2015年9月7日月曜日

ミツバチのプチ家出

山方地区にある親戚から電話が入った。
ここにはミツバチ巣箱を2つ置かせてもらっていて、うち一つが7月に入居して営巣中だ。
奥様から、『庭の周辺を、すごい数のハチが舞っている』との連絡だった。
いまの時期に分蜂はありえないのでちょっと変だなと感じつつも、どこかの巣から逃避してきた群かなぁ、あたらしい群れが来てくれたならもうけものだなどと思いつつ、捕獲道具を揃えて親戚宅へ急いだ。
                     
約30センチほどのラグビーボール大の見事な蜂球が、庭先の梅の木の幹に作られている。間近に姿を観察できる蜂球は初めての経験だ。ネットでよく紹介されている蜂球そのままの姿で、うっとりしてしまうほどの美しさである。

美しい蜂球
不思議と皆が上を向いて固まっている
脚立を使えば手が届く範囲。どうやら容易に捕獲できそうだ。
分蜂時期でもなかなか見られない蜂球
これは貴重なシャッターチャンスだ
脚立を出してもらい捕獲作業に入った。
                    
捕獲開始のその前に。
めったに遭遇できないチャンスだったので、かねてより一度やってみたいと思っていた『蜂球に指を差し入れてみる』を試みた。最初は恐る恐る、そして大胆に、ズボッと。
人差し指の根本まで蜂球の中に突っ込んで、しばらく感触を確かめてみた。
ふわふわしていて、ほんわか暖かい。指の周りでハチが蠢く感触は何とも不思議なものだった。
(ここまでしてもミツバチに刺されることはなかった)

蜂球の取り込み方法としては、蜂球を丸ごと袋に掻き落として空き巣箱に流し込むという方法がある。あるいは、巣箱を蜂球の上部分に置いて蜂球を巣箱に誘導するという方法がある。
今回は手の届く高さで梅の幹が巣箱を仮置きするに丁度よい位置であったことから、後者の方法を選んだ。
巣箱を置いて、ゆっくり蜂球を手で崩して塊を巣箱に誘導する。蜂球が崩れたその瞬間だけは辺りにハチは飛び散るものの、ものの5分もしないうちにほぼすべてのハチが見事に巣箱に収まった。
めでたし、めでたし。
                     
と、めでたく終わるはずだった。
悪い予感は的中した。家の裏に設置してあるあの7月入居の営巣中巣箱がもぬけの殻であった。
つまりは、家裏の巣箱から逃げ出て、家前のこの梅の木にとまっただけだった。家出をしたもののすぐに見つかってしまったという訳。プチ家出とでもいうべきか。
こうやって補導、いや捕まえて連れ戻せたのだからめでたしではあるのだが、あまり面白くはない。

斯くして、親戚宅のミツバチのプチ家出はあっけなく幕を閉じた。
ミツバチの家出は何が原因なのかさっぱり解らぬ。
スズメバチ対策も念入りにしてあるので、スズメバチ被害ではなさそうだ。
空になった巣箱には確認できるようなスムシ被害もない。
家の人の話では、周囲の環境も以前と変わったことは特にないと。

また現場に何度も足を運んでは考えられる原因を推定して、あれこれと改良を図ることになる。
幸いなる哉、けっして飽きることがない。
ニホンミツバチ養蜂はなんとも知的で高度戦略的なゲームである。

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