なかなか彼の描いた作品の現物は見る機会がないので、都内所用のついでに展示会を訪ねてきた。
常陸太田や常陸大宮など県北のこの辺りで制作活動に勤しんだ著名な画家だ。
作品は写真でしか見たことが無いし、無論、お会いしたことなどは無いが、名前だけは良く存じ上げている。
東京芸術大学学内の巨大案内板 会場の東京芸術大学は上野公園西隣で、巨木の茂る杜の中にある このような大学の敷地内に入る機会はなかなか無い |
画家の名は「雪村」という。ゆきむらではない。せっそんと読む。
⇒ HP 特別展 雪村 ー奇想の誕生ー
⇒ 紹介動画
室町時代に当地に生れ、常陸の国を中心として活躍した画家だ。雪村・筆洗いの池が下村田にある。常陸大宮市の人であれば名前ぐらいは聞いたことはあるはずだ。佐竹氏の一族ともいわれている。
似た名前で「雪舟」という画家がいて、こちらは教科書にも載っていたりするので知っている人も多かろう。この二人はほとんど同じ頃の人だ。
作品もおなじ水墨画ではあるが、作風は異なる(・・と解説本には書いてあるが、説明書きを読んでみても小生にはよくわからない)。
雪舟のような中央の画壇(京都)で活躍した画家ではなく、雪村は常陸国・会津・下野・小田原が活動の場所。当時の芦名氏・北条氏など戦国大名庇護のもと絵を描き続けたようだ。雪村のすごいところは、雛にあって独自の作風を築き、その後の尾形光琳など江戸時代の日本画の絵師に多大な影響を与えたということだ。
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写真でしか知らない絵の実物を目の当たりにすると、その大きさ、あるいは小ささに驚く。特に屏風絵の大きさは圧巻。近くで観て、そして離れて観て、すごさを実感する。全体の構図、筆遣い、モチーフの描写の細かさだったり大胆な省略だったり、デフォルメだったり、全てが驚きの連続だ。本物が持つオーラというのは、この無知で鈍感な身にもひしひしと伝わってくる。
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ここ部垂(へたれ)の地は、なんと偉大な先人を輩出したことか。まったくもって郷土の誇りである。この展示会で初めて・数多くの、雪村の本物の作品に出会って、久しぶりに感動した。たまにこのような文化的刺激を受けるのも良いものだ。豊かな気持ちになれる。
今日の上野公園の桜は一~二分咲き状態で、天気が良かったせいか桜並木の通りは多くの人で賑わっていた。平和で穏やかな風景があった。この週末は開花が進んで、驚異的な花見客で異様な場となるのだろう。田舎生活者にはこの人の多さは苦手だ。今日の人混みにも辟易して、早々に現場を去った。
日本人は当然多いが、外国からの観光客も目立つ。 ここに来ること自体がひとつのオシャレなのだろう |