2014年10月1日水曜日

ナツメの記憶

棗。
難しい漢字だ。
ナツメと読む。棘のある樹に小さな実をつける。ちょうど今頃が収穫時期で食べごろだ。我が家の果樹園の一角にある樹にはびっしりと実がついていいる。
実は縦長で2~3センチほどの褐色もしくは赤みを帯びた緑。
果肉はパサパサしており、味は微かに酸っぱいリンゴ味、といった感じだ。

実は生薬としても用いられるようだ。
樹には鋭い棘がある。実を採るときには要注意だ。

果肉は水分に欠けるが、ややリンゴの風味がある
特別に美味いというわけではないが、懐かしい味ではある。
         
90歳にならんとする大正生まれの叔母から何度も聞かされている話だ。
『昔からナツメの木というのは格式の高い家だけしか植られない木、と言われているの。子供のころには家に植えてあったのよ』と。
この家で生まれ育った叔母も、幼少のころにその父母や祖父母から聞かされてきた話であるのだろう。ただ、その根拠・真偽はどうやらわからぬらしい。
叔母は年こそ取ったものの昔のこういった事象の記憶は恐ろしいほど明瞭で確かだ。

今実を付けている樹は比較的新しく20年ほど前に植えたものだが、叔母にとってはナツメの木が自分の家にあったという昔の記憶がいまもひとつの誇りであるようだ。
(我が家は確かに系図的には古いのは古いが、格式というものがはたして高かったのかどうか・・)
         
小生などは『ナツメ』という響きからは、かの大女優『夏目雅子』さんをどうしても思い出してしまう。
同世代のご同輩の記憶には、彼女の名と姿は深く刻まれているのではないだろうか。
特に小生にとっては誕生日が一日違い(彼女は昭和32年((1957年))12月17日。小生は16日)ということもあり、カネボウ化粧品のキャンペーンガール(たしかキャッチコピーはクッキーフェイス)当時からのファンだった。
われわれ昭和32年生まれは、東京オリンピックの年に小学校に入学したのだったし、中一の時に大阪万博が開かれたのだった。
これら同じ時代の同じ空気を吸って成長したという、勝手な親近感である(・・彼女との面識は当然に無い)。
昭和60年(1985年)9月11日、夭折した彼女。はや29年経つ。早いものだ。
大女優にして俳句も読む。そしてなんといっても美人。笑顔の彼女はいつまでも輝きを失わずに27歳のままで微笑んでいる。かたや・・・・・小生などは頭も腹もすっかり○○○○である。

こちらの『ナツメ』の記憶は仄かに甘酸っぱい。
たくさん実をつけているナツメの木
そのむこうの青空には秋の雲が

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