2013年9月6日金曜日

稲穂たちの声なき声

こんなに手刈りしなければならない稲刈りも初めてだろう。
豊かな実りで稲穂が重たいから、という理由もあるが、田んぼの土が泥のままであるのに追い打ちを掛けるように局地的豪雨が降り、突風も吹いたりする(・・この辺りでは竜巻の発生はないのは幸いである)日が多かったので、どこの田んぼでも稲が倒される被害が出ている。
近所のこの田んぼなどはほぼ全面倒伏状態である。
ミステリーサークルならぬミステリーストリーム被害・・といった感じだ。
とにかくバラバラの方向に倒されて、稲穂が水に浸かっている。
こうなるともうお手上げだ。
この状態では稲刈り機が使えない(無理に使うと茎が曲がっているので束がメチャクチャになってしまう。ほぼ寝ている茎などは機械が掬い上げきれないので稲が泥にのめり込み収拾付かなくなる。結局、手で一株ずつ手刈りするのが折角ここまでになった稲に対する愛情とというものだろう、と思う。)。
例年にない範囲の手刈りを進めているのだが、既に茎が水に浸かって久しく、もう茶色く変色してきている部分が目立つ。発酵寸前の臭いも。

そんな稲でも、刈り取って束にして畔に並べておくだけで、急速に乾いてくる。午前中に刈ったものも午後にはかなり乾いて本来の稲藁らしくなるのである。
匂いも本来の稲藁のなんとも言えぬいい匂いになる。豊穣の香りだ。
こんな姿を見て嗅覚を刺激されると、倒れたままで水に浸かった姿からやっと解放され嬉しがっているような気がしてならない。稲にも生命が宿っていると感じてしまい、感情移入してしまう。
片や、倒れて変色したままの稲が隣にまだまだ多数ある。
早く、早く・・・と稲の声が聞こえるような気がする。

かなり無理して手で刈り・手で縛る作業を続けているので腕が、指が、腰が、痛くてたまらないが、早くなんとかしてやりたいと思ってしまう。
我ながら、つくづくこの世界が好きなんだなあと思う。

明日も天気が悪い予報が出ている。雨の中での作業になるだろう。
また作業が遅れてしまうが仕方ない。
あとあと一週間はこんな日々が続く。

今夜も金スマ・ひとり農業が放映されるようだ。
しばらく現場を訪ねていないが、渡辺氏の田んぼの稲はどうなのだろう。
ちょっと気になる。
恐らく彼の稲刈りは周囲の農家がほぼ終わった頃になるだろうと思う(例年通りであれば)。
我が家の稲刈りが終わったら、ちっょと覗いみよう。

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