2011年5月22日日曜日

えひめAI

大手町にある『農文協・農業書センター』で、現代農業別冊『えひめAIの作り方・使い方』という本を購入した。
(⇒えひめAIは「えひめあい」と読む)

以前に月刊誌現代農業に特集された内容に新たな取材記事を加えて一冊の本とし、活用農家のインタヴューや作り方の実際をDVDにして付録添付したものである。

えひめAIとは、簡単に言うと、納豆・ヨーグルト・イースト・砂糖の4つとお湯を混ぜて出来る発酵液である。
高知県の中土佐町のHPには、作り方が掲載されている。(MAIENZAという商品名になっている)
http://www.town.nakatosa.lg.jp/osirase/20101209-.html
当初はどうやら河川の水質改善のために開発されたようだ。
その後、いろいろな活用方法が工夫され、今では多岐にわたって利用されている。
紹介されている主な効能は、納豆菌・乳酸菌・酵母菌のそれぞれの特長を生かし、微生物の働きを活性化させることでの土壌改良機能、病虫害を減らし野菜の味をアップさせる代替農薬機能、あるいは肥料としての機能、キッチンでも洗濯機でも油汚れなどをすっきりと落とす洗剤としての機能、肌に良い(アトピーにも良いとの声もある)ので入浴剤としての機能(風呂に入れると風呂桶・風呂釜の掃除にもなる)、生ゴミやコンポストの臭いを消す消臭機能、等等。
まさにスーパー発酵液なのである。
しかも、材料はすべて食べ物であるので安心、ときている。

やや専門的になるが、詳細にはつぎの通りである。
1.乳酸菌が産生する強酸性の乳酸が、アンモニアなどのアルカリ性の悪臭物質を中和して消臭する。
2.発酵培養時に微生物が産生する酵素が、デンプンやたんぱく質、脂質などを分解する。
3.酵母菌が栄養価の高いアミノ酸を合成して、微生物や植物の栄養素を作る。
4.発酵培養時に産生する抗酸化物質(ワインのポリフェノールのようなもの)が腐敗を抑制する。
5.乳酸菌・酵母・納豆菌が土壌微生物を活性化して増殖させるので、食物連鎖が活発になり、水質浄化が進行する。


あいにく現代農業の記事は読みもらしたのか、記憶にない。
この本を立ち読みし、興味をそそられた。
作り方も簡単で、材料もそれぞれが廉価なことから、さっそく試しに作ってみることにした。

作り方は、2種類ある。
①一週間ほどかけてじっくりと発酵させてつくる方法
②24時間で作る簡便法、   である。
高知県中土佐町HPで紹介しているのは②の方法である。
具体的な作り方はこの上記HPを参照していただきたい。

まずは試しに②で作り、さっそく使ってみた。
正直、驚いた。
土壌改良の効果は直ぐには確認できないでいるが、生ゴミ消臭効果はテキメンなのである。

生ゴミとそれを集めて入れておいたコンポストに希釈液を振りかけておいたところ、あの蓋を取ったときに湧き出るムッとした悪臭が、ほぼ完全に無くなっているのである。
どうやら悪臭を発生させる微生物が、このえひめAIの中の乳酸の働きによって中和されたようだ。

この結果に気をよくして、のめり込んだ。
①の方法で作るべく、20ℓのポリタンクを購入し大量製造に挑戦した。
このえひめAIは、発酵期間中の適温(33℃~42℃)維持がポイントである。
この時期は晴天の日中であればポリタンクの水温を33℃程度に保つことは、そう難しくない。
屋外でも十分だし、ビニールハウス内に入れておいても良い。
ただ、夜間も含めて一週間、一定の温度を維持しようとすると難しいため、熱帯魚水槽用のヒーターも購入し使用した。
(①の方法はペットボトルフォルダーで包んで一日置けばよいため、この装置は不要だ)

毎日朝晩、温度を注意深く見守り、一週間かけて完成したえひめAIである。
原液で15リットルできたので、いくつものペットボトルに小分けして保存した。
利用の都度、水で希釈して使用する。
かなり使い甲斐がありそうだ。
出来上がったえひめAIの原液の一部
例えれば、甘酒のような色・匂いの液体
ただし舐めると少し酸っぱい
完成するとph3.5程度になる
☆★☆★
原料からして当たり前であるが、発酵の最中は酒が発酵するときのような、なんともいえない良い香りである。
ドブロクは作ったことはないが、きっとこのような感じの香りではないかと思う。
出来上がった液体は酸性であるため、舐めると確かにやや酸っぱい。

出来上がったこのスーパー発酵液:えひめAIを、野菜の肥料として、あるいは葉に噴霧して、どんどん使用してみたいと考えている。
トマト、キュウリ、ナス、ニンジン、ホウレン草・・・。
いま、頭の中をグルグルといろいろな野菜が回っている。
今後、結果については逐次報告したいと思う。
また楽しみがひとつ増えた。

興味のある方は、ぜひ一度作ってみて、試してみてはいかがだろうか。
材料はスーパーですべて揃うものだし、それぞれが安い。材料の使用残は食べたら良い。
②の方法では使う器も500mlのペットボトル1つだ。
それに1日~2日で出来る。
おそらく失敗はないはずだ。

     ☆★☆★
食の安全のためにも、農家自身の体のためにも、出来るだけ使わずに済ませたい農薬である。
自然界に広く存在する微生物や発酵という不思議なメカニズム。
その仕組みやら効能には、まだまだ分からない部分が多いらしい。
それらが持つチカラを引き出すことで、農薬が少しでも減らせるのならばこれ以上のものは無い。

自然界には不思議なところがまだまだある。
奥が深いと感じさせられた、今回のえひめAIである。

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