2012年8月24日金曜日

都会向け『疎開保険』

読売新聞の朝刊(8/24)から。

中国山地にある鳥取県八頭郡智頭町で考案した『疎開保険』なるものが注目されているという。
智頭町は中国山地中央部にある典型的な田舎の町だ
仕組みはこうだ。
掛け金に当たる年会費(一人10,000円)を納めると、災害にあったときに町内で受入れるという契約。
居住している地域が被災し災害救助法の適用を受けた場合、町内の民家や宿泊施設に1週間避難ができ、災害がなくても毎年秋には約4,000円相当の米や野菜を加入者に還元する、というもの。

昨年1月スタートというから東日本大震災の前から始まっている仕組みだが、震災後には加入者が急増しているという。
すでに契約者は300人を超えたということだ。
地理的に比較的近い大阪(80人)・兵庫(24人)からの申し込みが多いのは当然としても、東京(76人)・神奈川(27人)・千葉(17人)からの申し込みも多いのに驚く。
このシステムでは、定期的に町と都会とが交流できるうえ、町の農産物の販路が広げられるメリットもある。
何もない田舎だからこそ可能なことであり、都会と田舎がそれぞれの特長を活かし、互いのメリットを享受できる。
平常時から、物質的にも精神的にもつながり助け合うモデルがここにはある。

         

このような仕組みは、以前からここ常陸大宮・東野でもできないかと、常々考えていたことだが、ぼんやりと考えていただけで、具体的な行動はなかなかできないでいた。
(本来は自治体が積極的に音頭をとってやるべきことだろうとは思う)

いち早く実践した智頭町には敬意を表したい。
契約者数が増加しているとの報に心を強くした。
一年でこれだけの申し込みがあり、確かなニーズがあることが分かった。疎開地までの距離もあまり関係ないようだ。
潜在的なニーズはもっと大きいに違いない。
やり方によっては、きっとこの需要は喚起できるはずだ。
都市住民を田舎へ呼び込む強烈なきっかけとなりうる。
在京の親類だけへの声かけ対応ではなく、個人的なつながりからではあるが全くの第三者に対するシステム・サービスを作っていきたいと思う。

都市の居住者で、田舎に地縁・血縁などの頼れる知り合いがいない人にとっては、近すぎず遠すぎずの関係を保ちつつ(・・つまりは必要以上に濃い付き合いを要しない。ここがポイントだろう)、非常時には(契約をもとに)遠慮なく頼れるという、ちょうどよい距離感の仕組みであろう。

太平洋戦時中の疎開では、まだ都市住民にとっても田舎との地縁・血縁が色濃く残っていた時代であったからなんとか(窮屈で屈辱的な生活であったとしても)できたはずだが、いまはこのような仕組みでないと大半の人が疎開などできないだろう。
先の大震災を経験した現代の都市住民の方々には、何かしらこのようなコンテンジェンシープラン(Contingency Plan)を用意しておくことも大事だろう。
震災から生き延びたとして、次に生きてゆくための安心を担保する仕組みである。

         

災害は発生しない方がよいにきまっているが、発生したときになくてはならない仕組み。
これぞまさに保険の理念だ。

天災は忘れたころにやってくる(物理学者・寺田寅彦の言葉という)
首都圏にあって、常磐自動車道・JRのアクセスも良い場所だ
(JR玉川村駅 跨線橋から北東を望む)



1 件のコメント:

  1. この保険は、まがい物です。非人道的だと思いませんか?
    たとえば、本当に災害が起きた時、
    ①「疎開保険」への加入の有無で受け入れを断ることができますか?
    ②災害時の7日間の受け入れです。その期間を経過したら「出て行ってください」と言えますか?
    ③創設以降のデータが公表されていません。どういう運営なのでしょうか?
    以上だけでも「言葉の遊び」以外の何物でもありません。
    町役場が担当していますが、仕組み維持のための人件費や諸経費の無駄です。

    おそらく追随なさる自治体はないと思います。

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