2015年11月24日火曜日

またミツバチに逃避される

ご近所のKさん宅に置いてある巣箱から、ミツバチが逃避した。

秋口からのオオスズメバチの猛攻を受け続けていた巣箱。10月中ごろからハチの数が激減していたが出入りは少しはあった。何とか持ちこたえてくれればと願っていたが、今日の内検で完全にいなくなっているのを確認した。まったく残念至極である。

分蜂ピーク時期からやや遅れた6月末の入居であったものの、かなりの強群で勢いよく巣作りをしていた。見ていても楽しくなるほど頼もしい群で、高さ14センチの巣箱の3段目まで巣を順調に伸ばしていた。
だが、箱を開けてみると蜂の姿はまったくなく、蓄えられていたはずの蜜も見事に無くなっていた。

泣く泣く台から外して持ち帰った。
取り外してきた巣箱
左側が巣箱上。3段目まで巣が伸びてきていた。
最盛期にはこの巣が見えないくらいハチがびっしりと張り付いていたのだが。。
天井板を外して上から見た巣箱内部。
本来は蜜で埋まって、琥珀色のはずだった。
空っぽの巣はカサカサである。
逃避の原因は『オオスズメバチ』の連日の猛攻しか考えられない。
いくら粘着シートを張り巡らしても、スズメバチトラップの液体を吊っても、巣箱入り口で常にオオスズメバチが待機しているような状態では、さすがに嫌気がさしたのだろう。オオスズメバチも多数繁殖している周囲の恵まれ過ぎた自然環境のせいともいえる。
こうなると我々人間も対処しようがない。今年はオオスズメバチが異様に多かったのがさらに不幸ではあった。やれることはやってきたうえでの結果である、諦めるしかない。

これで、管理下のミツバチは5群(うち1群はいつ消滅してもおかしくないほどハチが少ない弱群)。ひやひやしながらこれら5群が冬本番を迎える。
                                           
巣箱観察を楽しみにしていたKさん。
この結果に少し残念な様子であったが、そこは長年厳しい自然と向き合ってきて、素晴らしい人生経験と哲学をお持ちだ。泰然と構えておられる。気を落としてがっかりしている小生を淡々と諭してくれた。
『やっぱりそうがぁ。でもしゃあんめぇなぁ。来年があっぺ。ここいらがらハヂメ(※註)がいなぐなったわけじゃあんめえし。レンゲが咲いたら大丈夫だっぺ』(→やっぱりそうかい。でもしかたないね。来年があるよ。ここら周辺からハチがまったくいなくなったわけではあるまい。種を蒔いたレンゲが咲いたら、きっとまた入ってくれるに違いない。大丈夫だよ)

そう、上手くいったりダメになったりの繰り返しがニホンミツバチ飼育の面白さではなかったか。気を取り直して来春の捕獲に向けて頑張ろう。まったく居なくなったわけではないのだ。
今まで以上に、あれこれ知恵をめぐらそう、そうすればきっとまた入ってくれる。それだけの素晴らしい環境がここにはあるのだ。


(※註) ハヂメ・・蜂のこと。
この辺りでは一般の動物名の最後にメを付ける言い方・方言がある。われわれ人間に対して動物を下等なものに位置づける、蔑む意味合いを持たせている。メは接尾語もしくは助詞であろう。
使い方としては、犬は『イヌメ』、牛は『ウシメ』、豚は『ブタメ』、鳥は『トリメ』など、ほぼすべての動物に付ける。亀や燕などメで終わる動物名にも付け、『カメメ』や『ツバメメ』となるから不思議である。一般には男性が使う言い方で、女性はあまり使用しない。さらに一定年齢以上だけが使うようになっているため、古語になりつつある方言といえる。死語になる日も近いのだろう。貴重な方言が消えつつあるのが寂しい。

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