2013年9月30日月曜日

ポポーが熟し始まった。。希望者は急いで!!

今日もポポーの実が幾つか落果しているのを確認した(でもまだ40個は実が残っている)。
今日落果した分は果実を押すと柔らかく、あの芳醇なフルーティーな香りも強いものだ。

再び内部の状態確認および味の確認のためにさっそく切ってみた。
10cm以上ある大きなポポーの実
果肉はネットリしている。切ると強い匂いが漂ってきた
数日前に落果した実とは明らかに色が異なり、よりクリームイエローになってきた。
すこしだけ食べてみたが、十分に口に入れられるシロモノであった。
口中に南国系フルーツの香りが広まった。悪くはない。
だがそれ以上、口にしたいとは残念ながら思わない。小生にはちょっとクドすぎる。
⇨ いずれにしてもあくまで個人の味覚に基づく感想なので、参考にしないほうがヨロシイ。

枝に付いているポポーの実はまだ固いものばかりだが、このように熟すのが早いものもある。どうやら順番に熟して行くようだ。

ポポーの短い旬の時期がスタートしたようなので、ご案内の通り早い者勝ちでこの実をお分けしたいと思う。
ご希望の方は、9月26日のブログをご覧頂き、ご一報を。

2013年9月28日土曜日

秋晴れのもとで栗拾い 

栗拾いご予約のお客さまが東京方面から3名お見えになった。
秋晴れのもと、栗拾いを存分に楽しまれた。

気持ちの良い秋晴れに恵まれた

(ヤブ蚊が多いので)落ちている栗をとにかく拾うだけ拾って頂いて、あとで選別を。
虫食いも多い。
こんな作業も楽しい
大収穫にみなさん満足されたようだ。
それぞれ、ご家庭での消費分・お友達へのお裾分け分などお持ち帰り頂いた。
今回は合わせて、ご希望のあった新米(脱穀したばかりの籾で、数時間前に自家精米したばかりのもの)もお分けできた。

         

栗拾いの後は、折角の機会であるので東野地区・隣の小瀬・緒川・御前山地区の深まり行く秋の里山風景をご案内してさしあげた。
たまたま通りかかったひとり農業の現地付近では、車を降りて散策を楽しまれた。
静かな山里だ
渡辺ヘルムート氏の田んぼ(写真右端・ガードレール向こう側)の稲刈りはまだのようだ。きっと近々行われるのだろう。
付近の田んぼはほぼ刈り終わっている。

ここもまた、秋たけなわである。

(お知らせ)
栗の落果が最終段階に入りました。
木に付いているイガもごく僅か。
これらもあと2〜3日ですべて落ち切るものと思われます。
したがって、今年度の栗拾いのご案内を終了致します。
ありがとうございました。

2013年9月27日金曜日

無人野菜販売所に新米を並べた。栗も。

脱穀が終わったばかりの籾の一部を自家精米したことは既に記した。
先日、この新米と旬の栗を無人野菜販売所に並べてみた。

栗も新米も、若干のプレミアム分を勘案して今回のみ200円としてみた。
栗は、市場価格をリサーチ(市内某スーパーに並んでいた栗の値段を参考に)。
新米は、天日干し・地元産・自家精米したて、をプレミアムとして勘案。

いずれも季節の品であり、そうそうに売り切れた。
季節の野菜は無いが、みなさんが関心ある栗・新米が並んだ
通過する自動車も何かしら書いてある看板が立つと
注意を引かれるようだ
この看板効果は大きい
あと少ししたら、サトイモが本格的に収穫できる。
サトイモもこの販売所の人気商品のひとつ。
無人販売所に並べられる種類はけっして多くはないが、昨年・一昨年に好評だった品物を揃えてきている。

みなさまに喜んでもらえていると思うと、やりがいもあるというもの。
収益性云々は無視しているに等しい行動だが、これらの一連の作業が楽しいので良しとしている。

2013年9月26日木曜日

ポポーの実 販売します

TBSテレビ 金スマ・ひとり農業で紹介されたことから一躍その知名度が上がり、存在が再確認された『ポポー』。
我が農園内にあるポポーも昨年に続き、たくさん実をつけている。
まだ実は緑色で固く、とても熟している様子はうかがえない。

今朝確認したところ、緑色の実がいくつか落果してしまっていた。
折角であるので、それらを切って内部の様子を確認してみた。
ポポーの実はこのぐらいの大きさだ
後ろの木がポポーの樹
まだ青臭いだろうとは分かっていたが、試食してみた。
皮は薄い。白い部分がねっとりした果肉だがまだ硬い。種子が多い果実だ。
果肉をほんの少し口に入れてみたが、まだまだ青臭い生の果肉で食べられない。
だが、芳醇で濃厚すぎるあの味覚がほんのわずかに舌に広がった。
あと半月もすればネットリと熟すはずだ

種はこのような状態だ。薄っぺらい。

                      

熟したポポーの実を以下のとおり販売いたします。
街のスーパーなど一般ルートでの入手は不可能なシロモノと思います。
話のネタに、いちど食べてみたいという方、ぜひ挑戦してみたらいかがでしょうか。
お申込み、お待ちしております。

■販売時期     熟した時期。当ブログでお知らせします
■販売方法     現地引き渡し・現金のみ
            したがって、受け取りにお出でいただける方限定
            (場所は JR水郡線 玉川村駅近く)
■販売価格     一個 200円(消費税なし)
■販売予定個数  30個 ただし、お一人様2個まで
■お申込み/お問い合わせ
            hitachi-satoyama-farm@live.jp  まで

■ご注意       生モノ、自然モノにつき、形状・品質にはバラつき有
            No クレーム No リターン でお願いします

2013年9月25日水曜日

脱穀作業風景 2013

今日(9/25)明日(9/26)は雨模様となる予報。
しばし脱穀作業は中断だ。

ここ数日続いた乾いた晴天で、脱穀は快調に進んだ。
我が家では、刈り取りと脱穀を並行処理する『コンバイン』を有しないため、稲刈りはバインダーで、脱穀はハーベスタというそれぞれの専用機で行っている。

田んぼに持ち込んだハーベスタで、オダ掛けしてある稲束を取り外しながら脱穀する。
屋外での作業であるため雨が降っていたり降りそうでないこと、田んぼの土が乾いていることが作業の条件だ。

まだ湿っている田んぼの箇所を回避しながら、機械を操作してゆく。
籾が専用の袋にどんどんたまってゆく。
同時に籾を落とした稲束が次々排出されてくるので、それらを16束ずつまるく(丸く縛り上げる)。
籾が一杯に詰まった袋(約30kg)と、稲ワラ束を軽トラに積んで倉庫まで運ぶ。

機械相手に作業するため忙しない流れ作業で、体力を要する。
農家の必需品 軽トラ
この場所で春から始まり繰り返されてきたさまざまな一連の作業の記憶がよみがえる。
田起こし、代掻き、田植え、度重なる雑草刈り、水の管理、刈り取り、オダ作り、オダ掛け、そして脱穀。
そのためだろうか、乾燥した稲束の匂いはたまらなく愛おしく、良い香りがする。
 
         

脱穀した籾の一部を、さっそく新調した精米機で精米してみた。

天日で自然乾燥させた茨城・常陸大宮産『コシヒカリ』の2013年度新米である。
神棚と仏壇に供え、神に、祖霊に、豊作の報告と感謝の祈りをしたあとに食したいと思う。

2013年9月24日火曜日

マムシの出産にでくわす(画像あり)

稲刈りの時期は、しばしばマムシに出会う。
先日、谷津田に向かう道すがら、出会った『マムシ』は子供を産まんとしている母マムシだった。小さな子蛇をまさに胎内から出そうとしていた瞬間、つまりはマムシの出産シーンだった。
マムシは『卵胎生』である。つまり卵を胎内で孵化させて子蛇を産む。母蛇からは卵ではなく小さな蛇の形をした子マムシが出てくるのである。
俗説に『マムシは口から子供を産む』と言われているらしいが、これは全くの嘘である。
         
このマムシ母子を最初に発見した時には、マムシとは分かったが状況が理解できず尻尾が二つに割れた奇形かと思ったほどだ。
だが、続けて観察していると体の裏側の穴(総排出口と呼ぶ)から徐々に子マムシが姿を現し誕生したため、マムシの出産であることを理解した。
正直なところ、小生は爬虫類は大が付くほどの苦手である
あの独特の姿も動きも嫌いだ。ウロコは見ただけで鳥肌が立つ。
だが、滅多に見られないマムシの神聖で厳粛なる出産シーン、思わずシャッターを切った。嫌悪感はさておき、ちょっとした感動の場面であった。

感動の瞬間はいつどこで訪れるかわからない。
マムシの出産

2013年9月21日土曜日

2013年 稲刈り 刈取りだけは終わる

9月4日にスタートした2013年の稲刈り。本日、全ての田んぼで刈り取ってオダ掛けするところまでは終わった。

例年以上に雨に祟られ、ぬかるんだ田んぼに泣かされた稲刈り作業だった。
晴れ続きの理想的なケースに較べれば、体力的にも所用日数的にも3〜4倍はかかったかもしれない。

大変な疲れようたが、精神的には大きく一段落した。
だが休んでいる暇は無く、最初に刈り取った稲は脱穀できる程よい乾燥状態になっている。
この晴天続きを逃さずに、脱穀を進めるつもりでいる。
明日からスタートだ。
しばらく雨が降らないで欲しいと切に思う。
脱穀作業までもがズルズルと後ろにずれるのはタマラナイ。

         

毎日の疲労が累積してきている。
体の節々、とくに腰は痛い。ホント疲れたの一言だ。
だが気持ちは実に晴れ晴れとして軽やか。達成感・充実感に溢れている。

肉体作業で大量の汗をかく爽快感・心地よい肉体疲労 → 終了時の達成感と充実感・・この経験の繰り返し積み重ねが、人生を豊かなものにしてゆくと信じて疑わない。

         

今宵も、夕食時の350ml缶が疲れた身体と脳に程よく染み渡り、バタンキューだ(⇦こんな言葉も既に死語になった)。
谷津の田んぼの稲刈りとオダ掛け
秋が徐々に深まっている

ネオニコチノイド系農薬

先日のクローズアップ現代で取り上げていた『ネオニコチノイド系農薬』。
たまたま見ていたネットの記事で再び目にとまった。
その記事は、取り上げていたNHKのHP等ではなく、多分いやほぼ間違いなく今の生活では手にする事が無いであろう女性週刊誌の掲載記事だ。そのタイトルは「ぶどうジュースを飲んだあと意識障害に…」の怖い理由
(こんな接点が無い雑誌の記事も手軽に接する事が出来るネット。ある意味素晴らしい)

記事によればある22歳の女性は、ウーロン茶とぶどうジュースと梨を摂取したところ、呼吸困難と全身の筋肉の引きつりを起こし、歩行不能にまでなってしまったというもので、尿検査では『ネオニコチノイド系農薬』の代謝物が検出された、つまりはこれらの原材料にこの農薬がたくさん使用されていたらしいというもの。これらの摂取を止めたら症状は改善したとのことだ。日本のネオニコチノイド系農薬の残留基準値(安全基準値)は諸外国よりずっと高い(基準が緩い)ともある。

この女性誌の読者はこの記事を程度の差こそあれ目にし、読むのであろう。この表題のように危険性だけを強調して取り上げるのもどうかと思うが、読者・消費者が極端に走らなければ良いなと思う。これも程度問題では無いかなと言う気がする。

言わずもがなの理想論だが、顔が見える農家が育てた、安心して口に出来る農産物を食する事が最終的には自身の、そして家族の健康を維持する。
多少価格が高くても、見た目が悪くても、消費者が選んでくれる、そんな仕組みが担保されれば、もっとたくさんの農家がやる気を起こすと思う。
簡単ではないが。。。
★記事 ⇨  女性自身「ぶどうジュースを飲んだあと意識障害に…」の怖い理由

健康野菜の笑顔ww
これらはすべて無農薬で育っている
肥料も有機堆肥がほとんど

2013年9月19日木曜日

Bees disappeared ・・・ハチがいなくなった

な、なんとも悲しい、残念なお知らせをする事になった。

ニホンミツバチが巣箱からいなくなってしまった。
今日、2〜3匹のススメバチが巣箱を出入りしているのを目撃した。
もしやと思い底板を開けて見るとそこには巣屑とミツバチのバラバラ死骸。
そして一匹の大きなスズメバチが出てきた。低く重たい羽音を響かせ襲ってきたが、タオルで叩き落とし踏みつぶした。

この2〜3日の間に、どうやらスズメバチ被害にあったようだ。
巣箱の中に板にいたミツバチの一部が襲われ、群れの大半は逃走したに違いない。
本来ならニホンミツバチはスズメバチに対して集団で襲いかかり、団子状になって取り囲んで高熱で蒸し焼き状態にして殺してしまうのだが、この巣箱内のニホンミツバチの数は少なかったので、敵の来襲に為す術が無かったのだろう。
叩き落としたスズメバチ
稲刈りの忙しさと台風の風雨にかまけて、巣箱の確認をこの3日ほどさぼったのも影響している。
秋のススメバチ対策・スズメバチトラップをそろそろ設置しようかと思っていた矢先の出来事であった。
それだけに、なんとも悔しい。
ミツバチたちを守れなかった自責の念。ほんとうに可哀想な事をした。
屋根と天井板を取り外してみた
もぬけの殻だ
振り出しに戻ってしまった。
また一からの出直しである。
この巣箱にはいなくなったとはいえ、ミツバチは相変わらず周囲を飛んでいるのだし、また必ずや捕獲のチャンスが訪れるに違いない。
気持ちを切り替えて再チャレンジするしかない。
『玉川はちみつ』が一度きりの幻で終わらせないためにも、また来年の捕獲に向けたキンリョウヘンの栽培(実施中)をはじめ、蜜源の花を多数咲かせる準備を始めていこうと思う。

ススメバチ対策をもっとしっかりしないとダメだという大切な教訓を学んだ。
これもいろいろある経験のうちのひとつと割り切り、とにかく次を目指して動こう。
でないと何も始まらないから。
巣を取り外してみた。
このような板状の巣が天井板から7〜8枚、下方に伸びている。
本来なら焦茶部分にはハチミツがビッシリと詰まっているはずなのだが・・。

2013年9月17日火曜日

栗拾い and ひとり農業現地訪問OPツアーのご案内 ・・・・栗が落ち始めました

台風一過、本格的な秋が来た(と慣用的によく言うがまさにその通りと言った感じだ)。

台風の風で振り落とされたせいもあるのだが、栗のイガが多数落ちている。
口の開いたイガの中からは茶色い栗の実が転げ出ている。
今年も栗の季節が始まった。

稲刈りが終了するころ、毎朝・毎夕の栗広いが忙しくなる。
今年もみなさんにお越し頂き、栗収穫の喜びを共にできたらうれしい。

                        

例年通り、果樹園(栗)を解放致します。
栗拾いをご希望の方は、メールでご連絡ください。
その日に地面に落ちている栗は、(拾った全てを、制限無く)お持ち帰り頂けます。
みなさまお誘い合わせてご来園ください。お待ち致しております。

●料金   お一人さま入場料 1,000円
●期間   9月21日(土) 〜 10月6日(日)
      ※期間内でも実がなくなり次第終了します
●栗の状況 当ブログおよびFaceBookで状況をお知らせします
●連絡先  hitachi-satoyama-farm@live.jp まで
      希望日・時間・人数・連絡できる電話番号 をお知らせください
      出来る限りご希望の日時に添うようには致しますが、人数の関係で
      ご希望に添いかねる場合もありますので、ご了承ください。

なお、ブルーベリー摘みの際に好評だったオプショナルツアー『あのひとり農業の場所(付近)を訪ねるも合わせて催行します(無料です。栗拾いをした後となります。オプショナルツアーだけのお申し込みは不可)。
(道路から見るだけですが)こちらもどうぞ。
みなさまのお越しを待つ栗の実

2013年9月16日月曜日

台風一過

本州を直撃した台風18号は、東北地方から海に出たようだ。
今夜中には温帯低気圧になるらしい。
京都や福井などでは大変な水害となった。テレビは一日ずっと映像を流し続けた。
被害に遭われた方の事をことを思うと、心が痛む。

茨城北部の当地では、幸いな事に被害は特になかった。
田んぼの稲を干しているオダが、風の影響で少々崩れた程度だ。
そして、この雨でまた田んぼがグチャグチャになってしまい、途中でとまっている稲刈りがまたまたやり難くなってしまったということくらいか。仕方ない。

強風で、イチョウのギンナンが落ちた。葉は緑色だが、実はすでに黄色くなりつつある。
早いもので、もうそう言う季節になったということだ。

そして台風一過の夕刻の西の空は、気味が悪い程の美しい夕焼けだった。
しばし眺めてしまった。
2013/9/16  17:54撮影
2013/9/16  17:58撮影
決してデジタル処理加工はしていない。

2013年9月15日日曜日

台風接近の報で農家は

台風18号が北上しており日〜月曜あたりにも関東接近、との予報が出た。
連休中に稲の刈取りを予定していた多くの農家は、急遽予定を早めた。
昨日(9/14)は、多くの田んぼでコンバインやバインダーのエンジン音が響いた。

         

とはいうものの、当地では9月1〜5日と8日にまとまって雨が降ったため、まだまだ田んぼはぬかるんでいる場所も多い。水が溜まっている場所さえある。
田んぼのコンディションを無視して機械を入れても、思い通りに進まないことも多い。

我が家はバインダーで刈り、オダ掛けしているので、ぬかる場所は手刈りもしくは刈取りを後回しにしている。
無理に押し進めると、折角の稲が踏みつけられて台無しになったり、バインダーが泥にハマって要らぬ労力を費やすことになる。なので、田んぼの細かな状況をみながら、被害を最小限で回避している。手作業が多く大変な分、小回りが利く。
大型のコンバインを使う農家はそういう小回りがきかない。
とりあえずコンバインを田に入れて刈取りはじめたものの、途中で諦めたところもある。こうなると、高額なコンバインも立ち腐れである。

         

そして驚くべき光景も目にした。
近くの田んぼでは、ユンボ(パワーショベル)まで持ってきてぬかるんだ田んぼの倒れた稲を刈り取っていた
ユンボ(パワーショベル)
***これだけでは状況が分からないだろうから、若干の説明を加える。
稲刈バインダーをユンボのアームからたらしたヒモで吊り、泥にハマらぬようにして刈り進む。ユンボもバインダーと共に横に移動してゆく。稲が一方方向に倒れているので、一列を刈り終えるとバインダーをつり上げて刈り易いスタート位置まで戻して、また一方方向にユンボとともに移動して刈り進む。当然、田んぼはグチャグチャになる。ユンボの操作者・バインダーの操作者・刈り取った稲束を泥に浸からぬように受け取って運ぶ人、と最低でも3人が関わっている。油代もバカにならぬだろうから、人件費も含めるとエラく高くつく米だ。

ここまでするかぁぁ、と思わぬでもないが、当然何か考えが合っての事だろう。

         

我が家も途中までしか作業を進められずに日没終了となった。
この台風の雨や風で、田んぼとイネのコンディションは更に悪くなる。
全部の田を終了するまでまだ3割ほど刈取りが残っている。
後の事を考えると少々気が重たい。

疲れた身体を引きづりながら帰途についた。
薄暮の迫る田んぼの畦道を歩いてゆくと、何処からか仄かなキンモクセイの香りが。
鼻腔に香りが伝わったその瞬間に、我が空疎な脳みそで、幸せホルモン=セロトニンの分泌が突然増えた。なんとも秋である。

2013年9月14日土曜日

どぜう

どぜう=どぢやう=どじやう=ドジョウ

先日、稲刈りの田んぼで見つけたドゼウ=ドジョウである。
我が家の田んぼには、ドジョウがたくさんいる。いたるところ泥の水たまりでピチャピチャしている。
ドジョウは多いが、そんな中でもなんとも立派な容姿に出合った。
体長20センチはありそうだ。
これだけのサイズにはなかお目にかかれない。
いいよね、こんな出会い。
ドジョウにとってこの田んぼ、この環境は楽園なんだよ。

とかなんとか言いながら・・・。
笹掻きにしたゴボウを味醂と醤油の割下で煮て鶏卵で綴じて・・・などと頭に浮かんでしまい、口中にその想像した味が広がった。
だが、また田んぼの水たまりにそっと戻した。
逞しく生きろよ、もっと子孫を残せ、と念じつつ。
かれらの棲息数は、環境の健全度合いに比例すると信じて疑わないから。

2013年9月13日金曜日

NHKクローズアップ現代 『ミツバチと私たちの関係』(9/12放送)から

12日夜に放送されたNHK・グローズアップ現代から。
『ミツバチと私たちの関係』という題。

         

当たり前だが、受粉することで野菜や果物は実が付く。
その受粉に大きな役割を果たしているのがミツバチである。
逆に言えば、ミツバチの働きなくして野菜・果物は出来ないと言っても良い。

一方で、全世界的にミツバチが大量死したり失踪するといった問題が発生している。
その結果、人間が食べる食糧の生産高にも大きく影響を与えるであろうことは明白だ。
番組で大量のミツバチの死骸が写されていたが、原因はともかくミツバチを飼っている我が身としては大変心痛む切ない映像だった。
何も声を発せられない彼らである。
ミツバチの住み難い環境とは、人間にとってもいつかはその負の面が出てくる悪しき環境ではないだろうか。

番組では、ミツバチ異常に対する対応として、EUがとった農薬規制を解説している。
EUには予防原則というものがあって、徹底しているとのこと。
つまり『その時点で科学的根拠に乏しくても、放置しておいて被害が拡大してからではでは遅い』という考え方だ。
興味深いのは、科学万能主義の欧米では自然は征服するもの(できるもの)で、科学的解明がなされない・科学的根拠が薄いもの・証明されないものは、人間のご都合よろしく取り扱うものだと思っていたが、このように思考のベースに『人間にとっての幸福とは』という考え方があることだ。
日本では、経済的価値を優先するあまりあまりなじみがないがない考え方だ。
たぶんそんなことしたら、関係団体から突き上げを食らってしまいかねない。

         

今回その予防原則で使用が規制されたのは『ネオニコチノイド系農薬』である。
どうやら少量の使用で効果が持続する理想的な農薬らしい。
日本では、この農薬の禁止はせずに、違った形でのアプローチをしているようだ。養蜂家と農家(農薬を使いたい農家と受粉にミツバチを使いたい農家)のコミュニケーションによって、情報を共有する方策を取っているという。
まだ一部の試みではあろうが、利害が絡み合う立場のひとが互いに理解し、共存を図ろうとするのは良い事だ。

ただ、どんな理由があるにせよ、人間のご都合主義で農薬を使い、見た目が良い果物野菜になるように・雑草が生えないように・植物に病気が広がらないように・収穫が増えるように・・としているのであり、その結果としてもの言えぬ小動物達は生態系が崩れてしまっている。

それが本当に人間の幸せに繋がるのかと自問する。
一方で、最低限の生産は確保しなければ我々人間の生存権が脅かされてしまう。
では大規模農家の大量使用を規制すべきなのか。我が家のように小規模で少量だったら良いのだろうか? それもまたエゴのような気がする。
答えは出ない。
我々だって生活しているんだぞ (1) 
我々だって生活しているんだぞ (2)
我々だって生活しているんだぞ (3)

2013年9月12日木曜日

失礼な訪問者

秋晴れの下、今日も倒れた稲と泥と格闘した。
日が照るとまだ暑いが、流れる汗も秋の乾いた風に心地よく感じる。

刈り取った稲束をオダに掛けていると、道ばたに止まった車から男性が降り立ち、いきなり声をかけられた。
詳しい経緯は省略するが、この男性は稲藁のブローカー(仲買人または仲介業者)である。
田んぼにオダ掛けしてある稲藁を見つけては、その周辺で作業している農家に声を掛けてまわっているようだ。

         

年々、我が家のように稲束を天日干しにするような農法を行っている農家が減少している。多くの農家はコンバインで稲刈りし同時に脱穀するが、脱穀された稲藁はバラバラに細断されて田んぼにまき散らしてしまう。農家の高齢化と『おひとりさま農業(*)』化が進み、労働力の集中投下が必要なオダ干しなどは続けられないのである。
良質な稲藁が少なくなってきている所以である。

(*)おひとりさま農業
農作業において妻や子供など家族の協力をまったく得られず、仕方なく男性ひとりで農業を続けている農業形態。中山間地域の小規模農家・兼業農家に多い。また特に子供が娘だけの農家によく見られ、後継者不在という重たい課題がある場合が多い。自身の体力との兼ね合いからあと何年続けられるか不安を抱えており、悲壮感が漂うのが一般的である。これらはいわゆる廃農予備軍であり、この層の廃農が進むと農村の荒廃が加速すると指摘されている。現代の日本農業が抱える構造的な問題といえる。
かの渡辺ヘルムート氏の『ひとり農業』とは表面的には同じだが、農を楽しむ姿勢や将来に対する希望において、全く異なる。

藁を必要とする業種に、土産物として水戸駅・高速SA等で売っている『藁つと』に入った納豆を製造している会社がある。あの『藁つと』を作るために納豆製造会社は品質の良い藁を求めている。ただ、製造会社が直接田舎に出向いて藁を買い求めるなどはせず、稲藁の専門業者から調達する。農家と稲藁専門業者の間に登場してくるのが、この仲買人・ブローカーである。稲藁専門業者も直接は田んぼ回りはしないはずで、それぞれの地域を担当するこのような臨時のブローカー業者が活躍するのである。入手量は彼らの手に委ねられる。需要側としても必死なのである。なにしろ少なくなる一方のパイの取り合いであるから。

         

今日のこの来訪者には、心底頭に来た。
一言の挨拶さえなく、いきなり『そこの田んぼの稲藁はお宅の?』という唐突な質問から始まり、『藁を売る気ある?』『あんたはここの家の人?』、『藁を売るの? 売る先、決まってんの? どこ?』・・・。
はぁ??????????
なんだこの人は??
見える限り周囲には小生だけしかいない。どうやら他の人に向かって質問しているのではなさそうだ。

何もブローカーという業が悪いと言っているのではない。
われわれも農業で使う分以上の藁が売却できて現金収入を得られるということは、メリットある事だ。現に、毎年引き取りをお願いしている業者がいる。このお願いしている業者はごく普通の人たちである。

問題は、初対面の人に対する最低限のマナー、常識の片鱗もないこの男性固有のことである。
自分が求めるものを売ってくれるかどうか、交渉の端緒を開くことがまず最初ではないのか。そのためには、まずは初対面の挨拶(および労働の手を止めさせた詫びのひとつくらいあってもいいだろう)があり、自らをしっかり名乗るなりして、おもむろに声掛けした要件を手短に伝える、というのが第一段階のセオリーではないのか。そういうふうに礼を尽くして出られたら、当方だってしかるべき対応をする。
このような社会的な訓練がなされていない可哀想な人は確かにいる。なので、そのことについてはあまり怒ってはいない。ただ不憫には思っているが。
小生のこゝろは意外に広いのである。

逆鱗に触れたのはこの男が農家を明らかに見下していることである。そしてそれからくる高圧的な態度である(風貌も確かに胡散臭いものを感じたが、人は外見では判断してはダメだとかつて教わった)。
『(藁を)買いに来てやっている』
『条件なんか言う立場か、何が不満なんだよ』
『こうやってわざわざ来てやってるんだから、早くOKしろよ』
『お前らみたいな泥だらけ・汗まみれの肉体労働者とはオレは違うんだ』
・・とかなんとか心の中で言っているふうで、言葉に態度に如実に現れていた。
相手にする価値無し、と感じさせるに十分な彼だった。
当方が素っ気ない態度で無視を決め込んだら、交渉無理と悟ったのだろう、すぐに立ち去った。

あとで家人に風貌や話の特徴を告げると、以前にも我が家に来たことがあって同じように失礼千万だったので追い返した彼に間違いない、とのこと。
あんなふうでどれだけの農家が彼に売り渡すものだろうか。でも、毎年この辺りを回っていて声を掛けているらしいから、結構商売になっているのかもしれない。とすれば、あんな声の掛け方で交渉に応ずる農家もいるということか。どっちもどっちなのかもしれない。

         

稲藁も、納豆屋が求めたり、酪農家が牛のエサにしたり牛舎の敷き藁にしたりするのに必要、とまだまだ需要はある。
いずれの場合でも、仲買業者に引き取ってもらっても、放射線量の検査後にしか正式な価格が付かない。
福島原発事故はここにも影を落としている。

この自然相手の仕事もプライドを持って続けている訳だし、ひとから見下されたり、同情されたりする謂れはない。

ああ、それにしても怒りが収まらない。
(・・・『おひとりさま農業』は小生の造語である。為念。。)
稲刈りとオダ掛けの風景