2015年10月25日日曜日

『そば蜜』の味

蕎麦の花は白い。畑一面に秋蕎麦の花が咲いているときは絵になり、産地の初秋風景としてメディアで取り上げられる。
やがて収穫され、香り高い新蕎麦となり、蕎麦好きの人々を唸らせる。
播種からひと月経った9月中旬のそば畑の様子
蕎麦の花
蕎麦は花は清楚な白で、麺となっては新そばの香りということもあり、クリーンでスマート、繊細なイメージを得ていると思う。それはそれでよいのだが、実際には蕎麦の花の香りはほんのり豚舎の臭いである。知らない人が多い。よりによって豚舎臭とは、まったくもって見かけによらないのである。
そして、蕎麦の花から採れるはちみつ=そば蜜はというと、ネットで知り得る情報ではかなり個性的だ。蜜の色はほぼ真っ黒だ。お味はというと、紹介しているHP等のPR文章からだと美味そうにも不味そうにも受け取れる。→たとえばこのページ

3~4キロ北隣の長田(おさだ)地区や野上原(のがみはら)地区には大規模にそば栽培をしている農家があるし、我が家でも少しだが蕎麦栽培をしていることもあって、ミツバチの活動の場になっている。我が家のニホンミツバチも間違いなく蕎麦の花粉も花蜜も集めているに違いないが、我が家で採れるはちみつは四季を通して集めたいろんな花の蜜=百花蜜であるので、どれほど蕎麦成分が含まれているのかは見当もつかない。ゼロではないことは間違いないのだが。

このようなことから、かねてから蕎麦単独の蜜の味とはいかなるものか、一度食してみたいと思っていた。だからと言ってちょっと試食のためだけにひとビン買い求めるのも抵抗があってねぇ・・。

最近、その試食願望が叶った。
有名な国内大手のY養蜂場の専門ショップにおいて、はちみつを試食出来るところがあるとの情報をネットで知った。当然『そば蜜』も置いてある。先日、その都内某所のY養蜂場ショップで『そば蜜』をはじめとしていくつかを試食させてもらったのである。
                 
以下は個人的な評価であることを断っておく。
小生の味覚分類においては『そば蜜』は不味い部類に入る(⇒あくまで好みであって『そば蜜』を否定したり誹謗したりするものではない)。我が家の百花蜜『玉川里山はちみつ』の味に慣れているせいもあるのだろうが、個性が強すぎて口に合わない。ポポーの実も同様だが『うまい』と感じる人もいる一方で、小生のように『口に入れられない』という人間もいる、左右のウィングの広いはちみつで好みは分かれるだろう。
色は濃い褐色でほぼ黒である。味は苦みが強くて甘みが感じられない。喩えれば黒糖を煮詰めて焦がしてしまった感じといえば近いか。しばらくのあいだ口中に苦みとえぐみが残ってなかなか去らない。早く口を漱ぎたい衝動に駆られた。香りは焦げ臭さのようでもあり、薬品臭さのようでもあり、食欲をそそるものではない。マヌカハニーも独特の苦味と臭いがあって個性的だが、『そば蜜』も負けていない。成分的には他のはちみつより鉄分が豊富に含まれるのでそのせいもあるのかもしれない。上で紹介したリンク先の人はそば蜜を『金魚』と表現しているがわかる気がする。
ひとビン買わなくてよかったと正直思った。

合わせてアカシアはちみつやレンゲはちみつも試食した。
みなさん御承知のとおり透明度が高く、味も混じりけのないスッキリした風味で、確かに美味しいのだが物足りなさが残る。
いろいろ食してみてわかったことは、ピュアなアカシヤ・レンゲなどの単花蜜に比べると百花蜜は『雑味』があることで味わいが深くなっているのである。『雑味』を良いと感じるか悪いと感じるかは個人の好き好きだ。

とにかくこれはこれで貴重な経験で、わが『玉川里山はちみつ』の良さを改めて実感できた機会だった。
玉川里山はちみつ
                                           
自分ではいまの『玉川里山はちみつ』の味も色も香りも大変気に入っているし、皆様にも大変ご好評をいただいている。
安定した品質を確保し、味や色や香りのブレを一定幅に収めて特長を損なわないようにするためには、巣箱の設置環境は厳選する必要性があることを痛感した。
特に蕎麦由来の成分が増えすぎると、『そば蜜』に近づいて味が変わる可能性は高い
いまの常陸大宮市東野地区の山野の環境・畑作の構成から大きく逸れるような場所では、別の風味のものが採れてしまう。それだけは極力避けたい。

個人が良いと確信する味を追求し商品化してきた。独りよがりではなく実際にこの風味でのファンも増えてきている。これで良いと確信を深めた。

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