キュウリが旬だ。
炎天下の畑から捥いだ採りたてのキュウリは、チクチクの棘が残っていて瑞々しいことこの上ない。調味料やドレッシングなど何も付けずそのままかぶりつくと太陽の味がして美味い。豊かだぁ~贅沢だぁ~とひとりごち。なにより自ら育てたものは無農薬。安心して口にできるのがウレシイ。
採れたての生。新鮮。そのまま。
それが素材本来の味が堪能でき、一番美味いものだと長年信じて疑わなかったのだが、プロの料理人の世界では少々違うらしい。
(知らなかったのは小生だけかもしれないが)新鮮な驚きだった。
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キュウリは熱湯に入れさっと(10秒~1分)茹でることで、表面の緑色が鮮やかになり、弾力のある食感に変わり、表面の雑菌を除去できる、とのこと。和食の料理人にとってはこの下処理は一般的らしい。
素人の我々には、茹でたりするとせっかくのパリパリ感・瑞々しさが無くなりそうな気がするがそんなことはないそうだ。
詳細はこちらをご覧いただきたいが、単なるキュウリの塩もみにしてもこのようにすると食感の違いは歴然だそうな。
( → まだ自らこの方法を試していないので、『~らしい』たら『~だそうだ』の表現ばかりだ)
そんなに面倒くさい下処理でもないし、おそらく失敗もないものだろう。
是非お試しあれ。
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ことはどうやら『食感』の問題だけではないようだ。むしろ食中毒の予防にあるようだ。
というのは、キュウリは表面に小さな凸凹が多いことに加え、水を弾くクチクラ層があるために雑菌を洗い落すのが難しいらしい。つまりキュウリは水道の流水でゴシゴシと手で擦って洗ったくらいでは雑菌だらけであり、そのまま生で食べるには安全でないということだ。見かけの泥・ホコリは取れるにしてもだ。コワい。
(→ きゅうりのいぼいぼは菌の塊り)
(→ きゅうりが食あたりの真犯人)
キュウリに限らず、店頭で売られている野菜は生産現場から多くの人の手を経てきている。それぞれの現場でどのような扱われ方をしてきたのかは知る由も無い。
キャベツやキュウリなど生食が基本のものも裸で店頭に並べられることがほとんどなわけだし、店員や不特定多数の顧客が手に持って触るわけだ。そう考えるとこれらは不衛生極まりないものに違いない。他の生鮮食料品が衛生的にパック詰めされたりしているのに較べるとガードはとても甘い。
キャベツは表面の葉は捨てて中の部分を食べれば良いが、キュウリはそうもいかない。水洗いで雑菌を十分に落とせないとなれば、食中毒を避けるには専門業者並みに塩素処理するか、あるいは家庭で簡単に出来る『茹でる』しか方法は無いのかもしれない。いずれにしても食べる人がこのような実状を理解したうえで、自衛せねばらなぬ問題である。
現にキュウリの食中毒は度々起こっているから怖い。
(→ こちら )
そういえば昭和30〜40年代の子供のころは、キュウリは『塩もみ』したもの(・・・たしかキュウリ揉みと呼んでいたもので、酢が入っていて酸っぱかったり味噌風味のものだったりした)しか食卓に上らなかったことを思い出した。
これはキュウリを薄く切ることによって表皮の凸凹部分をなくし、十分に塩もみしてクチクラ層を破壊し、水で洗うことで、表皮に潜んでいた菌を極力除去していたのである。先人たちは科学的な理屈は分からなくとも代々受け継いできた知恵で食中毒を予防してきたのだと、今になって理解、ガッテンした。
長じて、前述のように何も気にせずにまるのまま生食しても何も起こらなかったのは、自家生産のキレイな野菜だからということもあろうが単に偶然の幸いでしかないのかも知れぬ。あるいは発症していても気にならぬ・気が付かぬくらいの軽度のものだったかだろう。
とはいえだ。自家生産生野菜を安心して口にできるというのは至上の幸福に違いなく、貨幣価値に置き換えは無理。だからね、里山生活っていうのは・・・(以下略)。
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