2015年3月6日金曜日

Lentinan(レンチナン)

シイタケの原木本数を増やすためと、原木の新旧交代のために、シイタケ種の植え付け作業をした。
年末に切り倒しておいたクリ・コナラの木を玉切りし、『森290号』という品種の種駒を植え付けた。肉厚でジャンボなものが穫れると標榜しており、当初よりこれを使っているが、事実たくさん穫れるので大変やりがいがあり楽しめる。

今年は太さ(径)が10cm内外の原木を60本用意した。(長さは1m)
太い原木はたくさん穫れるイメージは確かにあるのだが、重たくて取扱いに困り難儀した経験から細めのものばかりにしてみた。
半日かけて、下の写真にある『しいたけの種』(一箱800個入り)を2箱、つまり1600個の種駒を植えこんだ。

森290の種はホームセンターで売っている。
一箱800個入りで3000円ほど。
我が家のシイタケはすべてこの種類である。
電動ドリルにシイタケ原木穴あけ用のキリ歯をつけての作業。
1600個の穴あけは、これなしには到底不可能だ。

種駒打ち込み作業が 終わった原木は、たっぷり水を掛けた後に野積みしブルーシートを被せて保管した。
原木全体に菌が回るように適宜撒水し湿度を保ちつつ、6月まではこの状態で管理。
その後は林の中に並べて、来年秋の収穫を待つ。
         
いままでたくさんのシイタケを収穫させてくれた4年前の原木は、大半がボロボロになって朽ちてきた。昨年秋が最後の収穫だったか。
さすりながら、ごくろうさんと声を掛け、労をねぎらった。
思えば、いっ時には食べきれないほどのシイタケを生やし、我々に恵みを与えてきた。
まさに身を削ってきたのである。
いま役割を終えて土に戻ろうとしているその姿は、少し哀しいものがあるが、大役を終えて晴れ晴れしくもある。
        
食べきれないシイタケは、干しシイタケにしたものだ。
生のままでは保存がきかないシイタケだが、日光に当てて干すというだけで保存に向くようになるうえに、栄養・旨みが一気に増える不思議な食物である。
シイタケを日光に当てるとビタミンDが増える、おいしくなる、ということは多くの人が知っている。
ちなみに原理的には、シイタケのエルゴステリンという成分が日光に当たるとビタミンDに変わるという化学作用。
ビタミンDはカルシウムの吸収をよくする役割があるので、骨を丈夫にするには不可欠な栄養素なのだ。成長期の子供には大いに食べさせるべし。

そして、おいしくなるというのは、シイタケに含まれる旨み成分のグルニア酸が、天日に干すことによって菌糸細胞に傷がつき組織の内部から出やすくなるという物理作用らしい。
グルニア酸は加熱することで増えるらしいので、煮る・炒めるという調理でさらにおいしくなるということだそうだ。
                  
その次の話もある。
干しシイタケには、β-グルカンなる食物繊維成分も含まれ、これが免疫機能を高める働きがあることがわかってきて、医療にも応用されているとのこと。
                     参考HP →  干しシイタケ
シイタケに含まれるβ-グルカンはレンチナン(Lentinan)と呼ばれ、抗がん剤・抗ウィルス剤などに実用化されているようだ。
なんと不思議で素晴らしいパワーを秘めた食材であることか。
焼いて良し、煮て良し、炒めて良し、漬けて良し。生で良し、干して尚良し。
滋味に富み、免疫を高める、素晴らしい食材。

原木シイタケは、栽培手間は最初だけで、その後はさほどかからぬ。
原木を増やしていって採れ過ぎたところで、干しておけば良く、困ることはない。
自然の恵みにただただ感謝。自然の不思議にただただ敬服。

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