ミツバチたちにたっぷり楽しませてもらった一年だった。
春は春で、夏は夏で、秋は秋で、そして冬は冬で。ミツバチの飼育はそれぞれの季節で楽しみが満載でけっして飽きることがない。とくにニホンミツバチ飼育ではこれが完成形・到達点というものがない。華道、茶道、柔道などと同じ「道」のようなものと思えて、奥が深い。ここが魅力のひとつとなっている。
ミツバチたちにたっぷり楽しませてもらった一年だった。
春は春で、夏は夏で、秋は秋で、そして冬は冬で。すっかり葉が落ちた木に、一か所だけ鮮やかな緑色の物体が付いている。何事かと近寄って確認すると不自然な形で小枝に突き刺さったバッタだった。どうやら突き刺さってからあまり時間は経っていないようだ。
なんとも可哀想な姿だが、これが「モズの早贄(はやにえ)」。
まさに山で見つけた季節の風物詩。
去る9月にNHK「ダーウィンが来た」でモズ特集があった。この奇妙な早贄の謎についてもいろいろと研究が進んできているらしい。
自然界にはこんな不思議がたくさんあって飽きることがない。モズの目には獲物としてずいぶんと目立ったことであろう 鮮やかすぎたか・・・ |
外観(MD301) |
内部(MD301) |
巣門(MD301) |
ご希望の方は、オンラインショップ玉川里山はちみつショップ storesからどうぞ。
花が少ない時期なので、ミツバチたちに給餌している。
ハチミツを採った後の巣くずから蜜蝋を作る際に副産物として「黒蜜」ができる。巣くずを熱処理(煮たり蒸かしたり)すると残っていたはちみつ成分が分離抽出されて黒蜜がでてくる。黒蜜というくらいなので、真っ黒だ。人間が口にするにはかなり難があるが、物自体ははちみつそのものでありミツバチたちの冬季のエサ、ごちそうである。
ひとつのこだわりとして、ハチと関係ない他の成分からなるエサ(市販の白砂糖で作った水溶液など)は給餌したくない。あくまでここで採れた、彼ら由来のものをエサとしても使うことにしている。
この黒蜜はとても粘性が強いため、そのままの黒蜜に下手にハチが群がると動けなくなり溺死する羽目になる。かなり薄く希釈しトレイにいれ、加えて足場になる葉っぱを敷いてやっているのだが、それでも溺死するミツバチが絶えない。きっと嬉しくて冷静になれないほどなのだろう。ちょっとカワイソウだとは思いつつ、仕方ない。
近くの巣箱からひっきりなしにハチが飛んできて、群がり、せわしなく動き回っている。元気に冬を越して来年につながってほしい。
朝、専用の焼き器に火を入れて周りに籾殻を被せて放置。4〜5時間ほどするとキレイな籾殻燻炭ができあがる。今年は手抜きで水を掛けて消火させることなく、熱いまま畑や田んぼに散布している。消火にはバケツ10杯は水が必要であり結構な負担だ。
稲作産物の完全還元の姿だ。土壌改良材としてもとても優れている籾殻燻炭だが、焼いている間の煙の臭いが難点だ。住宅が近い場所ではとても出来ない作業。ここでも風向きに注意しないと、生活圏が燻されて大変なことになる。幸い北西から吹く北寄りの風が多い今は、煙と臭いは山の方に流れて行く時間が多いので助かっている。
2時間後 じわじわと炭化して行く 決して燃えている訳ではなく適度に炭になる |
今年採れた胡桃を少しずつ割っている。
薪ストーブを焚いた温室。沸かした湯でホットコーヒーを淹れ、youtubeでスタバのカフェBGMを聴きながら。一個ずつハサミで殻を割り中身を取り出している。
今年は破りやすいし、中身を完形で取り出せる比率が高くなった。いろいろ試行錯誤し工夫した結果だ。「胡桃&百花蜜」の製造をお願いしているお店の方からも今年の胡桃はキレイだとの評価をいただいた。
茨城北部は今朝も霜が下りて真っ白だったが、この場所だけはポカポカの別世界。あと少しで殻むき作業が終わる。大好評の「胡桃&百花蜜」を追加製造予定している。
所用があって都内に出たついでに「旧水戸藩上屋敷跡」を訪ねてきた。いま「小石川後楽園」と「東京ドームシティ」となっている場所だ。庭園の周りは近代的な高いビルが立ち並び、遊園地、ドーム球場に囲まれた超都心部だが、園内は別世界の自然いっぱいの緑の空間となっている。
ちょうど見ごろとなっているもみじが来園者の目的であるようだが、そんな彼らともみじをヨソにある場所へ向かった。園の北東の角にある「藤田東湖の記念碑」だ。来園者の方々の多くはたぶん気にも留めない場所。実にひっそりと碑と解説板が立つ。
藤田東湖は激動の幕末期水戸藩で、藩主斉昭の側近として藩政の中枢を担った人物。一時期、我が家にもほど近い市内八田地区に置かれていた「八田陣屋」の奉行として着任していた人でもある。なので当地とも少なからず繋がりがあるお方だ。その藤田東湖が安政大地震で圧死した場所がこの地(碑の説明書きによれば、現在は三省堂敷地となっている場所らしい)ということだ。(ドンピシャのその場所ではなくとも)一度訪ねて見たかった場所だけに、感無量だった。
陣屋はその置かれた近隣地区の村々を管轄管理する奉行所。水戸藩の出先の役所だ。村々で起こるさまざまな案件が庄屋や山横目を通して上がって来るのでそれらを処理する所でもある。
ちょうど東湖の在任時期に、我が家の数代前の先祖が八田村と東野村の庄屋を兼ねていたということがあって、先祖は八田陣屋にも出入りしていたようだ。そんなこともあってか、東湖の筆になる書き付けが我が家に伝わっている(現在は常陸大宮市文書館蔵)。
園内を一周して、キレイないろはもみじを眺めた。このような完璧に手入れされた大名屋敷庭園のもみじも無論良いのだが、我が家の山に自生しているもみじ、自らが植樹したもみじのほうが思い入れがある分、好きだ。
都にて 眺めしよりも勝りけり この山里のイロハモミジは
(水戸光圀が領内巡回の折に、定宿である大子町・町付の飯村家へ宿泊し、観月の宴を催した。その際に、昇ってきた月を題にして詠んだ短歌「都にて眺めしよりも勝りけり この山里の月の光は」はあまりに有名・・でも無いか)
改札口から線路越しに見るモミジ。ちょうど正面に見える位置にある。カタチは整った横長の楕円形で枝を左右に広げている。単独で生えている大きな一本モミジ。背後には竹林が広がっている。
まだ今ひとつ葉の赤さが明度も彩度も足りないが、最低気温が10℃を下回るようになって、だんだんと色味は濃くなってきた。
とりたてて何もない駅の、今だけのちょっとしたアクセント。
当地では再びイノシシの活動が活発になってきている。田畑はじめ雑木林周辺の多数の場所がほじくり返され、周囲に大きな足跡が残されている。まったく困ったデストロイヤーだ。
(熱豚の影響かどうかは分からぬが)昨年一年はイノシシの出現は皆無で安堵していたのだが、今年は写真のような足跡の確認・地面をほじくった跡確認の機会がめっきり増えた。
主要な田んぼと畑には防獣フェンス(ワイヤーメッシュ金網)を張り廻らせているので栽培作物への被害はなく安心なのだが、それ以外の場所、屋敷近くの場所がほじくられてぐちゃぐちゃにされるのはあまり気持ちの良いものではない。
という訳で、今年もペットボトルに「あれ」を入れて、数多く吊り下げた。「忌避臭気」発生ポイントを多数設置することで、人家だったり田んぼや畑など人間が深くかかわっている身近な場所にそもそも近づけさせない・近寄らせないというものだ。
いろいろイノシシ対策を試してきたがこの忌避効果を一番実感している。目に見えて顕著だ。コストパフォーマンスも抜群に良いからなおさらだ。
手軽に作れすぐ設置 材料安価 維持管理がほとんど不要 (効用は)長期間持続 などなど。
「近寄らせない」ことは、単に他所へ追いやるだけなので駆除のような抜本的な対策ではないのだが、イノシシ被害に悩むのであればまずはやってみるだけの価値はある方法だと思う。金網防獣フェンスとの併用でより心穏やかに安心して生活できる。
今回も使ったのはこれ。恐るべし「クレゾールせっけん液」パワー。お奨めである。
強烈な薬品の臭気があたりに漂い、侵入不可の見えないバリアカーテンを作ってくれている 出没の実績地とその周辺に多数設置した |
10cmはあろうかと思われるイノシシの足跡 しかも複数頭でこのあたりを徘徊・物色したらしい |
刈り取りを待つ常陸秋そば |
(ロングヘアーの女性と上り列車は居ないが)
実際の玉川村駅跨線橋から上り方面を見た写真だ。なんて事ない一風景だが、然るべき才能を持った方が素材としては使えば、あのポスターのとおり正に「絵になる」わけだ。
写真左側の上りホーム傍にある「もみじ」の大木は僅かだが色付き始まった。これからが楽しみだ。
玉川村駅のホームをつなぐ跨線橋の上に女性がひとりたたずみ、上り列車を眺めている。天気は晴れ。澄んだ青空に白雲が浮かんでいる。彼女の長い黒髪はそよ風になびいている。彼女がここに立つまでに、そして列車をひとり見送っているのにどんなストーリーがあったのだろうか。勝手にイメージが膨らむ。
透明感あふれたこの絵は、80年代に「ハートカクテル」で人気を博した「わたせせいぞう」の世界を思わせる絵だ。最近ではJR東が「大人の休日倶楽部」でも使っているので、一瞬そのシリーズのポスターかと思ってしまった。どうやらこのポスターはわたせせいぞう氏の絵ではないようだ。
玉川村駅舎内に掲示してあるのを見つけた。「いばらき県北ポイントラリーキャンペーン」のポスターだ。県北6市町村のうち常陸大宮市はこの玉川村駅がメイン舞台だ。ちょっとオシャレ。。→ 加えて余談だが、小生はハートカクテルでは「シンデレラエクスプレス」シリーズが気に入っている。80年代にこのハートカクテルに共感していた世代がちょうどいまJR東「大人の休日倶楽部」メンバー年齢になっていて時間も経済的な余裕もできてきている。ハートカクテルワールドをリアルに経験してきた層のココロに響かせるには最適なチョイスではある)
これは昨年に作ったミツロウのかたまり。1.2キロある。 これを小分けにし型に入れお分けしている。 |
「フユザクラ」とか「ジュウガツザクラ」とか言われる品種。我が家のものどちらの品種かよくわからないが、今年も可憐な花を咲かせている。華やかさこそないが、まごう事なき「サクラ」が咲いている。これはこれで楽しめている。
一方で今年が初めての現象だが、今まで春にしか咲かなかった八重のサクラが、今年はたくさん開花して(しまって)いる。「狂い咲き」ということだ。例年に無い暑さが続いたからだろうか。
少し不気味で面妖な眺めである。
ちょうどひと月ほど経ち、いま花が満開になっているそば畑だ(近所ではあるが我が家の畑では無い)。一面に広がる白い花は視覚的にも良い風景だ。
来月には収穫して末頃には新そばが食べられる。その時を心待ちにしている蕎麦愛好家は多いはずだ。
ミツバチたちは今が嬉しくてたまらない。これだけ膨大な数の同一の花が咲いている局面は、春の菜の花と今このそばくらいで、年に数回しか無い。ミツバチ狂喜乱舞。ヒトもミツバチも嬉しい秋だ。
稲刈りが終了した。
残るは刈取り時期が少し遅いわずかなモチ米の田んぼだけなので、今日は稲刈りの実質的な終了だ。
1日作業した後の疲労感。見上げる夕焼け空には、絹雲と真っすぐに伸びる飛行機雲。
はや9月も中旬だ。周囲はすっかり秋の気配。
ゴミと共に亀も流されて来て穴を塞ぐ |
今季5回目となるニホンミツバチの採蜜を行った。4月に自然入居した強群の巣箱で、みるみるうちに4段最下部まで巣を伸ばした。
天井板を外した状態 感動の一瞬でもある |
巣箱を開けると見事としか言えないほど綺麗に等間隔に巣板が並んでいる。フレッシュな蜜が詰まっていそうな淡いクリームイエローの巣板だ。ここ数年で一番整った巣板と言って良い。新しい巣にありがちな糖度の低さだが、どの部分の蜜を計っても79度あって基準をクリア。
この糖度だと割とサラリとした粘性の弱い蜜だ。少しの差だが80を超えるとかなりドロッと感が強くなり粘性が高くなる。これもまた二ホンミツバチの蜜の特徴で、品質が一定しない。色も香りも味も、毎回少しずつ違ったものとなる。不思議だ。
外した巣箱の下側の様子 きちんと整列している珍しい巣板だ |
この巣板を取り出して潰して、120メッシュのネットで濾過する作業に入る。だいたい3日から4日掛けて(放置して)自然滴下させると巣に蓄えられた蜜の9割くらいは採取できる。
蓋がかかっているのが「採蜜してOK」のサイン |
ナイフで蓋を切り取ると中から蜜がトローリと流れ出てくる |
まだまだ日中の日差しは強く厳しい。暑さは続いているが朝夕はだいぶ過ごしやすくなってきた。そういえばセミの鳴き声もツクツクボウシが主体になってきている。季節は確実に移ろっているようだ。
当地では今週から至る所で稲刈りが始まっている。例年より一週間ほど開始時期が早まっているようだ。やはり気象が変わって来ているのだろう。今年のような酷暑が通常になると、あと数十年後には当地を含めた本州では稲作が高温のため出来なくなっているかもしれない。耐高温水稲の品種改良はおそらく進んでいるのだろうが間に合わないだろう。
などと考えながら、わが家でも昨日から刈り取りが始まった。
例年通り写真のような天日干し方式だ。なんとも環境に負荷が少なくて、将来世代にわたってもずっと続けていける、流行りの言葉で言えば「サスティナブル」な伝統的農業である。いたずらに(モミ乾燥機を稼働させるために消費する電力エネルギーなど)資源を浪費しない、素晴らしい方式だと思う。ただ還暦過ぎの身体への負荷は大きいのが難ではある。
女郎花の淡い可憐な黄色い花が見られる季節になった。
万葉集にあるこの花を読み込んだ句。
吾郷尓 今咲花乃 娘部四 不堪情 尚戀二家里
(我が里に 今咲く花の をみなへし 堪(あ)へぬ心に なほ恋ひにけり)
→私の里に咲いている女郎花(おみなえし)のような可憐なあの娘のことを、耐えられないほど恋しく思っています。(美しくなったあの娘のことが恋しいのです。)
狂わんばかりの恋心。。千年も前の男子の歌だがなんてカワイイんだろう。。
一方、オミナエシほど名は知れ渡ってはいとは思うのだが、男郎花という花がある。この年齢になるまで存在を知らなかった。気づいていないだけで普通に山に咲いている草花であった。
これも「ハナノナ」と言うスマホをかざすだけで花の名前を(判定精度・確度と共に)調べてくれるAIソフトのおかげだ。このような局面でAIは威力を如何なく発揮する。ありがたいし、すごい。使わない手はない。このアプリのおかげで花の名をだいぶ勉強出来ている。
来年春の蜜源多様化のために「クリムソンクローバ」の種を撒いてみた。
土地はたくさんあるとはいえ、初めての試しみの植物であり野菜など耕作用土地には撒けぬので、今回は山のゆるやかな傾斜地に種まきしてみた。先日、下草を刈り取った場所で、水郡線の列車からも県道からもよく見える場所だ。
肥沃とはいえ山の傾斜地。雑草に負けて思うように生育しないかも知れないし、土地が合わず全く芽が出ないかも知れない。逆に土地があっていてよく生えて見ごたえがあるかもしれない。未知数だが、まったく花が咲かないということはないだろう。景観としても鮮やかな赤で目立ってよろしい。それよりも流蜜の多い蜜源として貴重な花だ。ミツバチも喜ぶ。
一面に咲くとこんな感じ→ 雪印種苗・クリムソンクローバ・くれない
あれこれと来春の満開の風景を想像し、飛び交うミツバチたちの姿をイメージしながらの下草刈りや種まきは(確かに酷暑の中で大変なのだが)楽しい。
今回は大子町から男女お二人がお見えになった。巣箱を切り離し開ける時分にはちょうど雨が降り止む絶妙なタイミングとなった。
今回は参加した女性の方(右)がお手伝いをしてくれた |
今回の巣箱は昨年5月捕獲で無事越冬してくれた強群。今年4月に分蜂しているものの勢いは衰えず既に巣箱6段を埋め尽くすほどに巣が伸びてきていた。
最上段の切り離した巣箱は対角線に綺麗に蜜の溜まった巣板が並ぶ典型的な巣の断面だ。
自宅に戻って蜜を垂らす作業を開始。蓋を切るとトロリとした蜜が流れ出てくる。
たくさんの人にこの感激を味わってもらいたいと思っている。次回はどんな驚きの表情に出会えるだろう。
おそらくだが当地域では今年は今日8/6の日曜日が多くのところで「墓なぎ」の日である。多くの墓所で一斉に清掃活動が行われているはずだ。お盆の前に墓地利用者(大抵は同一姓の親類)が一堂に会し共用部分を中心として清掃するのがしきたり(サラリーマンが増えた以降は日曜日というのが慣習のようだ)となっている。
その日を前に、先日のゲリラ豪雨と強い風が当地を襲った際に墓所近くの栗の大木が倒れた。内部が虫にかなり蝕まれており、倒れるのは時間の問題であったが、それにしても太い樹がいきなり折れたのだからすごい風の威力だったようだ。
こともあろうにこの栗の大木が墓所に通じる小径を完全に塞いでしまった。お盆前のしかも墓なぎ直前のタイミング。全くもって余計な仕事ではあるが至急片付けせねばならなくなった。久しぶりに出番となったチェーンソーを駆使しての切断作業と、運搬機による太い幹部分の運搬・撤去まで一時間ほどで終了。炎天下の作業ではあったが順調にはかどった。
運搬機は力持ちだ このような生木の大木も軽々と軽快に運んでくれる 省力化に貢献している |
このようにして、樹木の世代交代・置き換わりが進んでゆく。今回処分したこの栗の木からは随分と長い期間(40~50年だろう)にわたって大粒で味の良い良質の栗を収穫してきた。多大な恩恵にあずかってきたこの木に感謝しつつ、根元部分を切断。最期を見届けた。
ここには新たな品種の栗の苗木を植えることにしよう。