2012年11月30日金曜日

玉川村駅SL狂想曲 本章(初日)

本日(11/30)、SLの奥久慈清流ライン号が本番運用初日を迎えた。
金曜日であるにもかかわらず、玉川村駅は午前中の上り列車通過時から相変わらずの人出である。
個人的には試運転時とどれほどの違いがあるものかと思うのだが、写真を撮りたい・姿を眺めたい人には、チャンスは多い程良いようだ。

         

今日は、午後のSL停車時間には橋本茨城知事が来駅した。
茨城県としても、観光PRで外すことが出来ない強力なイベントであるはずだ。
当沿線住民としては、茨城県ももっと観光客誘致に力を入れてもらえたら有難い。
橋本知事は見学者と実に気さくに写真に納まっていた。
公務とはいえ大変である。
橋本茨城県知事(右端)
知事もさることながら、近隣の小学校の児童とおぼしき子供達が教諭に引率されて見学に来ていた。
このカメラを持たない子達にとって、間近で直接見たSLは(ファインダー越しでなく実際に体で知覚する、その大きさだったり、煙りの臭いだったり、汽笛の音色だったり・・・つまりは五感の触と味を除く感覚で、という意味で)感動ものであったであろうし、きっと深く心に刻まれたに違いない(・・・・県知事が公務で短時間訪問するのとは違って。orz)。
いつの日か自分の生まれ育った街にSLが走ったことを思い返す時が来るかもしれない。
今日の感動の記憶は写真を撮るだけに始終する大人のような行為ではけっして得られまい。

         

さて、本日の駅周辺の様子である。
試運転時より格段に人が・車が増えている。
周辺の道路は12時辺りから駐車が始まり、SLが停車(13:00)して出発(13:30)するまでの間は恐ろしく渋滞してしまった。
南から玉川村駅に向かってくる車の列。
駐車場所を探す車がノロノロと走り、渋滞がヒドい。
(13:15撮影)
駅から北に100m程の県道。
こちらも路肩駐車が多く、実質的に片道通行・一車線通行状態。
警備会社も人数を増員して、駅に近い線路周辺の警備を強化したようだ。
だが、かなりの猛者・ツワモノがいる。
警備員から注意され、構内からの退去を求められても動じずそのまま撮影を続けている。
ごく一部であっても、このような人がいるとちゃんとルールを守っている人たちまで迷惑をする。困ったものだ。
構内に立ち入り、警備員から注意を受けるがそのまま撮影を続けた人も。
休日となる明日と明後日。
さらに多くの人が来るに違いない。
車の駐車場は近隣にある会社の社員駐車場が解放さ用意された(場所はこちら)ので、少しは違法駐車が緩和されることが期待できるが、この身勝手な撮影者は相変わらずだろう。

今日、警備をしていた方もほとほとあきれていたようだ。
係員増員と、より強力な立入者排除を依頼しておいた。

         

つくづく思うのだが、これだけ沢山の人がファインダー越しにSLを写真に収めてはいるが、直接自分の目でSLを観ている・見ているひとがどれだけいるか、と。
写真を撮ることだけに神経を集中し、肝心な生の姿を自分の目でみてはいないのではないか。感動していないのではないか。
あとで実際のSLはどれほど大きかったのかとか、どんな煙りを吐いていたのかとか、どんな人が作業していたのかとか、ひいては周囲の風景はどんなだったか、とか全く思い出せないのではないか。
写真を残すことが目的なら、報道カメラマンと同じだ。
あるいはまた、デジタル化されたもの・画像の世界だけで、あたかも実体験をしたかのように錯覚する日常に慣らされた人たち、といっても良いかもしれない。
個人的には、カメラも、携帯・スマホもいったん横において、折角なのだからもっと自分の目でちゃんと見て記憶に留めることも、つまりは感動することも大切なのではないのかと思う。

あまりにデジタル機器が普及し過ぎて、かつてのような感動したから撮ったというような写真の意味合いではなく、なにかメモの感覚で写真を撮っているような時代になった。
それはそれで良いのだが、どうにも人間としての大切な何かを忘れ去りつつある気がしてならない。
かつて都内で、ある電車の乗客全てが各自の携帯・スマホにじっと見入り無言のまま、という異様な風景の電車に乗りあわせたことがある。
これなども同じような方向性ではないか。
こんな日常に慣れてしまうのは、ちょっと空恐ろしい。
将来どうなってしまうのだろうか、などつい思う。

かく言うワタシもカメラは常時携帯して感動の瞬間を収めるようにしている。
だが、モノの本質を見極めるにはやはり自分の目でしっかり見ることが一番だろうと思うので、写真は最小限度の記録に留めて、じっくりと自分の目で観るようにしている。

今日は、わが里山の前を走り抜けるSLの写真を一枚だけとってあとはしっかりと生の姿を(ファインダー越しではなく)眺めて、仄かに漂ってくる石炭の燃えた匂いを確かめながら、しばし感動した。
心地よい汽笛を山間に響かせながら、SLは去っていった。
試運転時にはまだ黄色い葉があったイチョウもすっかり落葉した
こんな行き先表示板も郷愁を覚えるアイテムだ

かつて高校に通っていた当時はこの車両だったのを思い出した
懐かしい客車だ
この記念の硬券切符の入場券セットも
売れ行き好調だ
なんやかやとSLに振り回され、心穏やかならざる毎日が続いているが、あと2日でまた静かな街に戻る。

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