2014年12月12日金曜日

今年も柚子の季節

柚子の収穫時期到来である。
霜が本格的に降りはじめたこの時期に取ってしまわないと傷むようだ。
確かに実が『ぶくぶく』もしくは『ぷわぷわ』の状態になる。
         
今年もいつもどおり、山方地区にある母の実家に柚子を採りに出かけた。
我が東野地区では柚子を禁忌作物としているため、我が家を含めてどこの家にも柚子がないのである。したがって毎年別の地区からいただいている。

この作物禁忌のいわれは、子供のころに祖母から聞かされた話では、東野の鎮守(地殿神社)の神様が柚子の棘で目を突いてしまったから、という。
誰も本当の話とは信じまいが、だからといって禁忌を犯してまで栽培している人もたぶんいないと思う。
当鎮守社の祭礼が廃れてしまって久しいが、今なお年寄りたちの体内カレンダーには『ゴジンジ』、すなわち『ご神事』の日がインプットされている。そして、彼らはその日には煮しめやらお蒸かし(おこわ)等を作って食しているのである。
かような素朴で信心が深い人々が健在で、細々とでも文化が継承されている間は、この禁忌は守られるのだろう。
あるいは代は代わっても『植えてもなにもないとは思うが、敢えて破るのもなんとなく気が引ける』程度の心情的な引継ぎはなされてゆくのかもしれない。これが文化なのだろう。

いつも柚子を採りに行ったときにそんなことを考える。
         
今回も柚子の皮をピーラーで剥いてタッパーに入れ冷凍保存した。こうしておけば一年中柚子を楽しめる。ちょうど一年前のものを使い切ったところだ。


うどん・そば・ラーメン等の麺類にはからなずこの冷凍柚子皮を刻んでトッピングしている。鍋物のにも欠かせないアイテム。里芋の味噌味の煮ころがしとのコラボは絶品だ。
個人的だが、これを入れることでグレードの一つ上がった食べ物になる気がしてならない。
豊饒な実りにただただ感謝。

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