2012年11月28日水曜日

サトイモを洗う 〜 イモ洗い棒

サトイモは美味い。
しっとりとした食感は他の食材には代えがたい。
茨城の県民食である『けんちん汁』にサトイモは欠かせないアイテムだ。
JR玉川村駅前に出している無人野菜販売所では、この時期、原木生シイタケと並ぶ一番の売れ筋商品でもある。

         

だが、サトイモを食べられるような姿に変えるにはちょっと手間がかかる。
当然ながら掘り上げたサトイモは土だらけだが、その土を落としたところですぐにはすべすべした姿にはならない。
やや繊維質の皮状のもの・毛のようなもので覆われている。
サトイモを手で洗うと皮膚がかゆくなる。
シュウ酸カルシュウムの結晶がたくさん含まれているからだ。
そのために、これを洗うための昔から伝わる道具がある。

『イモ洗い棒』なるもので、長さ1mほど。たいてい松の木の幹で作る。
上端に枝が2本あり、これが取っ手となる。
下端には手を指を広げたように枝が分かれている。
桶の中に芋と水を入れ、この棒を車のハンドルのように握って前後に振り動かし、ゴリゴリと芋を洗う仕組みだ。
イモ洗い棒
(福島県田村市の歴史民俗資料館のHPより)
昔はどこの農家にもあったものだが、イモ洗いのための機械も出てきたことや、なかなかこの形状に適合する松の木の幹が手に入らないこともあって、自然と姿を消した。

         

無人野菜販売所に並べるサトイモの数が増え作業が大変なため、楽をするためにイモ洗い棒を手元の材料で作ってみた。
厚めの板きれに1mほどの細い角材をX状に交差させて打ち付けただけのものだ。

形状は伝統的なものとはやや異なるもののの、機能は全く同等で問題なく、芋がしっかりと洗える(外側の繊維質の皮が剥がせる)。
取っ手部分が角材のそのままのため、長時間握って動かしていると掌が痛くなるという欠点があり、少々改良を要するのだが、即席で作ったシロモノにしては満足している。

あまりりこの棒を動かして擦りすぎると、外の固い皮だけでなく、内部の薄い表皮まで剥きすぎるので注意を要する。
この表皮に近い部分に、ネットリであり、しっとりの、一番美味いところがある。
かつてNHKの『ためしてガッテン』では、『サトイモの蒸し煮 皮はむかない!? 』という放送をしていた。根菜類は表皮の直下が美味さの宝庫らしい。
見た目きれいに皮を削がれたサトイモは、おいしい部分がだいぶ削り取られているということだ。(それでも十分に美味しいのであるが)

         

今週は、水郡線のSL試運転が続いている。
初日・2日目は土日であったので人出も多かったが、ウィークデーではそれほどでもない。
とはいえ、なんとなくざわついている駅周辺である。
そんな巷間の騒ぎをよそに、掌に痛み覚えつつ、ひとりサトイモを洗っている。

0 件のコメント:

コメントを投稿