まだ寒さ厳しい2月頃に、藁で囲いを造りその中に落ち葉を詰め込み、その発酵熱を利用して野菜の苗を育てる設備であって、昔の農家では一般的に利用していたものだ。
(・・・・残念ながら昨今はわざわざ作っているところはほとんど無いと思われる。藁や大量の落ち葉が手に入りにくいし、手間隙が掛かりすぎる。)
単に苗を育てるだけではない。
タップリの腐葉土が出来あがる。
腐葉土とは、落葉広葉樹の落ち葉が発酵・分解してできる良質の肥料となるものだ。
踏込み温床の落ち葉は、眼に見えない微生物や土の中に住む小さな生き物たちによって、上質な腐葉土に変わる。
種まき用土だけではなく、育苗用土であったり、畑の土壌改良に重宝する資材となったりもする。
似たものに『堆肥』があるが、堆肥がいろいろな植物の剪定枝や生ゴミなどを材料にするのに対して、腐葉土は落ち葉だけを使う点が異なる。
さらに堆肥は何回も切り返しを行い、微生物が活動しやすいように人間が条件を整えるが、腐葉土は基本的に自然任せであり完熟するまで堆肥の2倍~4倍の時間をかける。
昔から農家では、春に植える夏野菜の苗を育てる場所として、春先に踏込み温床を作り利用してきた。
落ち葉の発酵熱で苗を保温するので電気や重油などの化石燃料を利用しなくても十分に暖かく苗を守ることが出来るという優れものであり、古からの農家の知恵であり技術である。
極めてエコロジーなものなのである。今年の春先は裏山の整備の最中でまだ雑木が立て込んでいて、とても落ち葉を集められる状態ではなかった。
やっと春から初夏にかけての作業が一段落したことと、雑木を伐採して程よい環境が整ったため、踏込み温床を作ろうとした次第である。今回は時期的にいっても、発酵熱を利用する目的はない。
来年度に向けた腐葉土作りのためである。
来年の2月には再び落ち葉集めと踏込みをしよう。
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先週金曜日(3日)に藁を編み込んで枠を作った。
単管パイプで枠を作り、藁を編みこんでいった。
W200cm × D100cm × H40cm 一畳より少しだけ大きい |
一掴みの藁を横棒に巻きつけ、次の藁に交差させ巻き込んでゆく 慣れれば簡単であるが、コツをつかむまでが苦労する |
中腰の姿勢で作業を続けるのが辛かったが 1時間ほどで編みあがった |
そして今日(6/6)、山に入り落ち葉を集めた。
既に落葉してから半年以上経過しているため、程よく腐葉土に変わりつつある状態となっている。
特に大木の根元などには、白い菌が繁殖し腐食が進んでいるものもある。
かなり期待できそうな良質な落ち葉である。
直ぐにでも発酵しそうな、菌が繁殖した落ち葉 |
ネット袋に目一杯詰め込んだ |
この落ち葉を藁の枠内に入れて、ひたすら踏込む |
一段目が完了 |
次に米糠を一面に振りかける これが微生物の栄養源になる |
第二段目が完了 |
さらに第三段目の落ち葉を敷き詰め、ひたすら踏み込む |
ここまで積み重ねて、タップリと散水した。
本日は時間切れ・体力切れ、でここまでとした。
藁枠にはまだ収容の余裕がある。
明日もまた山に入り、引き続き落ち葉集めに邁進しよう。
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今日はひどく暑かった。
常陸大宮では27.2℃と7月上旬並みの気温だったようだ。
炎天下ではおそらく軽く30℃は越えていただろう。
しかしながら、落ち葉収集している林の中にいると広葉樹の木陰は驚くほど涼しい。
雑木を整理した林では、風の通りが大変良い。
汗がスッと消える。
汗がスッと消える。
緑のトンネル・天然のクーラーだ。湿度もちょうど良い。
ささやかな極楽気分である。
落ち葉をかき集め露わになった山肌からは、なんとも言えない土の香りがする。
この香り、癒しや安らぎを与えてくれる作用があるのだろうと思う。
けっして森林浴での樹木から出るというフィトンチッドだけではないのだろう。
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