2017年3月30日木曜日

「ゆきむら」ではない。「せっそん」

常陸大宮市出身の著名画家の作品展示会が都内・東京芸術大学の美術館で開かれている。
なかなか彼の描いた作品の現物は見る機会がないので、都内所用のついでに展示会を訪ねてきた。


常陸太田や常陸大宮など県北のこの辺りで制作活動に勤しんだ著名な画家だ。
作品は写真でしか見たことが無いし、無論、お会いしたことなどは無いが、名前だけは良く存じ上げている。

東京芸術大学学内の巨大案内板
会場の東京芸術大学は上野公園西隣で、巨木の茂る杜の中にある
このような大学の敷地内に入る機会はなかなか無い

画家の名は「雪村」という。ゆきむらではない。せっそんと読む。
  ⇒  HP 特別展 雪村 ー奇想の誕生ー
  ⇒ 紹介動画
室町時代に当地に生れ、常陸の国を中心として活躍した画家だ。雪村・筆洗いの池が下村田にある。常陸大宮市の人であれば名前ぐらいは聞いたことはあるはずだ。佐竹氏の一族ともいわれている。
似た名前で「雪舟」という画家がいて、こちらは教科書にも載っていたりするので知っている人も多かろう。この二人はほとんど同じ頃の人だ。
作品もおなじ水墨画ではあるが、作風は異なる(・・と解説本には書いてあるが、説明書きを読んでみても小生にはよくわからない)。
雪舟のような中央の画壇(京都)で活躍した画家ではなく、雪村は常陸国・会津・下野・小田原が活動の場所。当時の芦名氏・北条氏など戦国大名庇護のもと絵を描き続けたようだ。雪村のすごいところは、雛にあって独自の作風を築き、その後の尾形光琳など江戸時代の日本画の絵師に多大な影響を与えたということだ。
 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
写真でしか知らない絵の実物を目の当たりにすると、その大きさ、あるいは小ささに驚く。特に屏風絵の大きさは圧巻。近くで観て、そして離れて観て、すごさを実感する。全体の構図、筆遣い、モチーフの描写の細かさだったり大胆な省略だったり、デフォルメだったり、全てが驚きの連続だ。本物が持つオーラというのは、この無知で鈍感な身にもひしひしと伝わってくる。
 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ここ部垂(へたれ)の地は、なんと偉大な先人を輩出したことか。まったくもって郷土の誇りである。この展示会で初めて・数多くの、雪村の本物の作品に出会って、久しぶりに感動した。たまにこのような文化的刺激を受けるのも良いものだ。豊かな気持ちになれる。

今日の上野公園の桜は一~二分咲き状態で、天気が良かったせいか桜並木の通りは多くの人で賑わっていた。平和で穏やかな風景があった。この週末は開花が進んで、驚異的な花見客で異様な場となるのだろう。田舎生活者にはこの人の多さは苦手だ。今日の人混みにも辟易して、早々に現場を去った。
日本人は当然多いが、外国からの観光客も目立つ。
ここに来ること自体がひとつのオシャレなのだろう
小生などは、上野公園の桜のような樹下で酒盛りをするためのような桜よりも、里山にそっと咲く桜の方が趣があって好きなのだが。

2017年3月24日金曜日

待ち箱ルアー届く

サクラが開花する頃から始まるミツバチの分蜂シーズン。
それに間に合うように注文しておいた待ち箱ルアー(分蜂誘引剤)が届いた。

ニホンミツバチを引き寄せる蘭「キンリョウヘン」の花の匂いの成分を化学合成したものだ。値段的にはけっして安くはないシロモノだが、ミツバチを引き寄せる効果は抜群である。買い求める価値は十二分にある。二ホンミツバチ愛好者には必需品と言って良い。
事実、去年も一昨年もこの誘引剤のお陰で分蜂群をいくつも捕獲できていて、それはそれは楽しいシーズンを過ごせている。コストパフォーマンスは間違いなく高い。
はちみつ販売の金銭面でのパフォーマンスというよりも、ミツバチのいる生活が精神面・行動面に与える充実感、であろうか。例えようのないくらい素晴らしいミツバチライフなのだが、未経験者になかなか理解してもらえないのがさみしい。

とにもかくにも、まもなく悲喜こもごものドラマ、感動のドラマが始まる。
今年から「待ち箱ルアー」が正式名称になった

2017年3月23日木曜日

チャーミングな「いずみ」さん

このたび当市の「いずみ」さんが国の重要文化財に指定される見通しとなった。
「いずみ」さんのプロフィールは常陸大宮市のHPに詳しい。
  常陸大宮市HP  いずみの部屋

直接本人に会わないとその感動は十分には得られないものだ。市役所隣の歴史民俗資料館におられるというので会いに行った。

下の写真がレプリカだが「いずみ」さんのご尊顔である。評判に違わず、やはり圧巻である。思った以上に大きい。77.7cmある。ほぼ完形に近い復元がされていることに加え、人面の表情がなんとも素晴らしいし、実にチャーミングである。弥生時代の習俗をそのままの姿で表したのか、デフォルメした姿なのかは分からぬが、顔面に入れ墨のようなものをしている。

かつて発掘現場を見に行ったのだが、ちょうどそのころに出土したようだ。
当初より学術目的の発掘を進めたことで、遺跡も出土品も歴史的・学術的価値は高い。工事現場で偶然見つかって取り出されてしまった遺物類とはちょっと違う。

遺跡発掘を担当した関係者の方々もさぞ興奮したであろう。発掘作業とはこのようなものが出ることはきわめて稀なのだが、何かが出れはそれだけでロマンを掻き立てられて、楽しく、興奮するのである。興味のない人にとっては呆れるような作業ではあるのだが。

とにもかくにも、わが市における初の国指定の文化財が誕生する。めでたい。
なお、現在「いずみ」さんご本人は(文化庁に?)出張中らしい。

このような立派な本も出版されていて歴史民俗資料館で購入できる。
カラー写真がふんだんに使われ、説明文も専門過ぎない。
一般の人が容易に読めるような内容となっている。