当地では今年のニホンミツバチ分蜂群捕獲はピーク時期を超えた感がある。
巣を探す探索蜂の来訪が目に見えて減っているし、最後の捕獲は5月5日あたり(6日に巣箱に入居しているのを確認)で、ここ一週間は動きが止まっている。
例年、時季外れの捕獲も数例あるのでまだ完全な幕引きにはならないが、大勢は決したといえる。
今年の捕獲成績は次の通り(5/12現在)。
・新規捕獲 14群
うち逃避 2群 (→差し引き、飼育継続できている捕獲群 12群)
・去年からの飼育群 3群
〆て合計 15群 がいまの手元の飼育数である。
なかなか立派な成果で満足している。
例年よりやや早く4月上旬にスタートしてほぼひと月。慌ただしくも最高に楽しい時間だった。(・・継続中)
市内照田地区Kさん宅の巣箱には4月14日と一番早い時期に自然入居があり、ご夫婦とも大変なお喜びであった。最初は特に関心がなかった奥様のほうがむしろ朝昼夕の観察が日課となったそうで、心弾んだ毎日と伺った。ご主人も巣箱に出入りする蜂を眺めていると時を忘れ2〜3時間も座り込むこともザラだとか。確実にみつばちはこのご夫婦に幸せな時間をもたらしたようだった。同じようなことはハチが入居した他のお宅でも認められ、置かせてもらった当方としても大変嬉しい。とにかく生活のメインにミツバチが確かに入りこんで心が躍ることになのである。例えれば犬や猫のようなかわいいペットがいきなり家に来た感じかもしれない。
そのKさん宅巣箱でミツバチ減少が顕著になり、先日ついには完全に居なくなってしまった。入居はしたものの何か条件が合わなかったのだろう、作り掛けの巣を残して逃避した。このような経験は何年か飼育していると度々経験するのだが、やはり悲しい出来事だ。逃げたものは仕方が無いと諦めて次の捕獲に向けて巣箱をリセットするのだが、今年初めて入居して歓喜し観察してこられたKさんご夫婦にしてみればまさに突然の『ハチロス』。ぽっかり心に穴が開いてしまったようだ。落胆は大きい。まだ次が入る可能性は十分にありますよ、などとたいして慰めにならない言葉しかかけられなかった。
巣箱を掃除する際に、残された15センチほどの巣に貯められていた僅かな蜜をご夫婦に食してもらった。まだ色は透明でさらさらした上品な甘さだったが、少々哀しくもある味だった。
こういったドラマを繰り返しながら、みつばちを介した地元コミュニケーションは深められている。以前よりずっと広範囲な人との交流が活発になっている。これもみつばち飼育がもたらしている付随的効果で、むしろこちらのほうこそ価値があることだろうか。
大それたことを言えば、人口が減り、高齢者ばかりの地元で希薄になりつつある地域コミュニティの維持にもっと(みつばち飼育は)利用できるのではないかと考えている。
いま国が音頭を取って始めている地方創成。小生などには難しくてよく判らぬが、やるべきことは金をばらまくことでも、お役人が組織を作ることでも、立派な箱ものを造ることでも無いだろう。地味だが地に足の着いた、その地域に合った方策があるものだ。このみつばち飼育によるコミュニティー深化にしてもお金にはならぬし、目に見える形あるものでもない。ただ地域の文化や村落そのものの存続のためには維持強化してゆかねばならぬたいせつなものに違いなく、これらが育ってこそ郷土愛も育まれ、地元を何とかしたいと皆が考えるのではないか。きっかけとしてはこんな仕組み・コミュニティーもありだと思う。とにかく大事な視点は、お金に換算できることばかりが価値あること・ものではないということ。
そう考えると、里山地域の秘めるValueは極めて高いことに気付く。
趣味で始めたみつばち飼育だが、考えるべきこと・学ぶことは数多い。
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