2011年4月14日木曜日

『抜き打ち井戸』を掘る

突然ではありますが、『抜き打ち井戸』なるものを、我が「ひたち里山ファーム&ガーデン」の一角に掘り始めました。
『井戸』という言葉を聞くとすぐ頭に思い浮かぶのは、深い穴が掘ってあり、底には湧き出た水が溜まっていて、それを「ポンプ」なり「つるべ」なりで汲み上げるというもの(つまりは『掘りぬき井戸』)ではないでしょうか。
しかしながら、今回挑戦した『打ち抜き井戸』とは、このイメージの井戸とはまったく異なるものです。簡単に説明すると、地中に埋めたパイプの周辺の土砂の中に溜まっている地下水をポンプで吸込み吸い上げるとい代物。これ以上の説明は難しいけれど図にすると次のようになります。 
     
製作の労少なく、簡単にして便利。
これを作ろうと思い立ったのは、紛れも無く今回の東日本大震災。
3月11日の地震で市内が断水し、しばらく自衛隊の給水車のお世話になったことは既に記したとおり。自由になる水のありがたさを痛感したことによります。このとき頼るはずだった我が家の自家井戸は、(古いこともあって)井戸枠のコンクリートが一部壊れたり、井戸水が濁ったりと、肝心なときに使えないという事態に陥りました。
新たな井戸を掘るのも大変だし何かいい方法は無いか、と思案していたところ、目に留まった井戸掘りに関するネットのHP。
曽我部さんという方が、自作した『井戸掘り器』で『抜き打ち井戸』を掘った経緯とその詳細を公開しておられます。(http://www3.ocn.ne.jp/~marchan/newpage8.htm)
道具も簡単で、短期間で、自分で掘れる、といううってつけのもの。失敗したって良いではないか、それもまた田園の快楽のひとつ、と割り切れば楽しいもの、と気楽に考え、急いで曽我部さんから道具と参考図書を取り寄せました。材料を集めて自作することも考えましたが、今回は時間を優先し曽我部さん製作の完成品を分けていただくことにし、すぐに作業に取り掛かることにしました。

曽我部さんから取り寄せた『井戸掘り器』は、塩ビパイプを加工した至極単純なもの。
そのほかの必要な部材(塩ビパイプ等)は、幸いにホームセンターも市内にあるため容易に手に入ります。加工道具(電動ドリル等)も我が家にあります。

さっそく作業開始することに。
桜の幼苗を植えた場所の隣を、建設場所に選定しました。
建設場所から20mほど離れたところにある昔からの自家井戸は深さが6mほど。地表から水面までは1m70cmであることから、この新たな現場でも2mほどで水が出て、5~6mほど掘り込めばおそらく岩層になるのではと想像がつきました。
詳しい作業経過は省略しますが、要は最初はスコップで50cm四方の穴を掘り進み、ある程度(スコップで掘るのが難しくなる1mくらい)進んでからは、この秘密兵器の『井戸掘り器』の登場です。
バケツ一杯の水を穴に入れて底に泥水溜まりを作ります。あとは径20mm長さ4mの塩ビパイプに取り付けた井戸掘り器を、泥水の底に何度か突き刺して、泥水とともに救い上げ、泥水+土を捨てる、またパイプを泥水の底に下ろす、泥水の中を突く、引き上げる、捨てる、の繰り返し。

畑地だけに土壌が柔らかいこともあってどんどん掘り進み、わずかな時間で地表から4mまで到達。予想した通りに、50cmで黒い表土が終わり、次にローム層と表土が混じった黒褐色の土が1m70cmまで続きました。ここから粘土層が始まりました。
粘性の高い粘土に悪戦苦闘しながら、この層を掘り進みます。
井戸掘り器は順調に泥と粘土の塊を掬い上げてくれます。4m塩ビパイプがほとんど隠れるくらいまで掘り進みました。地表から4m20cmまで到達です。 
底のほうに水が溜まっているのが見えます。1m70cm地下の水面です。
途中で、井戸枠としての径75mm長さ4mの一回り大きな塩ビパイプを打ち込みます。
井戸掘り器の径が50mmであることから、掘り進んだ穴径よりはすこし太いいためやや抵抗はあるものの、意外にすんなりと地中に収まりました。 
深さが4mを越えると井戸掘り器を付けた4m塩ビパイプでは、さすがに掘り進めなくなります。そこでさらに4m塩ビパイプを継ぎ足して掘り進めることになります。
 
深さが4m70cmで粘土に小石が混ざり始め、粘土層を抜けたことが分かります。
それ以降は、何度底を突いても硬いものに当たっている感触で突き進めません。どうやら岩盤層に突き当ったようです。
結局、4m80cmで作業終了とすることにしました。これもほぼ予想通りの深さです。
差し込んだ75mm井戸枠パイプの中を覗き込むと、すくそこに水面が見えます。
湧き出ている水量は分かりませんが、まずは井戸掘り第一ステップは成功のようです。
ほぼ一日の作業でここまで出来、予想をはるかに超えた実に効率よい作業でした。

ですが、汲み出した水は相当に金気臭い、つまりは田んぼの泥水のキツイ匂いがします。
まだ泥水(・・・というか粘土を水に溶いたドロドロ土状態)なのだから仕方ないことではあるのだけれど。
本日の作業はここまで。
明日以降、ガチャポン(手漕ぎポンプ)を調達してきて、このパイプ井戸に接続してみようと思います。さてさてどうなることやら。楽しみです。

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