今年は苗の成長も順調であったことに加え、田植え期間の日中は天気が安定して晴れとなったため、スムーズな田植え作業となった。
今年の作付け総水田面積は7反5畝(約7,500㎡)。
4箇所に分散した山間の狭隘地の田であり、総て合わせても広くはない。
(もっとも、時代と共に水の確保が著しく困難になり、周囲の田んぼも耕作放棄地となってしまい我が家の耕作継続ができなくなった田んぼが1反5畝ほどある。)
そして農業用水路も整備されておらず、水管理も大変である。
長方形にきれいに区画整理されてもいない。自然の地形に沿った形を維持している。
決して大規模農家というわけではない。
農作業を続ける理由を、あえて順位付けるとすれば、①自家用米生産のため(食料の自給)⇒②環境保全のため⇒③趣味のため⇒④農協出荷のため、となるだろうか。
あるいは田舎固有の問題として、他人の目があるため、ということも多少はある。
整備された農業用水路がないため、山から湧き出た水を田に引き入れている。
上流に人家はないため、当然ながらキレイな山の湧き水である。
であるが水が冷たい。
田に直接入れるには冷たすぎるため、田んぼの周囲に畦で水路を作り、そこを迂回させることで少しでも水温を上げる工夫をしている。
昔からの農作業の知恵である。
この谷間の田から採れる米は、生活雑水が混ざりこんでいない、純粋な湧き水で成長するため、特別美味しいと感じる。
頒布先からも極めて好評な米である。
我々はその米を、毎日、一年間、食する。
生産者としての贅沢である。
田植えが終了したので、裏の里山と谷間の田んぼに続く農道を整備することにした。
昔からある路は、現代のトラクターが通るだけの十分な幅がない。
風景としてはいいものであるが、決して使い勝手が良いものではない。
我がファームでは、バックホー(パワーショベルとか、ユンボとも呼ばれる)を1台保有している。
このバックホーが大活躍する局面は甚だ多い。百人力の頼れる機械である。
今回も、岩の山肌をガリガリと大胆に削ってくれた。
削る・掘る・押す、のパワーは実に凄い。 人手であればゆうに数日はかかるであろう作業を数時間でこなす |
木の根なども軽々と掘り返してしまう |
一気に山裾が崩される。 特にこの付近は粘土性であるため、粘る上に重たく、扱いにくい。 機械の威力を目の当たりにする。 |
この山裾に沿った曲がりくねった道は、おそらく江戸時代中期の1750年前後に作られたもの。
田んぼの開墾に合わせて作られた道であると思われる。
山は礫を含まない砂岩層で、比較的柔らかな岩ではあるが、単なる土だけの層を掘るのとは桁違いに労力が必要となる。まして当時の道具で掘削するのは大変な作業であったことだろうと思う。
先人の苦労が偲ばれる。
このようにして作られ、累々の先祖が守ってきた大切な道であり、田んぼである。
かかる先人の思いを、後世にしっかりと引き継ぎたいと考えている。
ちなみに、この道はやがて整備されるであろう『玉川村・花見山』の回遊路にもなる予定である。
バックホー作業が進む傍らの、田植えが済んだ田んぼには 白鷺(写真 右下)が舞い降り、悠然と餌を啄ばんでいた |
本日の作業は無事終了した 暮れなずむ水田風景の中を水郡線下りの汽車が進んでゆく |
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