以前に2019/10/20のブログで「金木犀のはちみつ漬け(その1)」を記した。蜜と花が馴染むまである程度時間は必要だろうと考えて棚の隅に置いてすっかり忘れてしまっていた。あれから二年半ほど経ったが、ひょんなことからビンを見つけてはたと思い出した。忘れていたくらいだから途中で様子を見たり味見もしていない。我ながらいい加減なものだ。
さて、いまどのような状態であろうか。次の写真が二年半たったそれだ。
見た感じはビン上側2/3に花びらが浮いていて、下1/3程がはちみつ。封入当初とあまり変わっていない。漬かっている花弁はというと、摘んだばかりの時の明るいオレンジ色からやや褐色がかってきてはいるがまだオレンジ色を維持し、個々の花びらも形状はそのままで金木犀の花びらだとわかる。
蓋はとても固く締まっていて、なかなか容易には開けられない状態だったがなんとかこじ開けた。さてあの独特な香りは如何ほどキープされているのだろうか。
鼻を近づけると、あの金木犀の香りが鼻腔を心地よく刺激する。咲いていた時の香りよりもずっとマイルドで上品な感じになっている。落ち着いた香りだ。初秋の乾いた空気にほんのりと漂ってくる香りに近い。直接花の匂いを嗅いだ強い匂いではない。こちらのマイルドな方を好ましいと感じるひとは多いかもしれない。さて、肝心のはちみつと花びらの味はどうか。少しだけ食してみた。口中に広がる甘さと香りは、まさに天から与えられる甘い不老不死の霊薬=甘露というべきもの(本当の甘露など食べたことはないのだがそんな気がする)。はちみつは採りたて時よりやわらかく変わっているような感じだ。はちみつ単体とはまた違った豊かで深い味わいに深化している。口にするとしばらくの間、余韻に浸れる逸品だ。
次に紅茶に入れてテイスティング。
花びらが紅茶に浮く姿はオシャレだ |
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貧しいボキャブラリーしか持ち合わせないので「金木犀はちみつ」入り紅茶の食レポはし難い。が、あえて少々。
あの独特の芳香はマイルドに変化していて、主張し過ぎずほんのりと香る程度。だが確かに金木犀だとわかる。この絶妙な塩梅が良い。けっして紅茶本来の香りとケンカはしない。甘さはよりマイルドになったはちみつのそれだ。花弁は舌に残ることもなくクセもない。ほとんど味はしないが鼻腔に抜ける香りがたっぷりと楽しめる。知らされずに飲むと「えっ? なにこれ? あっ、金木犀の香りだぁ❤ いい香りぃ~、美味しいぃ~」ときっとなるだろう。砂糖のストレートな甘味と違い、嫌味のないコクのある甘さ。はちみつ由来の天然のほんのりとした甘みだ。なんとも心地よいの一言。なにか特別でびっくりするような味と香りがするわけではないが、大切な人と大切な日のティータイムになど最適だろう。なんといっても金木犀の花言葉は「陶酔」「誘惑」だし。
文字と画像でしかお伝え出来ないのがなんとも残念だ。どうか皆さんの頭の中で、この霊薬「甘露」の味と微香をおもいきり想像していただきたい。ほら、口中と鼻腔いっぱいにじわっ~っと広がってくるでしょ。ほら。。
激レアなものであることは確かだが、今後商品化する予定はない。だが、非売品で試食用としてお分けできる程度のもの(小瓶)をいくつか作り、はちみつをたくさんお買い上げいただいた方への「おまけ」としてご提供したいと考えている。