機械で刈れない部分が多いため(機械が泥に埋まってしまう、稲が倒れている等等)、結局はその泥濘の稲を手で一株ずつ刈り取り、手で束ねるため、自ずと体中が泥だらけと化す。
(ちなみに、束にして縛ることを当地の方言では『まるく』と言う。『円(まろ)かる』=丸くひとつに固める、という意味の古語が転訛したものだろうと思う)
昼に泥だらけの上下を脱ぎ、着替える。
夕刻にもまた上下を脱ぐ。
これら昼・夕方に脱いだ衣類を(あまりに泥がついているためまずは泥を落とす下洗いをしてからだが)、軒下の『二層式洗濯機』に放り込む。
肉体は相当に疲れているが、今日最後の作業である洗濯作業をする。
この時間もまた楽しく貴重である。
洗い・すすぎ・脱水の仕上がりを待つ合間に、すっかり暗くなった天を仰ぎ見る。
都会とは違って周囲にネオン等が全くないため星空がよく見える。
冬よりも夏の方が、天の川がミルクを流したように・・・まさにMilky Way・・・ほぼ北から南の空に掛けてはっきりと確認できる。うっすらと雲がかかったようにも。
星座のロマンなど理解する風流は持ち合わせぬ身だが、夏の大三角(これは星座ではないが)だけはすぐに見つけられる。
夜空を仰ぎ見ながらふと気が付いた。
自分の吐いた息が白く見えている。
夜の空気はすっかり冷えてきたようだ。
そういえば朝は特に涼しくヒンヤリしている。
常陸大宮市のアメダスデータ(場所は上小瀬)でも、最低気温は16℃くらいまで来ている。
我が侭なものだが、暑かった夏も過ぎてしまえば懐かしい。
まだまだ緑が支配している周囲だが、秋は着実に忍び寄っているようで、はや山桜の木々の葉だけは一足早く色付いて来ている。
秋の忍び寄りは、稲穂の波はもちろんだが、吐く息の白さや桜の葉の色付きで『目に』『さやかに』見えてきた。
ヤマザクラの葉だけが僅かに黄色くなっている |
田一枚 刈りて清けき いわし雲 |
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