2013年4月30日火曜日

イノシシ被害

新緑が眩しい里山周辺は、人間の生活活動の場であると同時にまた野生の動物達の生活の領域だ。

最近は、日本の国鳥キジが出没する機会が増えている。
しばしば庭先の畑をオスメスのツガイで闊歩する姿を目にする。
さらに、ケーンケーンと甲高い声で鳴くものだから、居るなとすぐ分かってしまう。
狩猟する人も機会も激減しているのだから、昔に較べると棲息数が格段に増えているのだろう。

田んぼにはイノシシが出没する。
畔や田んぼの土中のミミズでも食べるのであろうか、至る所の土をほじくり返す。
田んぼの右側部分の黒い部分は、全てイノシシがほじくった部分だ。
田んぼ真ん中の草が生えて緑の部分は被害に遭っていない部分。
両者の違いは明瞭だ。
上の写真の田んぼは他家の休耕田だが、見事なまでにイノシシが田んぼを耕してくれている。本来は水田中央部のような緑の草に全面が覆われているむはずなのだが、畔に近い部分を重点的にほじくり返している。黒く見える部分がイノシシが荒らした部分。
イノシシにとって、よほど魅力的な田んぼらしい。

そしてつぎの写真が我が家の田んぼの畔である。
代掻きした田んぼの畦道が見事なまでに破壊されている。
代掻き前に畔の草を刈ってきれいにした畦道だ。
ヤツラは決まって夜間に犯行に及ぶ。
朝一番にこの光景を目の当たりにした時、我々が脱力する気持ちは理解戴けるだろう。
ウクレレ漫談ではないが、『あ〜あ やんなっちゃった、あ〜あ 驚いた』だ。
もう原型を留めない程に畔はボコボコ。
こうなると、折角貯めた田んぼの水が漏れ出てしまう。
至急に畔を補修するまた余計な作業が必要となる。

これがヤツラの仕業である動かぬ証拠である。

偶蹄目のヒヅメの足跡だ。

共にこの地で生きる生き物同士であり、割と寛容な気持ちでいるのだが、正直この瞬間だけは『あ〜あ、またやりやがったな、この野郎!!』と思う。
だが、いちいち怒っていたのではきりがない。
またスコップで土を盛り上げ、畔を整形し直す。

このような獣被害を防ぐため電気柵を巡らす農家もあるが、我が家等はコストを考えると到底そんなことは出来ない。

中山間地の農業の現場で、このようなドラマが繰り広げられていることを、おそらくは都市部住民の方々はご存知あるまい。
そして同じ農家であっても、(イノシシ等出没することがない)平坦地での大規模水稲農家の方々も考えたことはないだろう。
(・・・愚痴るつもりはないし、同情して欲しいということでもない)
慣れっこになっているが、実は切実で深刻な問題だ。
農業を続けることは、かようなことも含めて実は簡単ではない。
悩みながらもこのように続けていけていられるのは、限りない『農』への愛着があるからこそである。

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