ふと、冬の袋田の滝を訪ねてみたいと思った。
凍てついた雄大なその姿を想像しながら、国道118号線を北上する。
1月の水曜の午後。
滝周辺に密集する土産物屋に観光客の人影は、ない。
地元の人の姿も車も疎らで、閑散としている。
観光シーズン中にはかなり強気の営業をしている有料駐車場にも、車は一台もない。
山陰の川沿いを吹き抜ける風が頬に冷たく、一層の侘しさを醸し出す。
川沿いの土産物屋通りを抜け、料金所で料金を払う。
料金所窓口の係の女性も、今日はさすがに手持不沙汰に違いない。
暗いトンネルを進み、観瀑台を目指す。
近づくにつれて滝の音が次第に高まってくる。どうやらかなり水が流れ落ちている感じだ。
滝は、数日前に寒気がゆるんだこともあって、なかなか完全氷結までには至らないようだ。
突然視界が開け、雄大な轟音とともに白い巨大な滝が現れる。
目の前に聳える氷の壁。
その隙間を流れ落ちる幾つもの筋の水音ではあるが、巨大な滝である、さすがに迫力がある。
おそらく流れが全て凍ってしまうと静寂な滝となり、違った世界なのだろうがこれはこれでまた良い。
ここに先客はひとりだけだ。今日は歓声もザワメキもない。
静かに滝の音に耳を傾ける。
エレベーターで、滝をもっと上部から見られる新観瀑台へ向かう。
しばしの時間、誰にも邪魔されず最上階からひとり滝を眺めた。
帰り道のコース、吊り橋を渡りながら改めて滝を見上げる。
やはりこのアングルも良い。
今日来てよかったとしみじみ思った。
ずっと後方に3人連れが吊り橋を渡ってきた 滝の大きさがわかるだろう |
滝からの帰りの時分には、この山間の町は雪が舞った。
久慈川沿いの急峻な山々が一気にモノトーンの世界になる。
道路も薄ら白くなる。積もる前にここを脱出したいと車を急がせる。
短時間ではあったが、冬らしい感慨に浸れたひとときだった。
そして今日、袋田の滝にまつわるある記事に接した。
大子町のHPに、「日本の名瀑 袋田の滝 キャラクター愛称 決定」として、「たき丸」なるキャラクターが出ている。そして表題にはさらに「NEW 重要」とも付けられている。
知らなかった。このような「ゆるキャラ」が作られていたことも、愛称を募集していたことも。
⇨ 大子町HP 観光のお知らせ
いまや全国至る所にこの類いのものが氾濫している。溢れ過ぎだ。
大子町としても、安易な図式ではあるが、どうしても・どうしても・追随したかったのだろう。
その是非は問うまい。恐らく識者が十分な検討をし組織として決定したことなのだろうから。
でもなあ、これって・・、このキャライメージさぁ・・ww。乙。。
いやいや、部外者の無責任なコメントは控えよう。
いまも目を閉じると、昨日見た寒空を背景にし孤高の雄姿で聳えたっていたあの氷の滝が甦る。
あの滝の音が耳の奥に聞こえてくる。
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