2022年2月8日火曜日

干し芋は高級品に・・

茨城県が誇る特産品『干し芋』。昔はかなりローカルで地味な食品だったが近年では各地のスーパーでよく見かけるようになった。それも小綺麗にパックされた上品な食べ物として売られている。そんな姿を見ると庶民のための気軽で安価な食べ物からはだんだんと遠ざかっていっているような気がしてちょっと寂しくも感じる。世の中は百円ショップのような安いことが売りの店が皆に受け入れられ、なんでもかんでも廉価なことを歓迎する風潮がある。だが干し芋がこのような『製品』となるまでにかかっている手間と苦労を知る身としては、十分に手間と品質に叶った価格帯であり、一方ではこれでよいとも思う。

某スーパーで国産品は・・・
150gで645円=4.3円/g
80gで537円=6.7円/g
200gで861円=4.3円/g

・・昔は我が家でも自家消費分のためのものを作っていたのを覚えている。たしか干し芋用のサツマイモは(皮も中身も)白い品種のイモだったはずだ。当時としてはそれが最も干し芋に適し推奨されていた品種であったのだろう。中身が黄色い当時のサツマイモ品種ではねっとり感が不足して干し芋に供することができなかったに違いない。この中身が黄色い一般的なものも我が家では栽培していたが、今振り返ると最近主流となっているスイーツに近いような甘くて見た目も良い品種とはまったく別物と感じる。この黄色い品種でもかように美味な干し芋ができるようになったのであるから、この50年ほどの間のサツマイモ品種改良は目を見張るものがある。
一方、隣に並ぶ中国産のものは
180gで321円=1.78円/g

干し芋もあまりに高級化してしまうと大衆の支持を失う懸念もある。しょせん「干した芋」であり、蒸かす・スライスする・干す、だけのサツマイモだ。ブランド化は大切だとしてもあまりに行き過ぎると、実態を伴わないバブルになるやも知れぬ。

干し芋づくりは手作業に頼る部分が多い。天気を気にしながら一枚一枚ひっくり返す。乾き具合が程よくなるまで気が抜けない日々だ。製造しているのはおそらくは典型粋な家内制手工業、家族経営が大半であろう。機械化とてままならぬはず。手間がかかるぶん値段はある程度高くならざるを得まい。

ということで、出来上がった黄金色の一枚一枚には茨城のたっぷりの太陽の光と生産者の思いが凝縮されている。ココロして口にしたいものだ。

毎年箱で購入している干し芋はひたちなか市産だ
いまちょうど良い具合に白く粉が吹いている


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