2013年3月13日水曜日

田の準備 始める

今年度の稲作の実質的な作業を始めた。

昨年秋に刈り取りを終えた田んぼは切り株もそのままにしてある。
これから耕して水を入れる作業に入るのだが、排水が悪い部分、つまりは一枚の田んぼ面でもやや低湿な個所があり、水がたまっているので、これを排水してある程度乾かしてから耕すことにしている。
トラクターが泥濘に嵌るのを防ぐという意味合いでもある。
 
         

小さな運河のごとく、排水路をスコップで掘り、水を流す。『水切り』と呼んでいる作業。
耕地整理事業がなされていたり、独自に排水の暗渠設備をしていれば不要な力作業だが、我が家の田んぼはそのような設備はしてないので、毎年この作業を続けている。
ベタベタの土は容易には掘れない。粘ってスコップに張り付き離れない。
まさに悪戦苦闘の重労働だ。
なかなか進まないが、気長に作業を続けている。
額を流れる汗も、爽やかな風にあたるとたいそう気持ちがよい。
 
この現場には、『リフレ』だとかいう経済用語も、『スマホ』だとかいう情報機器も、まったく縁がない。観念的な世界・バーチャルな世界とはだいぶ距離がある。
(やや大げさだが)自らの肉体だけを頼りに自然と対峙しているこの瞬間は、全身でもって生きているという充実感を直截的に得られる瞬間だ。
 
         

一方で、手を休めながら共存相手の生き物たちをじっくりと観察する。
スコップで土をすくい上げるたびに、ドジョウ、カエル、タニシ、ザリガニなどが出てくる。
ここの田んぼの土の中は彼ら生き物の楽園だ。

そして表面の暖かい水たまりにはカエルの卵がたくさん確認できる。
オタマジャクシとなる日も近い。
卵の黒い部分は大きくなり、オタマジャクシ寸前だ
         

昨年夏の大雨の際に、田んぼの土手が広範囲に崩れた。
青々とした稲の田んぼに土砂・泥が流れ込み、部分的にだが稲が埋まってしまった。
どうにか収穫はできたものの、流れ込んだ土砂を取り除くという、全く余計な作業が発生していまった。
収穫後、土が乾くのを待って、少しずつ土をスコップで掘り上げる作業を続けてきた。

土手面は傷跡もまだ生々しいが、かなり原形近くまで復旧できた。
田んぼに流入した土もかなり取り除けたので、田起こし(土を耕す作業)を行った。
土を戻した土手面はいまは荒々しいが、
やがて雑草に覆われる。
         

日差しが強くなるのにあわせて、またこのように田んぼでのドラマが始まった。
いろんなことで心配したり、がっかりしたりしながら、秋の収穫まで続くドラマだ。
さて今年はどんな気象となるのだろうか。
出来ることなら、水の過不足の心配も、病気の心配も、日照の心配もせずに、終わりたいものだが、自然には逆らえない。

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