この辺りでの一番の獣被害はイノシシによるもので、県北中山間地域はほぼ同様だろうと思う。イノシシの被害は収穫対象の農作物被害にとどまらない。決して誇張ではなく地形まで変えてしまうほどの破壊力でもって田畑をところかまわずほじくりまわす。主たる積極的な対策としては狩猟(ハンティング)による退治、箱罠(鉄製の檻)を設置したりくくり罠(ワイヤーロープで足首を締め上げる罠)を仕掛け捕獲する、という方法があるが、これらは狩猟免許や罠設置の免許が必要で誰もが勝手にできるわけではない。したがっておのずとヤツラを近づけない消極的防御策をとることになる。要は柵を廻らせるのである。
昨年春に、頑丈なワイヤーメッシュの柵を田んぼと畑に廻らせたお陰でこの一年、その田畑だけはイノシシの侵入被害は皆無。効果は十分といえる。ではあるがそれ以外の場所は相変わらずボコボコにされている。とくに深刻なのは田んぼの畔を一晩で崩されることだ。大変な労力で泥さらいをして土を盛った畔が、完膚亡きまでゴチャゴチャにされているのを見つけたときの脱力感・徒労感・強烈な怒りは、涙が出るほどだ。手をこまねいていてはヤツラの勝手気ままな行動を黙認することになる。敗北したようなもので悔しい。
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今年は新たな策を試している。「もしかしたら・・・」だが、この半月の試行結果を見ると、(効果は短期間の限定的かもしれないが)事態は改善傾向にあると感じている。
内容は至って簡単な方法である。
「クレゾール」の希釈液(今回は33倍の希釈液)を、イノシシが闊歩する通り道ポイントポイントに散布したり穴を開けたペットボトルに入れてぶら下げておく方法で、ネットで紹介されていたものだ。
希釈液といえどもかなり強い臭いでいつまでも残る |
柵の中には入らないが周囲を徘徊して畔を壊されているので いつも被害が大きい田んぼの畔に設置した |
「クレゾール」は、ある年代以上の方たちにとっては鼻孔の奥の記憶に刻まれている独特の嫌な臭い、でも懐かしい臭いの消毒薬だろう。昔の小学校の保健室の洗面器に入っていた消毒液体であり、トイレの消毒薬だったりしたものだ。
今月初めに、いままで度々被害にあってきた主要ポイントに設置してみた。依然として付近には出没している形跡はあるが、この臭いの漂う箇所付近には近寄っていないようだ。とはいえまだまだ油断できないが。
元来人間が手指・皮膚を浸す消毒薬である。人体に悪影響があるような農薬や化学薬品ではなく安心できるものだ。加えてモノ自体は廉価だし、取り扱いに特別な知識が不要だし、この「臭い」は長期間持続するし、で結構優れているのではないだろうか。
まだ半月しか経過していないので結論を出すのは早計。いましばらく経過観察を続けるつもりだ。愚痴をこぼし悩むだけで何もしないでいるより、ダメもとでやってみる。ヤツラとの知恵比べ。こんなことも田舎生活の知的愉しみ方である。
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