先の大戦末期に沖縄戦で特攻隊として出撃していったある特攻兵士と、出撃基地近くの食堂・富家食堂の鳥浜トメとの、出撃日夜の実話を綴ったものである。
その話の日が6月7日の夜である。
小生の拙文で内容を紹介すると、この本が伝えようとする真のメッセージが正しく伝わらないのでこのリンク先を参照してほしい。(→ ホタル帰る )
死んだ人の魂や大切な人への思いがホタルという姿・形になり、残された人々のもとに帰りくることがある、ということ。ホタルの儚げな光に死者の魂や念のイメージを重ねるのだろう。
この場所を訪れた時の小泉首相も、遺品、遺書、遺影を前に涙している。
ここのテーマは特攻の美化でも戦争の肯定でもなく、ただ死んでいった人たちへの深い鎮魂と平和を希求する強いメッセージに他ならない。
小生もかつて、知覧飛行場跡地の知覧特攻平和会館と富屋食堂を訪れたことがある。
なんとも陳腐な言い方だが、幾多の出撃=死を前にした数々の人間の心の葛藤とドラマが繰り広げられた地であって、ここの歴史を知って訪れるとたいそう重たい場所だ。
この場所が飛行場の跡地であるということ。そして展示品の数々。出撃前の夜に最後に過ごしたという三角兵舎。道路脇に建つ多数の灯篭。最後に目にしたであろう山々。
これらを目の当たりにすると苦しくなるほど迫りくるものがあり、押しつぶされそうになる。誰しもが同じ思いを抱くに違いない。今なお英霊たちの魂が漂っている感じと思えなくもない。
靖国神社とはまた違う、英霊の鎮魂の地といってもよい。
よくある観光スポットではなく、鎮魂と平和祈念の地なのである。
この本『ホタル帰る』と同様に、映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』はこの知覧が舞台である。現地を訪ね歴史を知ると涙なくしては見られぬ映画である。(上記のリンクは予告編だが、これだけのさわりでも泣けるに違いない)
6月23日は沖縄戦の組織的戦闘が終結した『慰霊の日』である。
ちょうど70年前の今頃(6月上旬)は沖縄では壮絶な最後の戦いが行われている真っ最中だった。特攻の兵士も沖縄の住民も、(連合国軍の兵士もだ、)本当はもっともっと生きたかったはずの幾多の人たちの、死があったのである。
いろんな思いを胸に、ホタルに向ひて合掌。
ちなみに、今日6月7日は亡母の22回目の命日。
そういえばホタルが出てくる時期だったのだなと、毎年のことながら思い返す。
今宵もホタルは我が家裏の田んぼで光っている。
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