2013年1月22日火曜日

常陸大宮市歴史民族資料館 企画展『常陸大宮の地下資源』

予報が外れ、雪こそ降らなかったが朝からぐずついた雨模様だった。
融けだした先日の雪と相まって地面はグチャグチャ、ベタベタで何をするにも中途半端。
このような日は作業を思い切って休む完全休業日である。

         

常陸大宮市の歴史民俗資料館・大宮館に出かけた。
ちょうど『常陸大宮の地下資源』という企画展を催している。
企画展のパンフレット
表紙の写真は久慈黒石硯だ
古くから産地として有名な砂金・金鉱山、水郡線敷設工事や戦後の東京復興に大いに活用されたという砕石や砂利、江戸で火打石シェアの大半を占めたメノウ、そして砂鉄や硯石など、当地域で採掘されたり生産された各種の鉱物資源の実物が簡潔な説明とともに要領よく並べられている。
他に植物や貝の化石も展示されている。

コンパクトではあるが内容は充実しており、極めてレベルの高い企画展である。
これらを見ていると、我々はなんと豊かな大地に生活していることかと改めて気づかされる。
ぜひ一度ご覧になることをお勧めする。(入場は無料だ)

         

展示品と合わせて、今回の企画展開催に当り市民から個人所有しているメノウの出展を募ったところ多数集まったようで、大小さまざまな珪化木・メノウが展示されている。
大きいものでは幅50cm、厚さ20cm、奥行き40cm程もあろうか、大メノウが2つ並べられていた。
これだけの大きなモノには初めお目にかかった。正直驚いた。
ここまで大きいと立派なお宝である。
我が家のメノウ軒下コレクション中の最大のモノと較べておそらく20倍はあろう。
資料館の展示品は写真撮影禁止なので、その大きさを写真で紹介できないのが残念だ。

         

何気なく見ている我が家の山も、新生代・新第三紀・中新世の玉川層という地層で、1680万年くらい前のものだそうだ。
この地層には化石が多い。
そういえば、近くの山中で露出している岩に、貝の化石が幾つも見つかる場所がある。
我々地元民が『貝殻山』と呼んでいる場所だ。
この付近は太古の昔、浅い海底であった証拠。
子供の頃から貝の化石など当たり前で何の不思議も感じずにいたが、これってすごいことなんだ。
うーん、1680万年かぁ・・、海底火山の爆発、大地の隆起、海進・海退・・・。。。
時間の尺度が違い過ぎて困惑してしまう。
資料館受付で頂いたパンフレットの解説と鉱石の現物を眺め、何億年・何千万年という悠久の時を思った。

         

今日の展示会場は訪れる人も少なく、このような物思いに耽るにはちょうど良かった。
しばし展示品に魅了され引き込まれていたのだが、残念ながら幾度と無く繰り返されるある男性のカメラのシャッター音で興を一瞬にして削がれてしまった。
会場内は当然撮影禁止なのだが(=>壁には『写真撮影はご遠慮ください』と注意書きが張られている)、係員がいないことを良いことに、ほぼ全ての展示品をカメラに収めていた。

退出時に係員の方に確認したらやはり撮影は不可であるとのこと。
先ほどの状況を告げると、驚いていた。
男性は係員とは顔見知りらしく、2人が親しげに話していた内容から察するに(・・・聞こえてしまったのだから仕方ない)この歴史資料館と同様の施設で同様の仕事に携わっている御仁(県職員か?)のようだ。
撮影の許可は特別していないようだったので、資料館の係員もバツが悪そうであった。

おそらく彼には何かしらの特権意識があるのだろう。
あるいは単に彼の民度の問題なのかもしれない。

今回展示されているような鉱石を撮影したからといって、石そのものの性質やら歴史的価値に変化があるとは思えない。
だが中には金鉱山関連の古い紙の展示物(鉱山で働いていた人の給料袋だったか)もあった。

やはり、しかしである。
今回は良くても、企画内容によっては中には古文書や絵画など光で劣化しかねないものもあるはずだ。
やはりこういった場所では一律撮影禁止とするルールが正しい。
どうしても撮影が必要というなら、専門職員による可否判断のもとで慎重に行われるべきだ。

         

このように人の行動はどこで誰に見られているか分からない。

われわれのような一般の入場者がそこにいるのだから(いや、いてもいなくてもだが)ルールは守って欲しかった。
ましてや、展示物の保存に細心の注意を図るべきお立場・職種の公務員であればこそ、だろう。

企画展の内容が良かっただけに、ほんとうに残念な出来事だった。
なんとなく後味が悪いまま資料館を出た。
雨は前にも増して強くなり降り続いていた。

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