2011年9月15日木曜日

ヒマワリ除染効果なしの報道

9月14日、農水省が福島で行っていた土壌汚染の除去実験についての結果を公表した。

(読売新聞 9/14)  ヒマワリ除染、効果ありませんでした

放射性セシウムを吸収するとされるヒマワリは、この実験結果では『ほとんど効果がない』とのことだ。
実際に吸収できたのは、その土壌に含まれる放射生物質の1/2000であるらしい。

この数値結果に対してあれこれ批判するつもりはない。
国の公的機関による正式な実験結果だ。
数値の信憑性は十分に高く、納得性の高いものであるからだ。

ただ、比較した他の方法、つまり物理的に表土を剥ぎ取る、水でかくはんし流す、表土と地中の土を入れ替える、という方法と比べること自体いかがなものかと思う。
物理的に強制撤去する荒っぽい方法と、自然の力でエコにじっくりと、という大きな違いがそもそもある。

ニュースにもあるとおり、強制的に剥いだ土の処理もなんら決まっていない。
それ以前に、汚染されたすべての土地の表土を剥ぐことなどできるものなのだろうか?
表土と地中の土の入れ替えも同様だ。
水でかくはんし流すというのも、汚染水を流したら下流に対する責任はいったいどうするのだ?
それは非常に効果的だと判っても、さていったいどう実現するの? と首を傾げたくなる。

おそらくは(好意的に想像すると)、高濃度に汚染されている狭い箇所の除染には有効な方法として推奨される、と言うことなのだろう。

そこまで踏み込んで報道・解説しないと、ヒマワリ無能説だけが安易に流布されてしまう。
表面だけで薄っぺらくしか情報を読んでいな人々を、操作するのがいとも容易なわけだ。
ニュースの表題そのものも『ヒマワリ除染、効果ありませんでした』ときている。
それだけ期待していたからこその見出しなのかもしれないが、ヒマワリ無能説だけを強調しているとしか思えない。

ヒマワリとて、仮に種子に放射性物質が蓄積されたらその処理に困るのであるが、少なくとも表土を剥いだ土の保存なり処理に比べれば、はるかに取り扱いが容易であろう。
今の技術をもってすれば、焼却時にフィルターをかければかなりの放射性物質は除去できる。コントロール可能な範囲ではないのか?
たとえ1/2000と効率が悪くても、いたるところで栽培されたヒマワリで集められた放射生物質は、塵も積もれば・・であろう。

なにか釈然としない、実験のやり方・比較の仕方ではないかと思う。
そもそも同列には論じられないものだからだ。
このニュースに接すると、ヒマワリ栽培のすべてが否定されたように思えてくる。
報道の仕方以前に、農水省の発表の仕方の方がお粗末なような気がするが。

         

いま福島の人たちは、なんとかして自分たちの大地を元の姿に戻したいと思っている。
個人で出来ることは、どんなことでもしたいと切に思っているはずだ。
そんななかで、共感を呼び広がりを見せているのが、先日紹介した『福島ひまわりプロジェクト』だ。
今回の農水省の実験結果発表と報道で、この草の根活動があらぬ非難を浴びるようなことがないことを祈りたい。

安全で不自由の無い東京に住み、テレビカメラの前で無責任な発言ばかりしているいわゆる『評論家』や『コメンテーター』なる人たち、永田町で理屈ばかりをこねて復興の時間を浪費しつつ、言論の府においては一国の総理演説にヤジを飛ばす人たちよりは、除染の可能性を信じてヒマワリ栽培を続ける全国の人たち・福島の人たちの姿の方がどれだけ尊いことだろうか。
民はけっして愚かではない。

         

わが元・玉川村で行おうとしているヒマワリ栽培プロジェクトも、福島と同様な趣旨の一面はあるが、このような報道には左右されず、自信をもってすすめて行きたいと考えている。
あれこれとかまびすしいが、じっくりと実の成熟を待つヒマワリ
夏の終わりの雲・・

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