2017年9月21日木曜日

スズメバチシーズン

スズメバチシーズンの真っ最中だ。

この時期になると毎年のように、遠足に出かけた生徒さんやら先生やらがスズメバチに襲われたという、痛いニュースに接する。こと生命にかかわる話であり、けっして侮れないキケンなハチ達である。

人間にとっても生命を脅かす厄介な存在だが、ミツバチたちにとってはより深刻で忌避したい存在である。スズメバチはミツバチの巣箱出入り口でハチが出てくる・帰ってくるのを待ちかまえて捕食する。ある意味、効率的で賢い狩猟法である。
あまりにひどいスズメバチ攻撃が続くと「ここは危険な場所。営巣には不適格」として、ミツバチはいとも簡単に巣を放棄してサッと逃去してしまう。われわれが次の日に巣箱が空っぽなのを見てガッカリしてため息・・というのがお決まりのパターン。

取りうる対策として、スズメバチトラップを仕掛る、ネズミ取り粘着シートを取り付ける、巣箱入り口に金網を張り侵入を防ぐ、といくつも並行して施しているが、突然の逃去は毎年のように繰り広げられる悲しきドラマである。今年も既に2箱がスズメバ被害にあい逃げ去っている。だからといって四六時中巣箱を監視して厄介者を追い払ったり、巣箱全体を金網で覆うようなことも現実的ではなく、いわばお手上げ状態である。
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先日、常陸太田市金砂郷地区に置いてある巣箱の定例巡回の折に、そこのジイちゃんからはじめて『おぢゃでものんでぎな』(※)との誘いがあった。
縁側で茶を飲みながら、しばし語らいの時間を持ち、いろいろな話を伺った。

「お茶を飲んでいきなさい」というお誘いの意。
  「おぢゃ」はお茶のこと、「
のんでぎな」は「飲んで行きな(さい)」が訛ったもの。
  このフレーズは、額面通りの社交辞令としてのお茶のお誘いの意味だけではなく、
  喫茶を共にする仲間としてお前に接してあげよう、認めてやろうという意味合いがある。
  つまり、背景が良くわからないよそ者であるお前(=小生)ではあるのだが、
  まあ出入りくらいは認めてやろうじゃないかということ。

  ちょっとだけお近づきになれた証である。田舎コミュニティーへ参加の第一歩とも言える。
  この第一のハードルを超えるといろいろ情報が入るようになり活動がし易くなる。


大正15年生まれの91歳であること。召集されて海軍に入ったこと。下っ端の兵隊はビンタばかりの毎日だったこと。戦地に向かう予定の前々日に終戦になったこと。復員後は農業に励み、一男一女を懸命に育てたこと。バアちゃんを去年亡くして今は一人暮らしをしていること。体はどこも悪くなく、目も耳も頭も大丈夫であること。心身ともに健康でいられるのは自然に逆らわずに生活する・無理はしないことなのだそうだ。百姓は生き甲斐だと言い切る元気爺さん。我が亡き両親とほぼ同じ世代の方なので、頷きながらきながら話に聞き入った。

ふと見上げると、縁側正面にあるアマヤ(納屋)の梁の下に大きな茶色いボールが2つもあるのが目に入った。直径30センチはあろうかというスズメバチの巣だ。一方の巣は今年のものらしく盛んにスズメバチが出入りしている。ジイちゃんに聞くと「去年はひとっつだったがら、新しぐ今年つぐったんだっぺ(作ったのだろう)。あんてに高いとにあんだし(あんなに高いところにあるのだし)襲ってくっごどもあんめがら(襲ってくることもないだろうから)、このままでかまめ(構わないだろう)」と言う。

この敷地内のミツバチ巣箱に数多く群がるスズメバチは、この巣から飛来していると考えてよさそうだ。
右 : 去年のものでスズメバチの出入はない
左 : 今年のもので盛んに出入りがある

ミツバチを飼っている立場からすればスズメバチの巣の撤去・駆除を是非お願いしたいところだが、ジイちゃんの話では駆除には3000円掛かるという。回覧板(市の広報誌)に書いてあったという。市のホームページで確かめるとその通りだった(爺ちゃんの記憶力・・・すごい!!)。
  (⇒ 常陸太田市HP 「ススメバチの巣の駆除について」)

当方の都合で、無理を言って巣箱を屋敷内に置かせてもらっている。ジイちゃんに余計な出費をさせてまで駆除依頼などできるものではない。話をうやむやに誤魔化して茶飲みを終えた。

いろいろな地域・いろいろな方たちと交流を拡大してゆくと、こういったことが出てくる。あくまで当方が部外者で、地元の方の生活パターンを乱すようなことがあってはならない。地元ファーストである。部外者が立ち入りることで起こる不要なトラブルは極力避ける、大事なことだ。

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