2016年5月30日月曜日

芍薬の花の香り

今年の芍薬(しゃくやく)の花の見頃が終わりつつある。
特徴であるヒラヒラの花びらが萎れ、かつての華やかさが失せてゆく。
衰退過程にあるとはいえ、緑の中にあってなお威厳を漂わせている。
我が家の芍薬は、マゼンダもしくはディープピンクで色が濃いから余計だ。

真すぐにツンと上に茎を伸ばし花を咲かせる。高貴な美しさを漂わせた花は豪華でエレガント感が満載だ。昔から美女の形容のひとつに使われている理由もうなづける。
                                          
その素晴らしい姿は皆の知るところだが、さてこの花の香りというのはどのようなものだろうか。
我が家の芍薬(5/22撮影)
実は、我が家の芍薬のタイプは花に顔を近づけても香りは余り感じられない。仄かな香りしかしない。(キャベツ状に)中心部分まですべて花びらでぎっしりと包まれているからだろうと思う。
めくっていって雌しべ・雄しべが見えた状態で鼻を近づけて、やっとはっきりと香りを認識できる。
中まで花びらが詰まっているが、無理矢理開くとこんな感じ
なにか特徴的な香りがある訳ではない。バラとかキンモクセイのような強い匂いはない。
語彙が乏しくて上手く表現できないが、人工的に合成した化学的香りと言う感じだ。外国製フレグランスにありそうな香りで、百貨店の一階によくある化粧品売り場に足を踏み入れた際(用事はないので通路を通るだけだが)に感じる香り・・だ。おそらく世の多くの女性はこの様な香りを好むのだろう、たぶん。
                                          
調べてみたら、やはりあった。
フランスの化粧品・ロクシタンに『ピオニー』という商品シリーズがあり、芍薬の香りであるという。『神様に愛された花』で『妖精から生まれた、美人の香り』だそうだ。

果して我が家の庭で確認した香りと、このロクシタンの商品が同じ香りであるのかどうかは残念ながら分からない。ロクシタンを試す機会は今後も無いだろうから分からぬままだろう。
だが『妖精から生まれた美人の香り』がする『神様に愛された花』が溢れんばかりに我が家の庭に咲いていると考えるとちょっと楽しい。
                                          
かの萩原朔太郎をして『5月の朝の新緑と薫風は、私の生活を貴族にする』(月に吠える)と言わしめた5月がもうすぐ終わる。
牡丹はすでに終わったし、芍薬も間もなく終わる。山に白い百合が咲く、暑い暑い夏は近い。

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