2014年1月2日木曜日

柚子の香りと神の思し召し

ここ常陸大宮市東野地区では柚子(ユズ)を栽培してはならぬという言い伝え、すなわち作物禁忌を頑なに守っている。
ために、料理に使う柚子は他地域の人から貰うか、あるいはスーパーなどで買うということになる。(・・・他地域では普通に植えてあるモノなので、きっと貰うチャンスは多いだろうから、買い求める人はあまりいないのかもしれない)

東野地区の作物禁忌を知っている親類から、昨年秋にも柚子を頂いた。
枝から採った柚子の実は寒さに弱いうえに、あまり長期間の保存には堪えない。
発砲スチロールの箱に入れて置いておいたりするのだが、半月ほどもすると腐って黴が生えたりしてしまう。
専門の業者さんは何かしら良い保存方法や装置をお持ちなのだろうが、われわれにできる精いっぱいの保存方法はこの程度だ。

柚子の実で一番多く使う部分はやはり皮であろう。
七味唐辛子にも名を連ねている伝統的な香味だ。

日本料理には柚子をちょっと添えて味を引き立てるものがある。
甚だ個人的ではあるが、暖かいうどんや蕎麦、ラーメンなどの麺類にはこの香りが最高だと思っており、いつも使用している。
刻んだ柚子の皮を僅かに散らすだけでぐぐっと高級感が出てくるから不思議だ。格段に美味くなる。いや、むしろ別物になると思っているくらいだ。

深遠で不思議な力が秘められている柚子、というのが小生の考えである。
高級料亭で出される会席料理のよう(・・悲しい哉、そのような場所へは行ったことがないので全くの想像である)ではないか、とひとり悦に入っている次第である。

科学的に分析してしまうとなんとも味気ないが、やはり優れモノのようだ。
  御参考 →  柚子の効用  

という具合に個人的には大変好きな柚子の香りであるので、一年を通してこの味覚・香りを堪能するために、いまの時期にやっておくべき作業がある。
皮の部分だけを冷凍保存するのである。

冷凍していない皮は当然に香りは素晴らしいが、冷凍保存した皮であっても香りはなかなか素晴らしい。もともと皮自体の食感を楽しむものではないのでこの点で冷凍保存は好都合と言える。
冷凍されることで細胞が壊されるので、解凍時には香り成分が出やすくなるのではないかと思う(・・ただ確証はない)。


ピーラーで剥いても無論良いのだが、やはり少し厚めで長く皮を削いでおいて保存する方が、後々使い勝手が良いということを経験的に学習しているので、包丁で丁寧に剥き取っている。
こうやって剥きとってタッパーに入れて冷凍庫へ。

使うたびに少量とりだして刻んで散らす。
ちなみに昨年作ったもの(冷凍保存一年経過したもの)は多少色合いがくすんではくるが、十分に使用できる品質である。


一年経った2012年度のもの。
今季のものに比べれば見た目の色は悪くはなるが
品質には問題なく十分に許容範囲だ。
 
さてさて、冷えるこの時期の夕べには暖かい鍋物や麺が恋しい。
高級料亭の味を想像しつつ、刻み柚子を散らすとしよう。

それにしてもこんな有益な食材を禁忌扱いにした東野の鎮守の神様は、困ったものだ。
だがしかし、このように解することもできるな。
こうだからこそ、他地域の親類や知り合いと柚子のやり取りを通して今なおこうやってお付き合いが続けられる、と。
スーパーで買ってきてしまったら親戚付き合いも疎遠になるばかりではないか。
何かしらのきっかけが無いと親戚と言えども、行き来っていうのはしにくいものだしなぁ・・。
神の思し召しは、柚子の香りのように深遠であることよ。

2 件のコメント:

  1. はじめまして。今日、友達が来て、あなたのこと(テレビ出演)をべたほめされていまして、検索発見、数か所ブログ記事を拝読、コメントを書かせていただきました。
    いつのひか、お邪魔して拝見したい、お会いしたいなと思います。友達とね。
    柚子、私もこないだ、ミニ菜園の脇に植えました。いつか自前のゆずスライスを食べてみたいから。

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  2. コメントありがとうございます。
    小生がテレビ出演 ですか??? してない(するはずもない)ですが・・・。
    どなたかと勘違いされているのでしょうか。
    仮にTBSテレビ金スマの、ひとり農業・渡辺ヘルムート氏であれば、同じ市内の近くではありますが。同じようなことを小生もしています。
    ブログで紹介しているとおり、毎日、楽しいですよ。
    この愉しみを皆さんに分かって欲しくてブログ続けています。いつかご来園ください。

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