谷津の奥の奥に、山から染み出てくるわずかな水が溜まる湿地がある。深さは無いが常に一定の水量は保たれている(→つまりジメジメしている)。大きな流れになることが無い水溜まりだ。場所が場所だけに、落ち葉が底にたくさん沈んでいる。人も滅多に入らないため、静寂で清らかな環境といえる。
この湿地に我々がヤマドジョウと呼んできた生き物が生息している。正式にはトウキョウサンショウウオと云うらしいが。
今の時期に、水中に卵のうに包まれた卵を確認できる。
一般的なカエルの卵のようなひも状ではなく、連なったウィンナーソーセージのような形で、三日月形に曲がっている。太さは太い部分で親指ほど。
親の姿を見かけることはほとんどないが、卵だけは毎年この水たまりを含めた数カ所で確認できる。我が家近くの谷津には昔からいて珍しくはないのだが、他の谷津に生息しているのかどうかは分からない。
皮肉なことだが、谷津田の耕作放棄の田んぼが増え、周囲の山も荒れ放題となることで(→表現を変えれば、かつての手入れが行き届いた里山が荒廃することで)、このような絶滅危惧種にとっては住みよい環境が増えている。ちょっとしたビオトープができつつある。
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