2012年3月16日金曜日

ヤマドジョウ


我々は昔からこの卵嚢を『ヤマドジョウの卵』と呼んでいた。
成体のその形状は、イモリ・ヤモリの類いで短い脚と長い尾を持つ。
どうやら『ヤマドジョウ』ではなく、『トウキョウサンショウウオ』と言うのが正式らしい。サンショウウオのひとつだ。

ブログトップの里山の写真の谷間に水田があるが、その横の小さな水路で生息している。
Wikipediaによれば、この種は標高300m以下の 低山間地にある森林や水田の周辺に生息とある。
すなわちこの里山のような丘陵地帯の谷間に散在する水田とその水路、付近にある林の中の湧き水のたまった小さな浅い池等のようなを水辺で生息している生き物だ。
そして、これは立派な絶滅危惧種でもあるのである。

         

この珍しい生物が、昔からわが里山の環境に生息している。
サンショウウオの一種であるようだが亜種が多く存在し、オオイタサンショウウオやらカスミサンショウウオやらトウホクサンショウウオやら、各地に存在しているようだ。
またまたWikipediaによると、生域分布からすると茨城県北部のこれはどうやら『トウキョウサンショウウオ』であるようで、名前だけは都会っ子らしい。
とすれば残念だが、どうやら茨城弁の『だっぺ』言葉は使えないらしい。
.    トウキョウサンショウウオ

これから忙しくなる田んぼの作業に先立ち、水路の落ち葉を掬い上げる作業(つまりは溝払い)をしていたところ、バナナ状の卵嚢を沢山見つけた。
先日のブログで紹介した『カエルの卵』を見つけた田んぼの脇を流れる小さな水路だ。
沈んでいるバナナ状の卵嚢
引き上げた落ち葉の上の卵嚢
大きさは5〜8cmほど
表面は比較的丈夫な膜に覆われているが、内部はゼリー状で柔らかい
我々にとっては当たり前にある里山であるが、絶滅危惧種が棲息する環境なのに驚く。
極めて小さな田んぼ横の水路ではあるが、人間の生活雑水が全く入り込まない天然水の『清流』なのである。
環境としては、有難い(・・まさに有ることが難しい)ことであることは間違いない。

          

広い田んぼを大きな農機を駆使して大規模に営農するのも『農業』だが、この里山に囲まれた狭い田んぼのような場所を丁寧に、手間隙掛けて(=>つまりは非効率ということなのだが・・)営農するのもまた『農業』だ。
どちらが良い・悪いの話ではない。
この地区の農家はいずれもこのような田んぼを耕作していて、我が家も例外ではない。
たまたま我々はこの環境を先祖から受け継いできただけの話なのだ。
与えられた環境の中で、精一杯よかれと思う農業を続けるだけなのだ。
ではあるが、この環境を先祖から引き継いだことを誇りに思う。

このかけがえの無い素晴らしい自然を保全しながら美味い米を作り、後世に末永く引き継ぎ伝えたいと思う。

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