そして田んぼ脇にあるウツギの花=卯の花が満開だ。
「夏は来ぬ」で「卯の花の匂う垣根に~♪」と唄われる卯の花だが、そんなに存在を主張するような匂いは無いし、花弁自体も質素で控えめ。この歌で有名な割には存在感は乏しい花だ。
空にはホトトギスが独特の鳴き声で鳴きながら飛んでいる。
このホトトギスと卯の花の組合せ・・・・。
今から約千年程前の平安時代、かの清少納言はホトトギスを尋ねて京郊外に出た帰りに、今が盛りと咲き誇る民家の生垣の卯の花を折り、牛車にたくさん挿したという。枕草子に出てくる話だ。卯の花を見るたびに思い出す。
ちなみにタイトルの「春過ぎて 夏来たるらし~」は持統天皇の歌。「白妙の衣干したり 天の香久山」と続く。清少納言よりさらに300年ほど前の奈良時代の歌だ。
光が輝く季節感を謳いあげた万葉集の秀歌。
もうすぐ夏だ。