あのモジャモジャしたヒゲがやや茶色に変わり、太さも増してきた頃がちょうど良い取り入れのタイミングだ。
そのタイミングは、人間様にとってだけのものではないことを毎年思い知らされている。
そう、ハクビシンにとっても絶好の狙い目の時期なのである。
毎年、あちこちで人間とハクビシンのトウモロコシバトルが繰り広げられる。
撃退に有効だと言われる方法は何でも試している。
収穫時期のトウモロコシのヒゲの部分にコショウを振り掛けたら効果があった、という月刊現代農業に紹介された記事を参考にして、去年・今年と続けてはいる。
が、全部が全部きちんと散布できる訳ではない。
奴らはその隙・手薄なところを狙って荒らしに来る。
我が家ではトウモロコシそのものの作付けを段々と縮小してきている。
被害がひどく、果たして誰のために作って育てているのか、正直分からなくなってきているからだ。
スーパーに並んでいるような実がしっかりと揃ったトウモロコシは残念ながらなかなか採れない。
まれにそのような完成度が高いものが期待できそうなときでも、確実に奴らは狙いを定めて夜中に荒らしにくる。
朝方、荒らされたその無惨な姿を見るに付け、脱力感に囚われたことが何度あったことか。
なので、栽培を最小限に留め比較的丁寧に管理ができるだけの本数に留めている昨今である。
これからが本格的な収穫の時期であり、気が抜けない。
憎っくきハクビシン、里山が広がるこの周辺では実に深刻な害獣なのである。
我が家の隣の畑でも自家消費用にとトウモロコシを栽培している方がおられる。
我が家より幾分早めに収穫時期を迎えている。
この畑では、早くからトウモロコシの列を防鳥ネットで完全に囲み、万全の態勢で奴らの侵入を防ぐはずであった。
が、しかし。
その方から、ネットの下の土を掘られ潜り抜けられて、収穫待ちのトウモロコシが荒らされた、との嘆きの声を聞いた。
パイプ・防鳥ネット・・とかなりの設備投資と、さらには労働投下もしてきているが、またしてもやられたとの嘆き節。なんとも切実なのである。
もはやお手上げ、とのことだ。
ここまでネットを丁寧に張り巡らし、 捲られないようにネットの端をパイプで重しをしても 身体が通れるだけの穴を掘り侵入した。 中には無惨なトウモロコシが幾つも転がっている。 |
スーパーで購入したほうが、粒が揃い形も良く、味もきっとよいし、なによりもトータルでみたら著しく経済的だろう。
経済合理性・費用対効果では、確実にそう言える。
しかし、そこには『我が家で育てた』とか『自分で収穫した』という満足感だけは、残念ながらない。
形は悪くとも、味も及ばずとも、多少の出費は嵩んでも、ハクビシンにイライラしつつも、懲りずに毎年作り続けるのはその満足感のためだけだ。
きっと来年もこの時期にまた同じぼやきを繰り返しながら、収穫を待つのだろう。
何やかや言っても、それが楽しくもあるのだからやめられそうにない。
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