2022年4月30日土曜日

「金木犀のはちみつ漬け」のその後  The 甘露

以前に2019/10/20のブログで「金木犀のはちみつ漬け(その1)」を記した。蜜と花が馴染むまである程度時間は必要だろうと考えて棚の隅に置いてすっかり忘れてしまっていた。あれから二年半ほど経ったが、ひょんなことからビンを見つけてはたと思い出した。忘れていたくらいだから途中で様子を見たり味見もしていない。我ながらいい加減なものだ。

さて、いまどのような状態であろうか。次の写真が二年半たったそれだ。


見た感じはビン上側2/3に花びらが浮いていて、下1/3程がはちみつ。封入当初とあまり変わっていない。漬かっている花弁はというと、摘んだばかりの時の明るいオレンジ色からやや褐色がかってきてはいるがまだオレンジ色を維持し、個々の花びらも形状はそのままで金木犀の花びらだとわかる。

蓋はとても固く締まっていて、なかなか容易には開けられない状態だったがなんとかこじ開けた。さてあの独特な香りは如何ほどキープされているのだろうか。


まさに甘露

鼻を近づけると、あの金木犀の香りが鼻腔を心地よく刺激する。咲いていた時の香りよりもずっとマイルドで上品な感じになっている。落ち着いた香りだ。初秋の乾いた空気にほんのりと漂ってくる香りに近い。直接花の匂いを嗅いだ強い匂いではない。こちらのマイルドな方を好ましいと感じるひとは多いかもしれない。さて、肝心のはちみつと花びらの味はどうか。少しだけ食してみた。口中に広がる甘さと香りは、まさに天から与えられる甘い不老不死の霊薬=甘露というべきもの(本当の甘露など食べたことはないのだがそんな気がする)。はちみつは採りたて時よりやわらかく変わっているような感じだ。はちみつ単体とはまた違った豊かで深い味わいに深化している。口にするとしばらくの間、余韻に浸れる逸品だ。

次に紅茶に入れてテイスティング。


花びらが紅茶に浮く姿はオシャレだ

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貧しいボキャブラリーしか持ち合わせないので「金木犀はちみつ」入り紅茶の食レポはし難い。が、あえて少々。

あの独特の芳香はマイルドに変化していて、主張し過ぎずほんのりと香る程度。だが確かに金木犀だとわかる。この絶妙な塩梅が良い。けっして紅茶本来の香りとケンカはしない。甘さはよりマイルドになったはちみつのそれだ。花弁は舌に残ることもなくクセもない。ほとんど味はしないが鼻腔に抜ける香りがたっぷりと楽しめる。知らされずに飲むと「えっ? なにこれ? あっ、金木犀の香りだぁ❤ いい香りぃ~、美味しいぃ~」ときっとなるだろう。砂糖のストレートな甘味と違い、嫌味のないコクのある甘さ。はちみつ由来の天然のほんのりとした甘みだ。なんとも心地よいの一言。
なにか特別でびっくりするような味と香りがするわけではないが、大切な人と大切な日のティータイムになど最適だろう。なんといっても金木犀の花言葉は「陶酔」「誘惑」だし。

文字と画像でしかお伝え出来ないのがなんとも残念だ。どうか皆さんの頭の中で、この霊薬「甘露」の味と微香をおもいきり想像していただきたい。ほら、口中と鼻腔いっぱいにじわっ~っと広がってくるでしょ。ほら。。

激レアなものであることは確かだが、今後商品化する予定はない。だが、非売品で試食用としてお分けできる程度のもの(小瓶)をいくつか作り、はちみつをたくさんお買い上げいただいた方への「おまけ」としてご提供したいと考えている。

2022年4月27日水曜日

豚熱

近畿・中部地域から関東北部にかけて野生イノシシがかかる伝染病『豚熱(豚コレラ)』の感染が広がっているという。茨城県でも確認されているようだ。

2018年以降の豚熱発生状況
(農林水産省HPより)

この病気により野生イノシシが減って、イノシシ被害に悩まされて続けてきた農家(むろん我が家もだ)からは歓迎する声も上がっている、と新聞報道があった(2022/4/19 読売新聞)。

我が家周辺でも、確かにほぼ一年くらい前から被害はもちろん足跡さえ見かけなくなっている。もしかしたら茨城北西部の常陸大宮市でも既に流行っていて、個体数が減少しているのではないかな、と確信するような状況だ。新聞報道のように、肉を当て込んでいた業界は苦戦を強いられるし、中長期的にみると狩猟者の減少にもつながりかねず、狩猟技術の継承ができないなど、この問題は一面的に良し悪しをつけられない。(まずは自分が置かれている立場を第一に考えるのでそれぞれの立場の声は当然である。中山間地域の小規模農家が多いこの周辺では、とにかく獣害が減ったことの安堵の声は実に多く耳にする。ジビエブームやらの心配の声も、狩猟技術継承やらの心配の声も、まずはこの里山で安心して農業生産活動ができてからの話であろうとみんな思っているようだ)

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ミツバチのためにと、数年前に休耕田にレンゲの種をまいてレンゲ畑を作った。その年は見事な花畑になったものの、その後イノシシに壊滅的に掘り起こされ荒らされ、ほとんど花が出なくなってしまった。種が落ちる前にとにかく「グチャグチャ」・「デコボコ」にされたのである。まるでトラクターで丁寧に耕したみたいだ、あるいはそれ以上だな、と周囲から言われたものだ。

そんなレンゲ畑も、数年かかって少しずつ回復してきた。

このレンゲ畑回復時期が図らずもイノシシ出没が劇的に減少した時期と符合している。


近くの巣箱から盛んにミツバチが訪花している

レンゲが咲き乱れミツバチが飛び交う風景とは実に良いものだ。そして畑の夏野菜の苗が被害にあうこともなく安心していられる。田植えが済んだ田んぼの中を歩き回られることもないし、田んぼの畔を破壊されることもない。イノシシがいないだけで当たり前のこんな小さな幸せが日々嚙み締められている。・・狭隘なココロの小市民はただただ己のことだけを考えている。

2022年4月23日土曜日

常陸村田駅を知っていますか?

少々、古き良き時代の話を。

玉川村駅を含めた水郡線の常陸大宮駅~山方宿駅の区間は、今年の12月に開業100年を迎える(大正11年12月10日の開設)。玉川村駅も100回目のアニバーサリーだ。

開業当時の玉川村駅
開業時に制作された記念絵葉書より

記念絵葉書はこの2枚(常陸大宮市文書館蔵)
上が山方宿駅と枇杷川の築堤
下が野上原から枇杷川築堤に向かうカーブ部分と玉川村駅

絵葉書の包み紙
(常陸大宮市文書館蔵)
   
この一世紀にわたり地域の大動脈となり数多くの通学生・通勤客と貨物を運び続けてきた。沿線が隆盛を極め一番輝いていたのは昭和初期から昭和40年ころまでだろう。沿線人口も多く、マイカーの普及までにはまだだいぶ時間があった。野上原駅などは地域からの駅設置の強い請願もあったようで昭和31年に開設されているくらいだ。

玉川村駅は近隣周辺町村(大宮町の北部地区・御前山村・緒川村・美和村)から水戸市内に通う通学生や通勤客が多数いたので、昭和50年頃までは駅前には何軒もの自転車預かり所があって、いずれも満杯の自転車が預けられていたのをよく覚えている。いまは預かり所はなく、ほんの数台の自転車が駅備え付けの駐輪場に止められているだけだ。通学生は昔に比べ激減し朝の上り列車に乗るのは数えるほどだが、今はそのほとんどが親の運転する自動車で駅に送り迎えしてもらっている。なので朝夕の駅前は(少しだが)渋滞する。日中の乗降客は皆無に等しく、朝夕以外は人影さえまばらなきわて静かな駅周辺だ。

このような状況が今後も続くのは確かだろう。(常陸大宮までは沿線人口はまだある方なので線路としては残る可能性は高いが、)もしかしたら玉川村駅は廃駅になるのではないかと心配してしまう。一番可能性がありそうなのは代替バス路線への転換かもしれない。百年にしてこのような状態になるとは、この地に鉄道を通すことに心血を注いだご先祖たちは夢にも思ってもいなかっただろう。

このような状況だが、毎日決まった時間に汽車が通過することがここで生活する人々の精神的な支えだったり安心だったり、少しの誇りであることも確かだ。「しゃーねなぁー」などと愚痴りながらもWe love Tamagawa-mura Stationなひとたちが多数いるのである。

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余談だが、水郡線には開設されてから数年で廃止された駅がふたつほどある。どのような経緯で開設され廃駅に至ったのかは残念ながら手元に情報がないのでわからない。ただ開設には地元の人たちの熱い熱い情熱があったであろうことは想像がつく。だがいまは駅があった面影さえない。

ひとつは常陸鴻巣駅と瓜連駅との間にあった『常陸中里駅』。水戸から15.7km付近。昭和10年開設されたが昭和16年に廃駅。

瓜連駅のほど近い場所だ
おそらく駅舎はなく単式ホーム1面の駅だったろう

ふたつめは静駅と常陸大宮駅の間にあった『常陸村田駅』。ちょうど第二下村田踏切がある場所だ。水戸から20.4km付近。昭和10年開設で昭和19年廃駅。

静駅と常陸大宮駅の中間あたり
ここも駅舎はなく単式ホーム1面の駅だったろう


栄枯盛衰。これらの駅自体にも、付近住民にも、いろんな思い・悲喜こもごものドラマがあったはずだが皆遠い昔。語られることもない。

2022年4月21日木曜日

ミツバチ社会の意思決定方法とは

ミツバチはいまが巣別れ=分蜂の時期だ。

新しい女王バチが誕生すると、母親の女王バチは住んでいた巣を娘に譲って、働きバチの半分ほどを引き連れて巣を出てゆく(出てゆくのは母親蜂である)。しばらく集団で飛び回った後、新しい巣を作る場所が見つかるまでは木の幹などに固まって球状になる(=蜂玉)という習性がある。この一連の行動は、たいていの場合それを目にした人々を驚かせる。数千匹のミツバチが旋回し羽音を轟かせるのである。蜂玉として固まれば固まったで蜂が蠢く大きな塊である。ビジュアル的にも異形だ。

これは縦25cm・横20cm ほどのイチゴ型の塊り
分蜂群は皆が上を向いてかたまる習性がある
この状態だと落ち着いていて触っても刺すことはない

一匹二匹が花の蜜を吸っている姿は可愛いとしても、これは見たこともない異様な光景だろう。よほどミツバチの生態に詳しくない限りは『キモチ悪い~』というのが普通のはずだ。そしてこの時期にしか見られない現象だから余計だ。養蜂をしている人にすればなんともラブリーで愛おしい姿なのだが。

これらのミツバチの行動を見ていつも思うことは、「どのような意思決定がなされ、なんのチカラで集団で統率が取れた行動ができるのか?」という疑問である。人間のような音声での会話による意思疎通はない(と思う)。ましてや事前の打ち合わせ会議やらもない(と思う)。この分蜂に限らず、日常的な営巣活動においても、巣箱(中は真っ暗だ)の中であの整然とした六角形のハニカム構造の巣を、何千匹ものミツバチがバラバラに動いているようできっちりと作り上げる。神秘的でもある。

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ある面白い記事を見つけた。

『人間がミツバチ社会から学ぶべき「意志決定方法」とは?』という題の記事。 (この記事の中で、巣から出てゆくのが新しい女王バチとされているが、実際には出てゆくのは母親の、つまり古い女王バチである。おそらく記事を書いた人は素人で、思い込みによる間違いだ)

https://gigazine.net/news/20200112-honey-bees-argue/

内容について、本当にそうなのかなぁとも思うが、違うと言い切るだけの確たる根拠も持ち合わせない。生物の研究者でもなし、ほのぼのと不思議のままで眺めるのが一番良いと思っている。このような探求心が足りない人間ばかりでは自然科学の進歩などは望むべくもない。

2022年4月18日月曜日

穀雨のころ

花の命は短い。世の中は三日見ぬ間の桜かな・・である。花に浮かれて手拍子を鳴らしていたのがつい昨日のことのように思えるのに、いつの間にやらゴールデンウィークが迫ってきて四月も下旬、穀雨の時分となってしまった。見渡せば野や山のすべての樹々が一気に芽吹き、柔らかい緑に染まってきた。

足元をみるとフキも葉を広げ一気に地面を覆いつくす程になっている。



フキはタケノコと並んでこの時期の旬の食材である。穀雨を得てその瑞々しい生命力は日増しに勢いを増している。爆発するかのごとき漲る生命力・パワーが秘められている。食材としていただくことはそのパワーを体内に取り込むことに他ならない。

両者とも子供の時分には何が美味なのかさっぱり分からずに食べていたが、最近ではこのような自然のものがいちばん身体になじむ。フキ料理ではキャラブキは好みの一品だ。濃い味付けの脂っぽい料理や、奇をてらった料理などはあまり美味いとは思わなくなったが、これも齢を重ねたせいであろう。

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ミツバチたちは一気に咲きそろった花々をせわしなく、嬉々として飛びあるっている。珍しくタンポポに訪花するミツバチに遭遇できた。

Youtube → タンポポにミツバチ

タンポポの蜜と花粉の味とははたして如何様なものだろう。間違いなく我が家のハチミツにはタンポポの蜜と花粉も混ざっている。そろそろ【春の花の蜜】はたっぷりと貯まって糖度が上げられつつあるころだ。この蜜は早ければお盆のころに採れるかもしれない。

2022年4月17日日曜日

オンラインストア開設

この度、「玉川里山はちみつ」のオンラインストアを開設した。

STORESというオンラインストア機能を利用しての販売開始だ。今までははちみつの収穫が不安定で量が限られていたため販売店での店頭販売と個人的な相対での取引に限定せざるをえなかった。昨年は例年に比べて収穫量が多くある程度の在庫も確保できたため、ご希望にも広くお応えできる見込みが立ったため、今回のネット販売開始となった。

このブログの左側、プロフィール欄の上にこっそりとお知らせを掲示し、リンクも貼った。是非一度クリックしてみていただければ幸いだ。

こちらからどうぞ → 玉川里山はちみつShop

インターネットを利用したこのオンラインストア・STORESの仕組みは至ってシンプルではあるのだが、決済機能の信頼性・安全性を担保するための手続きがしっかりしていることもあり少々てこずった。だが、このようなズブの素人がいとも簡単に、このような整った見てくれ良いページを作成でき、公開できるのだからすごい時代である。

2022年4月14日木曜日

しっかり見ておかないと

春という季節があり、桜が必ず咲く国に生まれてラッキーだったと思う。「桜の開花」がニュースになるような国って、なんとも素敵ではないか。

まさに春の花々が咲きそろっているこの景色に身を置くときが「ああ、この春を一年間待っていたんだなぁ」と気づく一瞬だ。なんだか単純に嬉しくさせる不思議な力がある。「がんばれ」とか「元気出せよ」なんていうよりも、いま励ましを必要とするひとがいたら、ここに連れてきてやりたいくらいだ。

youtube => 2022年春 桜下紀行

あと少しで葉桜となり季節は急いで初夏に向かう。

しっかり、しっかり、この春を見ておかないと。

2022年4月2日土曜日

サクラ前線 到着

東京ではサクラは既に見ごろを過ぎたようだが、茨城北西部の当地では数日前からほころんでいたツボミが、今日の陽射しを浴びてやっと開花した。昨年よりは数日遅い開花だ。
共同墓地周辺は春の彩り

空の青色とレンギョウや菜花の黄色と、ソメイヨシノの白のコントラストが何とも清々しい。

一年でいちばん「美しい」彩りの季節がやっと始まった。