ここに紹介するのは、稲刈りを終えた田んぼの風景写真である。
中央の緑のラインは畦道。
左は、コンバインで稲を刈取りつつ同時にその場で脱穀し、稲藁を細かく刻んで田に撒いた姿。
半日で作業は終了している。
現場に姿があったのは、コンバインの運転手一人と補助方一人だったであろうか。
一方の右側は、一条ずつ稲刈りし、束にしてオダ掛けし、乾燥を待つ田の姿。
左とほぼ同じ面積であるが、一列ずつ刈って、オダを作って、稲束を掛けて・・として延べ8人日要している。
乾燥後にやっと脱穀の作業に入るため、まだまだ作業は続く。
稲刈りが終わった田んぼ2枚 |
とちらの方法が良い、悪いということではない。
それぞれに長短があり、各農家の考え方や事情も異なるからである。
あまりに際立った対比であったので映像記録したまでだ。
左の田んぼ 稲が見事に細かく裁断されている 考え方によってはもったいない |
細かく裁断され田に撒かれた稲藁も、やがて鋤き込まれ堆肥となり、自然に帰る。
これもまた立派なリサイクル。エコロジーだ。
一方のオダ掛けされ脱穀する稲藁は、脱穀された後は農作業の貴重な道具・材料として活用される。
一番の活用方法は、農作業全般の多くの局面で畑に敷きつめる利用方法だろう。
保温のため、保水性アップのため、防草のため、など多目的に活用できる優れもの。
たいへん重宝する存在なのだ。
また農作業の補助ツールとしての利用は、稲束を縛るヒモとして、堆肥の原料として、藁縄の材料として(最近では自作しないが)。
以下に、今回の稲刈りにおいて使った束ねヒモとしての利用を紹介する。
これが千把扱き(せんばこき)だ |
稲藁を梳いて余分な葉を落とす |
千把扱きで扱いた稲藁で作った藁の束ねヒモと、縛った稲藁 |
このようにクルリと撒いてねじ込む 藁同士のため相性が良く大変使い易い 決して他のヒモでは代替出来ない機能性がある これらも立派な伝承すべき技だ |
そしてまた、納豆業者が良質な稲藁を求めて購入しに来る。
穫れた稲藁すべてを自家の農業で使用する訳ではないので、これらの専門業者に稲藁を毎年売却している。
無視できない農業収入となる。
農作業で使うヒモにしろ、堆肥にしろ、縄にしろ、すべて購入すれば手に入る。
今の農業は、優れた道具や豊かな情報に溢れており、昔からの知恵と技術を忘れようとしている。
今の60歳代以上の世代はかろうじてこれらを実体験で身につけているが、この世代がどんどん減っており、知恵と技術が失われつつある。
自然の豊かさを取り戻し、実感できること。
必要以上の動力は利用しないで出来る農業をすること。
できるだけ自然に帰るものを使うこと。
収穫したものの有効活用、リサイクル、エコであること。
・・等こだわりたいと思うため、昔ながらの農業でできることは極力続けている。
便利になると使わなくなるアタマと身体を総動員して、農作業を楽しんでいる。
便利な機械、道具、農薬が無かった時代の先人の知恵と技を伝承したいと思う。
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