2011年7月5日火曜日

旬の露地栽培の楽しみ

常々、できるだけ自然に近い形で作物を栽培したいと考えている。
とはいうものの、かの自然農法の創始者・福岡正信氏のような確固たる信念があるわけではない。

         


野菜本来の旬の時期をずらすために、高価な設備投資などはしたくはない、というのが正直なところ、本音ではあるが、それだけではない。
自然に背いて作る作物はやはり何かしら無理があるのではないか、という疑念である。
そしてなによりも、安全で安心して食べられる、その根拠の確かなものを自分の手で作り、納得したいからだ。
せっかく先祖伝来の、生産設備たるこれだけの土地があるのだ。
敢えてスーパーに並ぶ、季節外れ・見た目は立派・農薬の有無も不明、の野菜を食べる意味はない。

         


冬場に暖房してまでキュウリを作りたくないし、普段の生活において食べる意味はないと思う。
消費者のニーズという移ろい易いものに過度に対応すると、どうしても行き過ぎた対応をとる。
小規模なビニールハウス程度はいいのかもしれないが、暖房設備やら自動灌水設備やらの導入と大規模化・効率化がどうしても進んでしまう。
農薬の使用も同じだ。
その種目の専業農家であれば、それも仕方ないだろう。
他人の栽培方法をとやかく言う資格はない。

         


我が家は、ほとんど市場経済を意識しないできた農家だ。
(米を農協に出荷してはいるが、米価は決められており、本来の市場経済とはいえまい)
季節をずらして栽培するというようなテクニックを駆使しないだけに、旬にしかできない野菜を、食べる分だけを慎ましく栽培している。
必然的に露地栽培が多くなる。
これがまた楽しいのである。
(いろいろと非難があるのは承知している)

農作業を通じて、植物の一番活発な時期のエネルギーを直接肌で感じ取れるのだ。
旬の季節野菜には、自然の一部である人間が健康になるためのエネルギーがぎっしり詰まっている。

         

露地栽培では、どうしても穫れる野菜類は見てくれは悪くなる。葉っぱものは特にだ。
雑草と共存しているような中で育てている。
害虫や鳥の被害もひどい。
サラダミックス
肝心の葉が虫の穴だらけだ
虫をできるだけ手で潰しているがとても追いつかない

ハツカダイコンも葉っぱが虫に食べられている
虫の大好物のようだ
殺虫剤や除草剤は全く使用しないか、使っても最低限に留めている。
自分たちが食するための安心できる野菜を目指すからだ。

だが決して完全有機栽培だったり無農薬栽培にこだわっている訳ではない。
自分の判断で、必要と思うタイミングで必要と思う量のものは使う。
なぜなら貧弱すぎる野菜には、健康の素はほとんど入っていない考えているからだ。
ただ、消費者の目を意識し過ぎ、野菜の体裁・見た目を気して、これらを使うことはない。
(何度も言うが、専業農家がこれらを自らの判断で使うことを問題にしているわけではない)

今回、他人様に野菜を販売することとしたが、この原則だけは守りたいと思う。

         

これから始まる野菜販売所は、決してスーパーマーケットでも、道の駅にある野菜販売コーナーでもない。
我が家が食している自然に近い形で栽培したものをお分けしたいだけだ。
購入は、この趣旨を理解して賛同していただける方だけでいいと思っている。

ただお分けする以上、責任も伴うのも事実。
使った肥料の種類も、農薬の使用有無も、オープンでかつ正直でありたい。
カボチャ

ピーマン

小玉スイカ
丁寧に愛情をかけて育てると、しっかり応えてくれる野菜たち
だから農業は楽しい  やめられない

0 件のコメント:

コメントを投稿