金網を張り侵入を防ぐ、といくつも並行して施しているが、突然の逃去は毎年のように繰り広げられる悲しきドラマである。今年も既に2箱がスズメバ被害にあい逃げ去っている。だからといって四六時中巣箱を監視して厄介者を追い払ったり、巣箱全体を金網で覆うようなことも現実的ではなく、いわばお手上げ状態である。
  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆
先日、常陸太田市金砂郷地区に置いてある巣箱の定例巡回の折に、そこのジイちゃんからはじめて『おぢゃでものんでぎな』(※)との誘いがあった。
縁側で茶を飲みながら、しばし語らいの時間を持ち、いろいろな話を伺った。

「お茶を飲んでいきなさい」というお誘いの意。
  「おぢゃ」はお茶のこと、「
のんでぎな」は「飲んで行きな(さい)」が訛ったもの。
  このフレーズは、額面通りの社交辞令としてのお茶のお誘いの意味だけではなく、
  喫茶を共にする仲間としてお前に接してあげよう、認めてやろうという意味合いがある。
  つまり、背景が良くわからないよそ者であるお前(=小生)ではあるのだが、
  まあ出入りくらいは認めてやろうじゃないかということ。

  ちょっとだけお近づきになれた証である。田舎コミュニティーへ参加の第一歩とも言える。
  この第一のハードルを超えるといろいろ情報が入るようになり活動がし易くなる。


大正15年生まれの91歳であること。召集されて海軍に入ったこと。下っ端の兵隊はビンタばかりの毎日だったこと。戦地に向かう予定の前々日に終戦になったこと。復員後は農業に励み、一男一女を懸命に育てたこと。バアちゃんを去年亡くして今は一人暮らしをしていること。体はどこも悪くなく、目も耳も頭も大丈夫であること。心身ともに健康でいられるのは自然に逆らわずに生活する・無理はしないことなのだそうだ。百姓は生き甲斐だと言い切る元気爺さん。我が亡き両親とほぼ同じ世代の方なので、頷きながらきながら話に聞き入った。

ふと見上げると、縁側正面にあるアマヤ(納屋)の梁の下に大きな茶色いボールが2つもあるのが目に入った。直径30センチはあろうかというスズメバチの巣だ。一方の巣は今年のものらしく盛んにスズメバチが出入りしている。ジイちゃんに聞くと「去年はひとっつだったがら、新しぐ今年つぐったんだっぺ(作ったのだろう)。あんてに高いとにあんだし(あんなに高いところにあるのだし)襲ってくっごどもあんめがら(襲ってくることもないだろうから)、このままでかまめ(構わないだろう)」と言う。

この敷地内のミツバチ巣箱に数多く群がるスズメバチは、この巣から飛来していると考えてよさそうだ。
右 : 去年のものでスズメバチの出入はない
左 : 今年のもので盛んに出入りがある

ミツバチを飼っている立場からすればスズメバチの巣の撤去・駆除を是非お願いしたいところだが、ジイちゃんの話では駆除には3000円掛かるという。回覧板(市の広報誌)に書いてあったという。市のホームページで確かめるとその通りだった(爺ちゃんの記憶力・・・すごい!!)。
  (⇒ 常陸太田市HP 「ススメバチの巣の駆除について」)

当方の都合で、無理を言って巣箱を屋敷内に置かせてもらっている。ジイちゃんに余計な出費をさせてまで駆除依頼などできるものではない。話をうやむやに誤魔化して茶飲みを終えた。

いろいろな地域・いろいろな方たちと交流を拡大してゆくと、こういったことが出てくる。あくまで当方が部外者で、地元の方の生活パターンを乱すようなことがあってはならない。地元ファーストである。部外者が立ち入りることで起こる不要なトラブルは極力避ける、大事なことだ。

2017年9月18日月曜日

栗・ポポー 落ち始め

台風18号が通過して、ギラギラした夏のような太陽が照り付けている。
とはいえ彼岸も近い9月中旬。季節は確実に秋である。
※ ※ ※ ※
栗が例年通り落果しはじめ、まずまずの収穫ができている。
毎日の栗拾いは大変。だが、栗はおすそ分け先からは喜んでもらえるのでやりがいはある。

少し早いがポポーの実も落ち始めた。
樹には、小振りだがたくさんの実が付いているので今年も豊作だ。
ポポーの実は短期間のうちに一気に落果するし、足が速いので処理に困るシロモノだ。好き嫌いがはっきり分かれる果実で、引き取り手がなかなかない。
さて、今年はどうしたものか。



豊饒な里の秋の、贅沢な悩みである。

2017年9月12日火曜日

夕焼け空はお浄土である

今日の夕焼けはみごとだった。
NHKラジオの大相撲中継で結びの一番(日馬富士が琴奨菊に負けた一番)を聞きながら車で走っていた時分であるから、午後6時少し前だった。
西の空に絵画のような朱色に輝く雲が広がった。思わず車を停めて見入ってしまった。
2017/9/12の夕焼け (山方地区にて)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
このような夕焼けを見ると思い出す短歌がある。
いつどこで見て知ったものかも、誰が詠んだものかも覚えていないのだが、琴線に触れたのだろう、妙に記憶している。
ただ語句も正確かどうか自信はない、そんな程度でしかないのだが。
  極楽におわす 父母 ふと想う 
     夕焼けの空  飽かず眺むる    (読み人知らず)

光景はきわめて絵画的であろう。まさに今日の西の空だ。
なんだか亡き父母を慕う気持ちがしみんみりと伝わってくる。
西の空を真っ赤な夕焼けが染め上げたとき、たいていこの句を思い出し、心の中で呟いている。今日一日無事に過ごせましたと感謝しつつ。

亡き父母たちは西方にあるという「極楽浄土」にいて、子や孫を見守ってくれている。そのお陰で日々平穏無事に過ごせている。そこに自然と感謝の念が湧くものだ。だが、目先の雑事に感けて、なにか誤魔化しつつ生活してしまっていることの多いわが身。盆と彼岸、命日の時ぐらいだろう、積極的に思い出すのは。それとて多分に後ろめたく、懺悔しつつではあるが。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

感動するような夕焼けを見上げたときには、手を合わせずとも亡き父母の顔を、声を、思い出したらよい。父母はきっと喜ぶ。それ以上に、自分のココロが鎮まり穏やかになる。オカルト的だが亡き人の「魂」や「念」、「思い」は存在するのである。われわれが亡き人を偲ぶとき、必ず亡き人とはテレパシーでつながっている。現世を生きる我々側のセンサーが鈍感になっているだけだ。
目に見えないものは信じられないという思考は傲慢で寂しい。歳を重ねるにしたがってそう考えた方が合理的であると思うようになった。不思議なものだ。

そういえば、秋の彼岸がもうすぐだ。

2017年8月19日土曜日

Blueberry Confiture

ブルーベリーが収穫時期だ。
我が家にあるのは大小20本ほどのブルーベリーだが、それでも一気に大量に熟し始まるので収穫が追い付かず、多くはそのまま放置となるのが例年のパターンだ。
収穫して冷凍保存もしているがキャパシティにも限界があるので、毎年シーズン後半にはもういいやぁ・・となってしまっている。
いろいろな方に声掛けし来ていただいて摘んでもらってはいるのだが、それでも到底採りきれない。もったいないとは思うがこれ以上はどうしようもない。
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
この大量にとれるブルーベリーと、我が家で今年採れたはちみつを使い「ブルーベリーコンフィチュール」を作ってみた。参考にしたのは昨年手に入れた次のレシピ本。
 低カロリーで栄養豊富 季節の果物を使ってつくる 蜂蜜コンフィチュール
(磯部由美香著 誠文堂新光社)


今回は生ブルーベリー2000gに対しはちみつ250gを投入。はちみつ比率12.5%。
ジャムのように砂糖による甘さではないのでスッキリとした甘味の食味に仕上がった。程よい酸味と強いはちみつの香りが口中に広がる。果実の粒々も十分残っているし、果汁とのバランスも良くて、食感はGood。
ネットリベタベタのペーストではなく、サラサラしたトロミの少ないものなのでパンに付けるよりもプレーン・無加糖のヨーグルトに乗せて食べるほうが適していると思う。チーズケーキなどの横に添えても良いだろう。
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
試食していただいた方にもおおむね好評だ。
甘さがはちみつ由来のものだけというのが一番評価いただいた点だろうか。

ほんとうは、生はちみつの良さを生かすために非加熱の生はちみつを煮上がって粗熱がとれたブルーベリーに単に混ぜ込むだけにしたいのだが、これだと発酵が起こってしまうということがある。生はちみつであるがゆえにふんだんに含まれるその酵素のために、逆に保存性が極めて悪くなってしまうのである。
したがって残念ではあるが『生はちみつの良さ=生きた各種酵素が含まれている』という生はちみつ最大の特長を殺さざるをえず、ブルーベリーの実と一緒に十分に加熱することが求められる。でも味は変わらないので良しとしている。
これで特長の半分が失われることにはなるが、詰めた瓶が破裂(・・それはないにしても発酵して瓶からあふれ出たり)するよりは良い。

試食モニターの方からいただいたご指摘を反映して、より良いコンフィチュール(・・けっしてジャムではない)を作るつもりだ。いずれ商品化できるかもしれない日を夢見て。
水は一切加えていないが数分煮るとこれだけの水分が出てくる
煮るのは5分間ほど

2017年8月12日土曜日

Fresh summer vegetables

採れたての夏野菜たち。色どりも多彩。露地栽培の夏野菜は太陽の味がする。
これらには生命活動に必要なエネルギーがギュッと凝縮されている。

毎日食べる分を収穫し、美味しくいただく。
平凡で代わり映えしない日々だが、こうやって生かされていることの、なんと豊かで幸いなことか。

お盆が始まる。先祖の精霊が帰ってくる。
ご先祖様とこの大自然(の八百万の神)に感謝。




2017年8月10日木曜日

2017 はちみつ初採集

今シーズン初のはちみつの採集を行った。
  〇 〇 〇 〇 〇
昨年までは、暑いさなかに採蜜した巣箱で、すぐあとに巣が落下してしまい、ミツバチ逃去の憂き目にあった巣箱がいくつもあった。その苦い経験があるため、外気温には敏感にならざるを得ない。
昨日までの酷暑が一段落し、今日は暑さによる巣落ちリスクがいくぶんか低いような気がしたため、本日採蜜をした。巣の状態と群れの密度・勢いなどを勘案しながら慎重に採蜜対象巣箱を選定した。
  〇 〇 〇 〇 〇 〇
開いたのはしっかりと巣脾が詰まっている巣箱。
整然と巣脾が対角線で並ぶ姿は、美しく、素晴らしい。
整然と並んだ巣脾・・・す、すばらしい

糖度は80.0%  十分な濃度だ

さっそく濾過開始だ。
我が家では、無理な圧搾や遠心分離は一切行っていない(・・というかそのような設備は無いし、とにかく『垂れ蜜』方式にこだわっているのでやるつもりはさらさら無い)。
巣箱から巣脾を切り出してナイフで細分化し、蜜が出やすくしたうえで、目の粗さが異なる2種の布を使い濾過する。

一次濾過は二重にしたポリエステル布(目の細かな洗濯ネットを使用している)。
二次濾過は厚手の不織布(油濾しにも使用するリードのクッキングペーパーだ)。

これで異物(巣くず・みつばちの死骸など)は完全に除去できる。
下写真で、蜜が染み出ている部分が一時濾過のポリエステル布。蜜貯まりの下が二次濾過のクッキングペーパー。この2回の濾過を経て下のタンクに蜜が貯まる。これを瓶詰することになる。

目の細かい不織布=クッキングペーパーでも蜜に含まれる花粉は通り抜けてくれる。
ために、たっぷりと花粉が含まれるはちみつと相成るわけだ。

丸二日かけてゆっくり、ゆっくり、ゆ~っくり垂らして蜜を得る。
こうやって『玉川里山はちみつ』が姿を現す。

2017年7月31日月曜日

アカリンダニ注意喚起文書

先日、茨城県県北家畜保健衛生所から手紙が届いた。

『西洋ミツバチでアカリンダニ症を確認!』との表題の文書で、今年6月に県北地域で西洋ミツバチでアカリンダニ症を確認、飼育中のミツバチに症状がみられた場合には家畜保健衛生所まで連絡をお願いします、とある。茨城県県北家畜保健衛生所からこのような手紙が届くということは、茨城県でも看過できない事態になってきているのだろう。なんとも困ったことだ。当地ももはや他人ごとではない。

 ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽

ニホンミツバチを飼っている人の大半が見ているであろうサイトが2つあって、小生も毎日のようにアクセスして情報を得ている。非常に参考になるサイトだ。
 ①京都ニホンミツバチ週末養蜂の会が運営する『ミツバチQ&A
 ②ニホンミツバチ飼育の情報交換サイト『8ちゃんねる

これらを見ていると全国各地でニホンミツバチのアカリンダニ被害が発生していて、対策に頭を悩ませているのが良くわかる。
我が家でも、昨年夏から今年の春までに巣箱が空になった・逃げられたというのは、気が付かなかっただけで、アカリンダニの影響があるのかもしれない。
・・・という不安もあって、アカリンダニ予防に良いとされる『クリスタルメントール』は春先に早々に入手してあり、今シーズン入居中の全ての巣箱にセット済みだ。

このアカリンダニ問題は、ニホンミツバチ・西洋ミツバチを問わず、ミツバチが激減してハチミツが採れなくなるという話ではない。花粉受粉する植物、とくに農作物の出来に大きく影響が及ぶことのほうが問題で深刻だ。小生にとってのような趣味や楽しみとしての養蜂ができなくなるということなどは、取るに足らないことで全社会的にみれば極めて些細なこと。だが個人的には精神的なダメージは深刻。間違いなくハチロス症になる。
・・Orz。

2017年7月25日火曜日

出穂を迎えた田んぼ & ミツバチ

田んぼでは、稲の花が咲く時期=出穂(しゅっすい)を迎えている。
稲の花
稲は花粉媒介を風の力を借りておこなう『風媒花』。蝶やハチなど昆虫の力を借りる必要もなく花は色鮮やかである必要がないため、ひっそりと咲く地味な白い花だ。
稲は、雄しべの花粉が同じ花の雌しべに付いて受粉する自家受粉の仕組みを取っているので、風さえ吹いて花粉が少しでも飛べば大丈夫で、広い田んぼで同時に一気に花が咲く稲にとっては、昆虫の訪花に左右されず安定して実を付けられる仕組みだ。じつによくできている。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
田んぼの周囲の雑草の背丈が伸びてきたので草刈りをしている。
9月上旬の稲刈り・収穫までにあと2度ほどこの草刈を行わないといけない。暑い最中の作業だ・・(´Д`)ハァ…。
田んぼの周囲の草刈りも大変な作業だ
 草刈りをした田んぼのすぐ近くに置いた巣箱(捕獲用待ち箱)にミツバチが入居しているのを発見した。正直なところあまり期待をしていなかった場所で点検確認もしばらく行っていなかったので、草刈りに訪れるまでひと月ほど気が付かずにいた。
捕獲用巣箱から本格的な巣箱に取り換えた
こんな場面にいきなり遭遇すると嬉しくなってしまう
内部を確認すると既に10センチほど巣が作られていて、入り口にはミツバチが盛んに出入りしている。入居時期が遅いために巣がまだ小さく、今年の採蜜はできそうにないが、今後の楽しみが一つ増えた。逃げられることが無いよう大事に見守り、来年の分蜂シーズンに向けてこの群れを維持してゆくつもりだ。

こんな予想外のドラマ・ハプニングもあって、なんともウレシく、楽しい毎日だ。

2017年7月17日月曜日

キュウリは茹でて喰うべし

キュウリが旬だ。
炎天下の畑から捥いだ採りたてのキュウリは、チクチクの棘が残っていて瑞々しいことこの上ない。調味料やドレッシングなど何も付けずそのままかぶりつくと太陽の味がして美味い。豊かだぁ~贅沢だぁ~とひとりごち。なにより自ら育てたものは無農薬。安心して口にできるのがウレシイ。
採れたての生。新鮮。そのまま。
それが素材本来の味が堪能でき、一番美味いものだと長年信じて疑わなかったのだが、プロの料理人の世界では少々違うらしい。
(知らなかったのは小生だけかもしれないが)新鮮な驚きだった。

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

キュウリは熱湯に入れさっと(10秒~1分)茹でることで、表面の緑色が鮮やかになり、弾力のある食感に変わり、表面の雑菌を除去できる、とのこと。和食の料理人にとってはこの下処理は一般的らしい。

素人の我々には、茹でたりするとせっかくのパリパリ感・瑞々しさが無くなりそうな気がするがそんなことはないそうだ。
詳細はこちらをご覧いただきたいが、単なるキュウリの塩もみにしてもこのようにすると食感の違いは歴然だそうな。
( → まだ自らこの方法を試していないので、『~らしい』たら『~だそうだ』の表現ばかりだ)
そんなに面倒くさい下処理でもないし、おそらく失敗もないものだろう。
是非お試しあれ。

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

ことはどうやら『食感』の問題だけではないようだ。むしろ食中毒の予防にあるようだ。
というのは、キュウリは表面に小さな凸凹が多いことに加え、水を弾くクチクラ層があるために雑菌を洗い落すのが難しいらしい。つまりキュウリは水道の流水でゴシゴシと手で擦って洗ったくらいでは雑菌だらけであり、そのまま生で食べるには安全でないということだ。見かけの泥・ホコリは取れるにしてもだ。コワい。
(→ きゅうりのいぼいぼは菌の塊り) 
(→ きゅうりが食あたりの真犯人)

キュウリに限らず、店頭で売られている野菜は生産現場から多くの人の手を経てきている。それぞれの現場でどのような扱われ方をしてきたのかは知る由も無い。
キャベツやキュウリなど生食が基本のものも裸で店頭に並べられることがほとんどなわけだし、店員や不特定多数の顧客が手に持って触るわけだ。そう考えるとこれらは不衛生極まりないものに違いない。他の生鮮食料品が衛生的にパック詰めされたりしているのに較べるとガードはとても甘い。
キャベツは表面の葉は捨てて中の部分を食べれば良いが、キュウリはそうもいかない。水洗いで雑菌を十分に落とせないとなれば、食中毒を避けるには専門業者並みに塩素処理するか、あるいは家庭で簡単に出来る『茹でる』しか方法は無いのかもしれない。いずれにしても食べる人がこのような実状を理解したうえで、自衛せねばらなぬ問題である。
現にキュウリの食中毒は度々起こっているから怖い。
(→ こちら ) 

そういえば昭和30〜40年代の子供のころは、キュウリは『塩もみ』したもの(・・・たしかキュウリ揉みと呼んでいたもので、酢が入っていて酸っぱかったり味噌風味のものだったりした)しか食卓に上らなかったことを思い出した。
これはキュウリを薄く切ることによって表皮の凸凹部分をなくし、十分に塩もみしてクチクラ層を破壊し、水で洗うことで、表皮に潜んでいた菌を極力除去していたのである。先人たちは科学的な理屈は分からなくとも代々受け継いできた知恵で食中毒を予防してきたのだと、今になって理解、ガッテンした。
長じて、前述のように何も気にせずにまるのまま生食しても何も起こらなかったのは、自家生産のキレイな野菜だからということもあろうが単に偶然の幸いでしかないのかも知れぬ。あるいは発症していても気にならぬ・気が付かぬくらいの軽度のものだったかだろう。

とはいえだ。自家生産生野菜を安心して口にできるというのは至上の幸福に違いなく、貨幣価値に置き換えは無理。だからね、里山生活っていうのは・・・(以下略)。

2017年7月11日火曜日

玉川里山はちみつ採蜜 今年の見込み

先日(7/9)、日本テレビて放映されたTOKIOによる「新宿DASH」は、新宿御苑に生息するニホンミツバチの話題だった。
新宿御苑内の松の木の洞に自然巣を作っている姿を紹介していた。
一見、大都市の真ん中でミツバチが生息できるのか?と思うが、新宿御苑のあれだけの広大な自然林があるので十分自生できるのだろう。銀座のビル屋上でも(こちらは西洋ミツバチだが)養蜂が行われていて、皇居や日比谷公園、浜離宮が近いため十分な蜜が集められるらしい。話題性としては十分だ。

この番組を見ていて、知人から聞いた十数年ほど前のことだったという話を思い出した。
当時彼が勤務していた(新宿御苑から近い)新宿三丁目交差点角にあった某銀行支店で、5月のある日の昼に窓ガラスにハチの大群が固まりを作ったことがあったという。分蜂群による蜂球である。とにかく人通りの多い場所で、かつ出入りの激しいATMコーナーすぐ近く。いきなり現れたハチの大群、黒々とした塊りに周囲はパニックになって、騒然としたらしい。区役所やら保健所などに連絡、駆除を依頼したり、通行人が近寄らぬようにロープを張ったり、支店の人が大変だったとか。
誰か一人でもニホンミツバチの習性を知っていれば、落ち着いて対応も出来たろうにと思うが、無理からぬことだ。
その後、人々の騒ぎをよそにほどなくして飛び去ったという。巣の適地を見つけたのだろう。(・・とにかく薬剤などで駆除されなくてよかった。いまの小生であれば、場所が近くであったなら捕獲に馳せ参じたいくらいだ)
   ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
今年の捕獲シーズンはほぼ終了し、現在のところ11群れを飼育・管理している。
それぞれの巣箱では、巣作りも順調に推移しており、来月後半あたりから順次採蜜ができる見込みだ。
嬉しいことに、昨年採蜜した『玉川里山はちみつ』は全て早々と完売した。
今年もリピートのお客様からはご予約も多数いただいており、既に今シーズン採蜜見込み量の半分近くに達している。
加えて、昨年から新規取引を交渉中のあるスイーツ店では、スイーツの材料として利用してみたいとのことで、パティシエの店長さんから大口納入を打診されている(ある程度採蜜量の見通しが立ってからでないと返事できないので回答保留中だ)。

昨年たびたび発生したように、夏場の採蜜後に突然逃去していなくなることも普通にあり得るのでまだまだ安心はできない。常に大きな逃去リスクを抱えている(この息苦しいまでのギリギリ感と、リスク低減に向けた知恵の出し方がニホンミツバチの楽しさでもある)。どこまで拡大する皆さまのニーズに応えられるか甚だ心配だ。なんともウレシイ心配なのだが、楽しみにお待ちいただいている方々への責任もあるので、十分に注意しながら、慎重に蜜を取っていきたいと思っている。

ということで、今年はご予約いただいている方へのお渡しを優先したいので、現見通しでは販売を委託している各店舗に卸す分(店舗販売分)は数量がかなり限定されることになりそうである。
こればかりは自然の生き物相手のことゆえ、仕方ないとはいえ、誠に申し訳なく思います。今後次第ですが、見込みが(上振れて)外れることを祈ります。

2017年6月30日金曜日

2017プラム またまた外れ

今年も我が家のプラムはひとつも実を付けていない。大外れの年である。
本来ならちょうど今頃が収穫時期で忙しいのだが、虚しく樹を見上げてはため息をついている。
2014年は下の写真のように、枝が折れんばかりの大豊作だったのだが、その後ここ3年間(2015年・2016年、そして今年)は不作続きだ。
隔年結果にしては間が空きすぎる。不思議でたまらない。
3年前のプラム大豊作の様子(2014/6/27)
こんなに実を付けた年だった(同2014/6/27)
毎年、我が家のプラムをわざわざ買い求めに来られるお客様も、また、玉川村駅前の販売所に並ぶのを心待ちにされている方も何人もいらっしゃる。
自然の現象ゆえ、どうすることも出来ないが、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
(ブルーベリーとポポーについては、今年もたくさん実を付けているので、時期が来たらご案内・販売する予定だ)

そういえば、今年の梅も不作で、ほとんど実がつかない木ばかりだった。
この春はポリネーション(花粉交配)を担うべきミツバチの姿をほとんど見かけなかった。この地域の誰しもがそう感じていたようだ。ミツバチ激減も果樹不作の一因であるか。
ずっと後になってから振り返った時、『やっぱりねぇ・・。あの時から変だった』ということにならねばよいのだが。深刻な環境変化の予兆は、身近なところからひっそりと少しずつ現れているのかもしれない。我々が気が付かないだけかも。

・・この不安だけは的中せず、(毎年のように)大外れでいて欲しい。

2017年6月25日日曜日

ミツバチ捕獲が続く

つい先ほど、巣箱を置かせていただいている家の方からメールを頂いた。
昼過ぎに大群が巣箱に入居したと、写真付きでウレシイ連絡だった。
ちょうど入居のタイミングに、巣箱近くに居合わせたとのこと。この方は昨年も同じ場所で入居する場面に遭遇している。2年続けての入居立ち合い。何ともラッキーな方だ。
大群が飛来し、巣箱に入りつつあるミツバチ
昨日、小生がそのお宅の巣箱を確認して回った時には、いずれの巣箱にもそれらしい兆候は全く無く「ダメだなぁ~、今年は空振りかぁ・・」と虚しく帰途についていただけに、ビックリだ。

当地の分蜂入居シーズン・ピークは過ぎたものの、まだこのような予期せぬ入居があるので、嬉しい限りだ。
う~ん、楽しくて仕方がない。実はこのお宅でも一家揃ってミツバチを観察してくれていて、すっかりミツバチに魅せられている様子。不思議なものである。
    ▲▽▲▽▲▽▲▽▲
これで入居・活動中の巣箱は12箱。どの巣箱からもはちみつがしっかり採れて、その後も引き続き営巣してくれて、めでたく越年し来年のシーズンにつながると良い。
昨年は夏場に蜜を採った際、その後に気温が高いために巣が落ちしてしまい、逃去する群が後を絶たなかった。なんとも苦い教訓だった。なので今年は暑さのピーク時を避けて、ひと月ほど採集時期を遅らせるつもりでいる。

さてと、報告いただいた巣箱を見に出かけるとするか。ワクワクである。

初音屋 解体撤去される

先日、玉川村駅前の「初音屋」だった古い建物が解体撤去された。
在りし日の初音屋(2017/4撮影)


長い間、廃屋の無残な姿を晒していて、お化け屋敷状態だった。列車からも見えたし、駅前を車で通ったことがあれば、その存在を知らぬ人はいまい。
いよいよ倒壊の危険が大きくなったのであろう、つい先日解体されて今ではきれいに整地された。
2017/6/24撮影
写真左は営業中の二方菓子舗
この建物、一部のマニアにはよく知られたもので、わざわざ訪ねてきて写真を撮る人もいる。なぜこんな建物を訪ねてくるのか地元民にとっては不思議なようだ。
解体撤去されたことを知ったら、残念がる御仁もきっとおられるに違いない。

     ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

玉川村駅周辺が賑わい活気に溢れた時期は、大正末期から昭和三十年代後半である。
茨城県北西部の農林産物(葉タバコ・繭・茶・炭・薪・材木・白谷石など)を鉄道輸送するための集積駅として、玉川村駅が大正11年(1922年)に開設され、ひと・モノ・情報・カネがこの地に集まった。当然のように、運輸を担う日本通運の事務所、人を運ぶタクシー事業者、地元の金融を担う農協など、社会機能の諸施設が整備されていった。
時を同じくして、集まりくる人のために宿泊施設と飲食店が開店し、街が形成されていった。宿泊施設は多くが木賃宿である。柴田屋・平和屋などがそれだ。中には「東野屋」というやや格が高い旅館もあったという(現在のみつぎデンキの位置)が、戦時中に店を閉じている。
そして、多数の人が集まるところに飲み屋など飲食・歓楽施設ができるのは必定である。飲食店の代表格は何といっても花輪屋だろう。いまも旧店舗の建物前には大きな雨水桶があり、店名が彫り込まれている。こちらもマニアには注目度の高い建物だ。

駅の後背地人口も多い時代で、通勤通学に駅の利用客も多かったし、それに加え荷役などの仕事で集まる人々も多く、街は活況を呈した。呉服店・洋品店・酒屋・食料雑貨店・自転車屋・菓子屋・魚屋・豆腐屋・電気屋など等が立ち並び、いまの寂れ具合からはとても想像できないが確かに「商店街」があったのである。加えて、小規模ではあったが舞台小屋的な映画館も存在した。まさに玉川村駅前が栄華を極めた古き良き時代である。
Pax-Tamagawa-na。。。

『赤線跡を歩く』(木村聡 著 ちくま文庫 2002年)という本に、この時代の玉川村駅の様子が紹介されている。昭和30年発行『全国女性街ガイド』なる全国の遊里を紹介している本からの引用だ。
『全国女性街ガイド』には、玉川村駅には「特殊飲食店」略して「特飲」と呼ばれた飲食店が4軒、酌婦が17名いるとあるそうだ。ちなみに水郡線の他駅については、上菅谷宿(38名)、常陸太田(48名)、瓜連(特飲7軒)。静駅(特飲2軒、9名)と紹介されていて、駅も町並みもずっと大きい常陸大宮駅を差し置いての、玉川村駅の紹介である。いかに賑わっていたかがこれだけでもわかるというもの。
この『全国女性街ガイド』には軒数・人数だけの記述で、具体的な飲食店名は書かれていないが、ときどき写真を撮りに来ている人たちはこの「初音屋」を特飲の4軒のうちの一軒に比定しているようである。
その理由は、前述の『赤線跡を歩く』に「初音屋」が写真入りで大きく掲載されていることによる。ただこの文庫本でも、単に元料理屋としているだけで特飲と断定してはいないのだが、本を手にすれば著者の思い込みが伝わってくる内容となっている。
全国の有名どころを写真中心にして短文をつけて紹介している。
東京では吉原をはじめとして16カ所、関東各地は横浜・横須賀など14カ所、
関西は飛田新地など6カ所を紹介している。
吉原が8ページで水戸が6ページなのに、なんと玉川村駅ページは単独で4ページもある。
 だが結論から言うと、この「初音屋」の建物はここで接骨院を営んでいたアズマ(東?、吾妻?、我妻?)さんという方の個人住宅兼店舗だったものであり、特飲ではないというのが事実だ。建築当初から、贅を尽くして粋を凝らした建物として知られていたようだ。アズマ氏が廃業・転居した後、別人が小料理屋(飲み屋)部分を増築し、オープンさせたものである。昭和五十年代初め頃まで飲み屋「初音屋」は細々と営業していたので、小生の年代でもよく知っている。
ここには楼にも似た立派な二階部分と店舗裏側の座敷部分があるために、著者の木村氏はそのようなニュアンスで紹介したのであろう。
残念なことにこの特飲なる業態の話は、あまり表立っては話題にしにくい話であるために、当時の様子を知るはずの古老も(本当は知っているのかもしれないが)口が重かったり、話題を回避する傾向にあるので確かなことは不明だ。むろん文書記録などの一次資料は皆無である。

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同じく駅前にある『花輪屋』は間違いなく飲み屋だった場所。こちらは女給仕が複数在籍していたことは何人もの古老の話から確かである。随分と賑わっていたとのことだ。確証はないが、こちらが特飲だったのかもしれぬ。というのは、建物の作りや装飾が、前述の『赤線跡を歩く』に紹介されている他地域の確かな建物と通ずる独特の匂い・雰囲気がある。不思議なものだ。

この花輪屋の装飾や建物前にある雨水桶は、かつての栄華を示す記念物だ。

花輪屋前にある店名が入った雨水桶
幾多の人のドラマを見続けてきたはずだ

花輪屋のガラス戸
この花輪屋店舗内でも時代を懸命に精一杯生きた無名の人々の数々のドラマがあったろう。出会いと別れ、涙と笑い、悲喜こもごもの普通の市井の人々が生きた痕跡が刻まれたろう。
だが形あるものはいつの日か無くなり、姿を消す。そして人々の記憶からも忘れ去られ、そして消えてゆく。
玉川村駅の栄華の残照として唯一の建物となった花輪屋とて、そう遠くない将来に姿を消すことになるだろう。訪れるのならば急いだほうが良い。栄枯盛衰。

2017年6月3日土曜日

ブルーベリーの花と実の不思議

我が家のブルーベリーは、一部に早生の品種があるものの、大半は7月末から8月下旬までが収穫時期となる品種だ。ちょうどいまブルーベリーの実が大きくなってきている時期。今年も豊作の予感がする。まだ青くて固いうえに、口が開いた状態であるが、びっしりと実が付いている。様子はご覧のとおりだ。
今の様子
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ブルーベリーの白い花というのは、全てが下を向いた巾着型の花である。
GWの時期が花盛り
クマバチが訪花し、興奮気味に蜜を吸っている
開口部がとても狭い構造になっている。それ故に、小型のニホンミツバチなどは花蜜や花粉がある巾着型花びらの内部には容易に入ることができない。ちょっと苦手な花だ。上の写真のように、真っ黒いフワフワの毛で覆われた大型の「クマバチ」などは、巾着を無理矢理こじ開けたり、巾着の花びらに横穴を開けたりして蜜を吸うことができるので、好んで訪花する。ニホンミツバチは、クマバチがこじ開けたり花びらに開けた穴を利用し、ブルーベリー蜜を吸い、花粉を頂いている。ちゃっかりしている。
自然界で両者は花蜜を取り合う競合相手のようでもあるのだが、このように上手い具合に持ちつ持たれつの関係になっている。
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いつも不思議に思うのは、ブルーベリーは受粉して実が付き出すと、みな上を向いてくること。何のために花は下を向き、花びらが落ちた後はなぜ上を向くのか。上を向いて実を付ける必要性は何なのだろうか。なんとも不思議な植物の習性だ。
また、ミツバチ等によって受粉を効率的に進めたいのであれば、花は巾着型よりは開放型の方が望ましいはずだが、そうではないのはどうしてなのか。
かように自然界は興趣が尽きないことだらけ。まったく飽きることが無い。楽しい。

2017年5月31日水曜日

マブシ

「マブシ」と聞いてそれが何か・どんなものかをイメージできる人がどれほどいるだろうか。漢字では蔟と書く。草カンムリに族。
今日(5/31)のニュースで、皇后さまの「初繭掻き」が報道された。皇后様は皇居内で蚕を育てており、藁でできた「まぶし」から繭を一つ一つ取りだし収穫されたとのこと。
養蚕において、まぶしは必須のツール。簡単に解説すれば、蚕が繭を作る場所。繭を作りやすいようにした仕掛け・道具である。藁で波形(ジャバラ状態)に編んだまぶしもあれば、ボール紙を井桁に組み合わせて作る、より改良された「回転まぶし」などがある。こちらはワンルームマンションタイプ。
身体が少しだけ黄色くなり透けるように変色してきた熟蚕をここに移してやると、せっせと繭を作り出すのである。
といってもまぶしの姿はイメージ困難であろうから、写真入りで説明しているHPを参照されたい ⇒  回転まぶし

我が家でも昭和四十年代までは養蚕をしていたので、これらの養蚕ツールは、あの養蚕室の独特の臭いとともにいまも鮮明に記憶に残っている。養蚕では子供が手伝える工程が多いため、よく手伝わされた手伝ったものだ。
毎年、この時期に皇后様の初繭掻きニュースに接するたびに、あの時代が蘇ってくる。すでに半世紀前のことになてしまっていて懐かしくもあるし、ちょっと寂しくもある。

かつて明治期から日本の輸出を支えた生糸だが、養蚕業の衰退は著しい。当地にもたくさんあった養蚕農家はいまでは皆無だし、葉タバコ農家も同様にすっかり姿を消した。
これらの農産物は茨城北西部の主要産業であったが、衰退していった時期と地域の過疎化が進行した時期はおどろくほど一致する。しかも過疎化はいまも進行形である。はてさて、あと5年後にこの辺りはどうなっていることやら。
来年もまた、このニュースに接したときに、おそらく同じ感慨を抱くに違いない。

2017年5月24日水曜日

胡桃の木

我が家の胡桃の木の実は、いまこんな具合だ。
枝の先のほうに、1センチほどの実が3つずつ固まって付いている。他の枝も同様なので、これが胡桃の実の付き方の標準形らしい。まだ先にはガクが残り全体が産毛のような柔らかな毛で覆われている。

昨年は実がたくさん採れたので胡桃のハニーナッツを作り、皆さんに楽しんでいただけた。今年も同様にできるといい。

ちなみに、胡桃の木の全体の姿は下の写真のようなもの。まだ樹高は5メートルほどで、そんなに大木ではない。

枝の広がりが具合がなんとなく気に入っている。実は、ロゴマークの樹のイメージはこの胡桃の木。シンボルツリーである。