この辺りでは『木石』と呼んでいる木の化石が土中から発見されることがあり、特に珍しいものとは思っていないのであるが、その木の化石の一部にメノウが付着しているのである。
この妙な取り合わせが不思議であった。
子供の時分には単純に『木石はやがてメノウになる』と、何の根拠も無く信じていたものだ。
きっと子供同士の話の中で、誰かがそのようなことを戯れに言ったのだとは思うのであるが。
さすがに今はそのようなことはあるまいと思うのであるが、しかしながら、化石とはいえ有機物の『木』に対して、全く異質な鉱物としての『メノウ』が、何故に一体化しているのかは疑問のままである。
ここの紹介するのは、我が家に(軒下に多数無造作に置いて)ある、出土時期・場所不明の『珪化木』(ケイカボク)のひとつである。
拾って残しておいたということは、ご先祖さまも少しは珍しいと感じたのかもしれない。
大きさは横20cm、幅最大8cmほど。ほぼ長方形である。
当農園内の出土と思われる珪化木 |
さらに右側の切片付近にはオレンジ色のメノウが付着しているのが判る。
2〜3cm付近にはメノウ 5cm付近には年輪が確認できる |
拡大したもの 明らかに木の化石とは異なるメノウだ |
横から見るとメノウがよくわかる。薄い。 |
珪化木の内部に差し込みもみられる |
差し込んでいる部分は縞状である |
今の時代にはWikipediaなる便利なWeb百科事典があり、かなり専門的なことまで容易に検索して調べることができる。
『珪化木』あるいは『メノウ』で検索すると出てくることは出てくるが、逆に専門的過ぎて、高校での化学知識(それもかなりお粗末なレベル)しか持ち合わせないワタクシには、理解できない説明書きである。
そんな知識レベルで読み取ったことは次の通り。
・古代に何らかの原因で土砂等に埋もれた樹木が、膨大な年月をかけ地層からかかる圧力により、木の組織細胞の中に、ケイ素と酸素と水素の化合物であるケイ酸を含んだ地下水が入り込むことで、樹木が原型を変えずに二酸化ケイ素という物質に変わった。
・この二酸化ケイ素は、石英、珪砂、珪石などの形で産出される。
・石英の細かな結晶が緻密に固まっているものを『玉随』と呼び、不純物によっていろいろな色になる。そのひとつがメノウである。
これでも良く理解できないが、化石になった木も、またそれに付いているメノウも同じ二酸化ケイ素であり、石英質のもの、ということは判った。
しかしながら、なぜ木の化石の態の部分と純粋にメノウの態の部分があり、分かれているのか、それらがなぜくっ付いているのか、は謎のままだ。
常陸風土記に登場する『玉川メノウ』のロマンも、このような化学式での説明がなされると身も蓋もない。
ますます混迷の度を深めてしまった感がある。
その成り立ちやら成分などを理解しようなどと思わないことにし、単純に美しい木の質感が残った化石を愛でることで満足としたい。
子供時代のように、そのうちに木石はメノウになる、と信じていた方が夢があり、ロマンがある。
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